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川染喜弘/川染喜弘ライブ最新情報
芸術家川染喜弘についてこれまで書いてきた文章のまとめページ

5/25 森下スタジオ
プロジェクターで、別の時間・場所で演奏している自分自身の、身体の一部の映像をスクリーンに投影しながらのライブ。
サンプラーを使った演奏。身体性が際立つ。高速で演奏する動きをする。その手の動きは、音に反映される/反映されない、の間を往復しながら、偶然性に満ちた瞬間を作り出していく。
「この物語の終わりには〜、メシアが現れて〜、すべてを解決するというぜ〜!」といいながら、サンプラーやカオスパッドを使った人形劇のような演奏を展開していく。機材同士の小競り合い、を演じながら、機材の凹凸が、接触した別の機材のボタンを押す偶然性で音が発生する。積み重ねた機材を放置しているときに、川染喜弘が地面を踏みしめる振動でボタンが押されて音がでたりもする。
「お前は、、3年B組の、、、YAMAHA製サンプラーじゃないか、、」「誰だお前は!」「おれか…?おれは、korg製のサンプラーさ」「いけしゃあしゃあと語りやがって」「誰だお前は!」「俺は、、カオスパッドさ」
「お前の体の中に入ってる音、、聞かせてくれよ、、」「いいぜ」「除夜の鐘をサンプリングしたのかよ」「ああ」「ちょっと変調かかっちまってるがな…」
「あのとき、カオスパッドにあえてなかったら、、俺は…どうなっていただろう…」→回想→「あのとき、SU10に出会えてなかったら…」の繰り返し。
といった、何も進行しない、何が原因かもわからない喧嘩、言い争いの中で、川染のセリフ発話と、演者である機材自身の声が重なる。サンプラーを二台立てかけて「ピラミッドフォーメーションじゃ!」などの、唐突な演奏もはさまれる。
音量のキャパを超えるとアンプの電源が落ちてしまう、という状況でのライブだったので、たびたび、音が止まる。そのアンプの電源を入れなおすときは、「リニアモーターカー、いつになったら走るのか、テレビも電話もデジタルになったというぜ!」というリリックを主軸に、ラップしながら移動する。
「起・承・転・結!」と叫びながら四回ポーズをとる、という動きの反復。「転」のところで、つかっている機材のSU10の「テン」と照らし合わせて韻をふむ。
マイクのシールドを投げ縄にして「つかまれー!」といって投げ、「パカラッ!パカラッ!」と声を出しながら乗馬の動きをする反復。
「頼む〜、機材、動いてくれ〜!神様〜!そう、このハイパーメディアクリエイターが、神頼みだ。デジタル時代の神頼み。すべての神々よ〜!機材を動かしてくれ〜!」
スクリーンを平手打ちする演奏。「会場にある備品、地形を利用した演奏、、スクリーンパシャパシャじゃ!」
「何度でも言ってやるぜ!」という声をサンプリングして、ループ機能を使って何度でも言わせる演奏。「ループ機能ありがとう〜!」さらに、そのループにリミックスをかけて「ループリミックスありがとう〜!」
リミックスがかかった「何度でも言ってやるぜ!」と、サンプラーからのビートを同時にならして、ライブ終了。

5/9 高円寺円盤
サンプラーからビートを流し、「ライブって、、すごいと思わないか?」という語りかけから、ライブが始まり、段ボールに文字を書き込みながらリリックをつむいでいく川染。
段ボールには
  l i v e
 /   \
/(川染史)\ 

