10月5日川染喜弘生誕30周年記念24時間ライブ 円盤
 24時間ライブはこれまでのライブで使われた主題が何度も出てくる構成だったと記憶しています。細部書いていたら大変な事になるのでなるべく箇条書きで。
 ライブ開始前から自転車が楽器としてセッティングされている。
 ジョンケージの4分33秒をデヴィッドチュードアが演奏しているテープをSEに、天を仰ぎながら、なぜか二回登場する。
 自転車+フルフェイス。客にもフルフェイスを被せ、二人乗りで「ブロンソンソンソン!ブロンソンソンソン!ハラテッツォッツォッツォ!ブロンソンソンソン!」とバイクの音を再現。その後、ギアチェンジによる加速を声で表現し、「パラリラパラリラ、パフパフパフパフ、ブロンソンソンソン!」と再びふかしに戻り、絶妙の間とタイミングで「どうもーぅ、過去にも未来にも究極の芸術家、川染喜弘でぃーっす!」ジャンプ&着地。
 ビートを再生して、「過去にも未来にもいない最高の芸術家」および「限りなく小さいコンセプト」に関する激しいラップとアクション。「24時間これを言い続けてやる!お前らの聴覚と聴覚のLとRをパンニングさせながらタコができるまでイカができるまで言い続けるぜ、(溜めて)しーぶやー!!!!」
 「ふざけんな!」と叫びながら自転車を激しく殴りつける。
 お風呂の蓋を「パコパコ」やる。「いいかー。お風呂のふたをパコパコやるだけじゃー。思いっきり稚拙なことしたるからな、感、じ、て、い、こ、う、ぜ、渋谷ー!!!」
 この辺から順番が思い出せないのですが、ボクシングのおもちゃを手に装着して「力石は食べなかった。金龍飛は食べられなかった。」を連呼。
 「お菓子の批評をします」といって、客に言われたお菓子を批評するヒップホップ。「パイの実。相当うまい。量に難あり85点」「ポテトチップス。味、量ともに素晴らしい。75点(!)」など。90点を超えた客には景品が。確か紙切れ。 (※殆どの演奏中に「お前らの飽きっぽい精神にはうんざりだ。音と音の《間》を楽しんでいこうぜ」「24時間これだけやってもいいと思ってるんだ!」が入る)
 口笛を吹きながら円盤内にあるものを次々ポケットにいれていく。「盗み」実演。
 「僕のラップは基本的に人の揚げ足をとっているのだが、ラップするようになって人の喋り方が凄く気になる様になった。言語を扱っているわけだから、言語に対して真摯でいたい」といって客に「ちょっとお話をしようか?」とマイクを渡す。会話の中で揚げ足をとる瞬間「ストリートファイター2」で対戦相手が乱入してくるときのSEが流れるという寸法。自分がミスしたときもSEを流して、深々と謝罪。
 立方体の光るオブジェにピックアップをつけて「オップアートじゃ!」
 前衛J-popの作詞作曲を客の前でやる。お客さんで来ていたカニバリズムガンジーバンドのベーダ氏に、どのコードを使うべきか尋ねる。ギターを弾いているベーダ氏に抱きついて「懐かしいやんけ、どこ行っとったんやー」といって顔をくしゃくしゃにして泣く。その後ツポールヌ氏にギターが渡され、凄い勢いで曲を作っていくのに「あ、あ、もういいです。こっから先は自分で作ります。」とギターを奪い返す。
 競馬の録音を流しながら、四本指であらゆる場所を打つ音をピックアップで拾う。「おうまさんがんばれ!」「お前ら予想しろやー!」
 「ぺったん、ぺったん」とやたら可愛い声で発話しつづける。
 テープレコーダーが殆ど壊れる。「逆境おもしろいぞ!逆境は人生のエフェクター!お前の心にコンプかけろ!」
 「おうまさん」の時に客が「エレクト」していなかった、ということで、もっと「おうまさん」で盛り上がっていこう、と再び四本指で演奏。大盛り上がり。
 幼少期の記憶、一人遊びをもとに展開される前衛演劇的演奏。(とても面白かったのですが、笑いすぎてかなり抜けていますし、これこそ川染喜弘のいる空間に身をおかないと共有できない演奏なのでレポできず)
稲葉浩志物語。(とても面白かったが、これも詳細は省く)
稲葉浩志の顎のイボ物語。(上に同じ)
河村隆一物語。(上に同じ)
長瀬智也物語。(上に同じ)
 機材が次々壊れてゆき、ついに演奏が止まる。「あー。サウンドパフォーマンス極めちゃったわ。20代のころだったら慌ててたけど、もう焦らへんわ。極めたわー…」と感無量になりながらゆっくりと「ヒヒーン」と言い続ける。「ピカソが青の時代を終えてキュビズムに突入したように、俺のサウンドパフォーマンスもピカソでいうところのキュビズムに突入したんやなあ」といって、「ヒヒーン」。「ヒ、ヒーン」「ヒヒヒーン」等。
 「今からゆっくり機材を片付けますけどね。一切焦りませんから。ヒヒーン。間を楽しんでいこうぜ」といいながら、絡まったシールドをばらし始める。「お前らの人生も、このシールドのようにこんがらがってるが、いつか解ける日が来るだろう」という至言。「このヒヒーンは美しい。このヒヒーンは他のヒヒーンとは全然違うんだ」
 リクエストライブ。客のリクエストに応える。ツポールヌ氏から「FF6の主人公が誰なのかを追求するラップ」、土川さんから「ツポールヌの物真似」が同時に要求され、二つをミックスしたラップを展開する。
 早朝チュンチュンラップ。「チュンチュンチュチュン、チュチュチュンチュチュチュン、ドッテンチカモクチュンチュンチュチュン」
 バウンスのインタビュー記事の全ての発言に(笑)をつけてなぜ笑っているのかを考察する。最終的には客を巻き込んでの議論となる。
 「火事を防ぐ魔法のリリック、ガス栓リリック、たてたて横尾さん」を連呼。客を巻き込んでレイブ状態にする。
 縦笛とリズムマシンによる演奏。円盤田口さん曰く「害のない地方妖怪に近い」
 発信器を使った演奏。
 ターンテーブルの上でコマを回す演奏。
 アニメ「ドテラマン」の敵が「暗鬼」などかならず「〜鬼」である事を逆手にとって、新しい鬼を考案する。客からどんどん新しい鬼を考案してもらい、模造紙一面に鬼が展開される。それを川染がラップ。「こんな前衛的なリリック見た事無いやろー」
 「あたしなんで抱きしめたいんだろ」というチャラの歌を物真似したあと、「なんで抱きしめたいのか」を議論。
 「相撲の行司を主人公にした漫画はまだないだろう」ということで、実演する。行司物語がどんどん逸れていって青春群像劇になっていく様は壮観であった。
 おもちゃの消防車を激しく走行させながら叫ぶ。
 ローワーケースサウンド(音と音の間が極端に広い、極端に音の小さいサウンド)の手法を導入した新しいコンパ、ローワーケースコンパの実践。
 ジョジョ風ラップ。
 球体を転がしながら「ほっほっほ」と言い続ける演奏。
 ピンポン球を二つ使った演奏。
 自分の過去のライブ映像を流しながら、「二十代はこれでええのや、みんな布団の中で泣きわめいとってもええんや!毎日泣いとったけどな、三十になったら自然とこうなるぜ!」とメッセージを送る。
 前衛演劇をやります、といって一人芝居。サンプラー、シーケンサー、ハードディスクレコーダー、アナログシンセなどの機材が全て盗まれてしまった兄弟の1シーン。「兄ちゃん、いいのかよ!音楽どうすんだよ!」「俺にはな、このピン球一つあれば充分や。そんでな、このピン球一つで、俺の機材盗んでいった奴とセッションすんのよ。あいつら、ピン球の音羨ましがると思うでぇ。このピン球さえあれば充分や……」
「必殺パターンでしめるぜ」といってFF5のエンディングを流しながら、24時間のダイジェスト。
 胴上げの後、ライブ中制作した前衛J-POPを全員で合唱。

10月13日 ぷりぷり誕生日 川染DJ
 ニット帽に眼鏡、という異常にDJっぽい扮装で、バキバキの四つ打ち(音割れすぎ)を流し、吸えない煙草を盛大に吹かす。メタDJ。「知らんぷり」など、「ぷり」がつく歌詞部分をループさせてぷりぷりさんの誕生日を祝う。コマネチ等。「23歳おめでとう。色々あるよね。僕なんかは、なんていうか、そうだなあ、カニバリズムガンジーバンドっていうバンドをやってて、イベントを企画したり忙しくなってきた時期だ。プライベートでは毎日泣いていたけど、今はこうやってみんなのまえでエンジョイできてる。だから、今は泣きわめいてもいいぜ!こうみえても俺、30よ。二十代は泣きわめいて、布団にくるまっていても、信じて走り続けようぜ。30になったら、こうやってみんなの前でエンジョイできるのさ!」BZのライアーライアーを熱唱。森高千里も稲葉浩志の物真似で熱唱。

10月26日 武蔵野美術大学
 椅子に腰掛け、足を椅子の背もたれに引っ掛けた極めて横柄な姿勢で、「むさびの皆さんどうもーう、過去にも未来にも究極の芸術家川染喜弘でーす。お前らおいしいぞー!究極のライブ見せたるからな!」ビート&ラップ。
 合成樹脂で出来たオブジェを床に叩き付けてペチペチする。
 ぴゅんぴゅん独楽をピックアップに付けてぴゅんぴゅんする。
 起こったら嬉しい事をリリックとしてラップして、客にダイブさせる。盛り上がる度にハイタッチ、客席に移動してのラップ、激しい抱擁など。
 「レコメン系とは前衛ロック」と連呼しながら竹製の筒を地面に叩き付け続ける。
 ストロボをたいて発光するぴゅんぴゅん独楽を回転させる。光と音がテーマのイベントであったため「どうじゃー光と音やろー」と何度も確認させる。マイクにエコーをかけてストロボ&発光で「トリップしていこうぜ!宇宙だ宇宙だ!」
 むさびコールしながら「イベントは大成功だ!」
 ライブ終了後も、パフォーマンスを続けていた。

10月29日 円盤 川染喜弘、ツポールヌツーマンライブ!