というふうに、
ライブという「いま」をピラミッドの頂点にして、そのピラミッドの裾野に川染喜弘のこれまでの営みが記述されていく。
「(マッキーをダンボールに走らせ、文字と線の中間のような黒を塗っていきながら)77年に、四国は香川県で生まれて、、小一のときに親友ができまして、小三のとき、交通事故にあい、骨、折、お菓子食べたりうんこしたりなんじゃかんじゃやりーの、ミュージックステーションに出たくって、中学三年のころ、初めてバイトして買ったお金で、ジャンプの後ろにある通販でギター購入、バースっていう、わけわからんメーカーのアコギ、中華料理屋で働いたこともあった、専門学校に入学して、本当はESPに入りたかったけれど、福祉の専門学校に入学して、それで、音楽活動して、15年目、、その間も、いろいろとあったよね、、その、ライフピラミッドの頂点が、、(LIVE、と書きなぐりながら)ライブなんだ…!ライブって、、すごいと思わないか?このライフピラミッドの頂点なんだぜ、、今日、、5月、、9日、、高円寺円盤、、Markとのツーマン、、ライフピラミッドの頂点、今までのすべてが注ぎ込まれている、いままでの全てをこめて、演奏をお届けするつもりだ!」
「(サンプラーの類を指差しながら)これだけの機材を、バイト代で、、ほとんどは生活費に消えてしまうバイト代で買い揃えた、というだけで評価してほしい。というわけで、今から、この機材を買うまでの道のりを映画にします」といって、映画の撮影を開始する川染。サンプラーの上に置かれたビデオカメラが、意図せずにサンプラーのボタンを押し、突発的に音がでる演奏も発生する。「シーン1」のサンプラーが欲しい川染、から、どんどん「スタート!」「カット!」の合図とともに、機材購入物語が撮影されていく。
まずは、バイトを見つけるところから。「あの、フロムエーを見て連絡させていただいた、川染喜弘という者なのですが、、はい、、え、、あ、、遅番ですか、、できれば、五時くらいまでの仕事がよくて、、ええ、あ、普段は、、音楽をやっています、、はい、、え、この仕事は、30歳までですか、、いえ、34歳です、、あ、でも、顔は童顔で、たまに大学生に間違えられますが、、あ、ダメですか、、そうですよね、、募集要項には年齢のこと書いてなかったはずなのですが、、、あ、早番、、六時からなら30歳超えてても大丈夫、、ですか、、いや、、あんまり早すぎると、、前日からのアレがありますので、、、あ、、はい、、すいません、、わかりました、、頭を使う系の仕事は、30歳まで、、あ、はい、、了解いたしました、、、はいー」と、年齢制限で仕事が見つからない、という実体験を、パフォーマンスに転化して再現していく川染。
採用されたあと、年下の先輩にタメ口をきかれる様を二人一役で再現する場面、仕事にミスして年下にすごい剣幕で起こられる場面、バイト先でメモ帳(楽譜)を落として「川染くん、この『バイト先を映画にする』ってなんなの?」と問われて自分の活動がバレて恥辱を味わう場面、給料をぞんざいに投げられて「なんじゃその渡し方は!!血の滲むような給料だろうが!」と心の声で猛り狂うのをラップで表現する場面などが撮影されていく。「そして4年後、、」というナレーションを入れて、機材をついに購入、という場面へ。その機材を購入するまでのエピソードを噛み締めるような表情と声で「電子音に、、魂が宿るぜ…!」といってサンプラーのボタンを押し、ビートが流れる。そのサンプラーの点滅の上にカメラをおき、スクリーンに投影される映像がフリッカーのようになる(BPMを操作して光の速度をかえる)。しばらく電子音即興とラップを展開したのちに、カメラの録画をとめて、「じゃあ、、映画を見てみようか!」といって、上映。「まあ、さっきまで見てきたことが、また繰り返されるだけですが…」
「シュークリームは一つ食べただけで気持ち悪くなるからたくさん食べるのは考えられない。シュークリームをたくさん食べるやつとは話しにならない」「遊園地のコーヒーカップ、ただただ気持ち悪くなる一方。あれを楽しいと言っているやつとは話しにならない」
スクリーンに、ドラムスティックを振り下ろす映像が投影される。その、映像のドラムスティックが振り下ろされる場所に、左手で持ったシンバルをあてがい、右手で、サンプラーからシンバルの音を出す、という、視聴覚の情報すべてがバラバラだが、総合するとシンバルを演奏している状態になる演奏。にて、ライブ終了。

Markとのセッション。「今日は、Markさんをむかえて三人でセッションの予定でしたが、Markさんにご出演いただきます、(両手を広げて)シ〜ン!」が、セッション中、最後まで、何度も繰り返される。即興練習集の楽譜を見ながらピアノを演奏するMarkの隣に、スーツを着た川染がたち、楽譜をめくる係りとして、演奏を妨害しつづける、という演奏から。楽譜のめくりかたを過剰にしたり、楽譜を持ち上げたり、折り曲げたり、飛行機にしたり、紙や頬や腕に音符をかいてMarkの前を通り過ぎたり、ピアノの音をカオスパッドでいじったりする。二人で、お茶を飲む動きをして、Markが毒にやられるマイムをする。毒で苦しむMarkに向けて、MCディクショナリーと化した川染が、辞書を片手に「マー」でサンプラーからのビートにのって韻を踏んでいく。韻を踏むのが気持ちよくなりすぎて、「イン」でも韻を踏み、インがつく英単語が次から次へと口をついてでてくる。「こんなインテリジェンスの欠片もない俺でもイングリッシュでインタラスティングできちゃってるぜ」。「よっちゃんはウケを狙おうとしている、表層的で奥を読み取れない」というmarkからのdisに、「ユーモアの奥に潜まれた何かを感じてくれ」とラップで答えていく川染。それに対して「そんなもんかよ!川染!もっとかかってこいよ!」とMarkからの挑発が続く。川染「お前ら、こんなMarkさん見たことあるのかよ!?」。再び、お茶を飲み交わし、今度は川染が毒で倒れる。毒で苦しむボイスパフォーマンス。「今日は、Markさんをむかえて三人でセッションの予定でしたが、Markさんにご出演いただきます、(両手を広げて)シ〜ン!」の反復でライブ終了。

4月30日 高円寺AMPcafe
前半は、三台のサンプラーと、カオスパッド、CDJなどを使用した音のみによる演奏。シーケンスから流れるビートに、CDJのスクラッチで音と演奏する身体性を付加していく。
20分ほど、音のみの演奏を展開したあと、マイクをつかみ、エコーマイクを併用しながら、奇声を発し続けるボイスパフォーマンス。からの、ラップ。「生卵を車のボンネットの上に落としたらミディアムレアの目玉焼きが完成するだろう」「バックベアードの巨大な瞳がこっちを見ている。バックベアードの巨大な瞳が瞬きするたびに、その風圧に吹き飛ばされるだろう」「真紅の優勝旗に包まれながら」「東京ドームとグーグードールズが」「名門多古西応援団」「切り裂きジャックに服を切り刻まれながら」というようなワードを中心にして、それらを自由自在にカットアップ、接着させていく高速フリースタイルを展開。途中で、サンプラーのシールド、電源を抜き、一度しまったあと、電源だけ指しなおし、シールドはささずに、地面に安置。シーケンスにあわせて光り続けるオブジェとして川染の足元に置かれるサンプラー。
「なけなしのお金でこの機材を購入した、という過程だけでもう評価して欲しい」という流れから、書き下ろした新曲を演奏。カオスパッドの説明書どおりにカオスパッドを操作する、「Korgの社員の指示に忠実に従った演奏」。「43番、ランダムにタップする」「3番、はやくこする」の二曲が演奏される。機材がおかれている長机の上に乗っかって、オモチャで遊ぶ不機嫌な子供のような表情でカオスパッドを演奏する川染。社員の指示に極端に従うことによって、激しいノイズ音がかき鳴らされる。その流れの中で、ライブ終了。

4月15日 西日暮里HIGUREギャラリー
前半、半分は、サンプラーを操作した音のみの演奏。一曲目は、ミニマルなビートに少しずつ、身長に、展開を加えて音を重ねていく、というもの。二曲目は、パーカーのフードをかぶるファッションによって存在の印象をかえ、そのファッションにあわせた(いかにも、そういうファッションの人間が出しそうな音、を出しているように聴こえた)ビートを、寡黙に演奏する。
ペットボトルの水を飲む動きを大きく見せて、飲み込むときに、手でペットボトルを握りつぶし、その音色を響かせながら飲み干す。
第二部、といって、ラップを加えた演奏を展開。真に硬質なミニマリズムについて、ラップする。反復するビートにわかりやすい展開、飽きさせないような音を追加することは軟弱なミニマリズムであるといわざるをえない、といって、サンプラーから実にシンプルで展開のないビートをながして「これに何も手を加えないのがミニマリズム」と主張しながら、その、主張の合間合間で、言葉尻をすばやく捉えてフリースタイルラップに戻り、再び説明に戻る、、というような演奏が繰り返される。「マルエツの醤油を一気飲みして体内の塩分濃度を一気に40パーセントまで高めようぜ!」「ポスト・ミニマリズムとセリエリズム」「奈良の大仏の花の穴の中に吸い込まれてどんどんミニマムになっていく身体」といったリリックが高速でつむがれては説明に戻っていく。「文化・バンタン・セツモードセミナー」を連呼するミニマルボイスパフォーマンスもはさまれる。
何も手を加えずにシーケンスが流しっぱなしになっている硬質なミニマルミュージックにあわせて、客にクラップを担当してもらい、長時間手を叩き続けることで、疲労や手の痛み、個々人のリズムの取り方の違いなどから、少しずつ、ビートにあわせて打つ手のリズムがズレていく、という演奏。「この硬質なビートに、みなさまのオーガニックで有機的なハンドクラップを挿入してくれ!」といって、客のクラップとシーケンスの組み合わさったビートにのって、フリースタイルラップを展開してライブ終了。




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圏外地獄
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