 いつもより時間が多めに設定された定期企画。
 例によって「お前らはおいしい」で始まる究極芸術宣言。
 実は楽器を持ってくるのを忘れた、とカミングアウト。「言うなればパットメセニーがギターを忘れたようなもの」であったが「しかし逆境でこそ、この川染は力を発揮する!!」
 サッカーボールを使って一人でPK。
 pkの流れで咽び泣きながら、「ハーフタイムに突入します」。ラップを少々展開した後、「ダメだ、いい曲が思い浮かばない」といって叫びながら円盤を飛び出すが、すぐ戻ってきて「オッケーイ!いこうかー!」
 不老不死に関するディスカッション。BZの形態模写で円盤店員に油性ペンを要求する。「不老不死の研究をしないことにはサウンドを極めるとは言えない。70年しか生きていないのと5000年生きているのでは音の追求に費やせる時間が違う筈だからだ」という暴力的な主張のもとに、観客に意見を要求する。川染喜弘から例として出されたアイデアは、「ロシアとエジプトに野菜をおいたらエジプトの方が野菜が早く腐る→寒いところでは老化が遅い→ロシアに住む。」というもの。しかし、これでは不死にはならないということで、ディスカッション開始。初めは脳科学や物理学の見地から話し合いを展開していたが、「東急ハンズで買えるようなものでできれば不老不死になりたい」という川染喜弘からの縛りが提出される。様々な意見が出たが、最終的に沢山生まれ変わっているという証言をもとに「美輪明宏の弟子になる」というものが結論となった。これに対しツポールヌ氏から《信用できない》という的確な反論があり、なあなあのまま終了する。
 その後、ヒップホップを極めた、と全ての音を止め「ラップしない。しかしこの状態はその実ラップをしているのと同じなのだ。全力で感じろ」と客に要求。「ヒップホップを極めた瞬間に、あなた達は立ち会っているんだ!」「いままで俺はヒップホップをあらゆる角度から追求してきた」等、補足に多くの言葉が費やされる。初めて川染さんを見たお客さんから「でも、極める前知らないし……」という発言があり、「よっしゃ、わかった!」と普段通りの激しい高速ラップを展開。ピックアップを使ったスクラッチも平行して演奏していたが、耐熱皿が割れており川染の指からおびただしい出血。BZの形態模写を利用して、自分の血液が出ている状況と精神状態を説明する。血液を口で吸いながらの演奏に口の周りが真っ赤になる。
 「ハーフタイム終了!」といってサッカーに戻る。川染お得意の即興劇でサッカーの試合がどんどん超宇宙的規模になっていく。「太陽と化したボールと突如あらわれた木星(ボール)が衝突する隙間をぬって、アンドロメダ夫くんのハレー彗星ボレーと冥王星太郎くんの流星シュートが……」という風な流れの中、激しいアクションと共に演奏。ブラックホールに指が巻き込まれたり、眼を自ら突いたり、時空を飛ばしたり、色々あったが、最終的に普通のシュートが決まる。「な、なにぃ!この期に及んで普通のシュートだとー!?」には笑わされた。その後、普通のシュートを決めた選手と惑星バトルを繰り広げていた選手の交流が展開される。「負けたよ、お前の、《普通のシュート》にはな。どこのチームでプレイしてるんだ?なるほど、普通のチームだ。普通のシュートが打てるわけだ……」等。
 その後、ラップなどあり、ライブ終了。

10月31日 川染喜弘presents 武蔵小金井アートランド
 三日以上経過してしまい、記憶がちょっと薄い。
 いつも通り「究極の芸術家」「あなたたちはおいしい」からライブスタート。
 栗の殻のレプリカをピックアップで擦る。「限りなく稚拙で情けない」コンセプトを体現するような演奏。「本物の栗じゃないから手が痛くない」
 逆境が襲いかかる度に「オッケーィ!」
 スピーカーのアウトプットとインプットを接続し、フィードバックさせるサウンド。ラジオの周波数を合わせて電子音を拾うサウンド等。「海外から大物ノイズバンドが来日していると思って聴いてくれー!」
 「BZがライブしていると思えばいい。アーティストの力ではなく、あなた達の想像力で勝手に楽しんで下さい」といって、横臥したまま動かなくなる。「こういうことなのよ。サウンドパフォーマンスアート極めると、こう、なっちゃうわけよ」 横たわって「ピクピク」と言い続け、手と足を痙攣させる。
 BZの稲葉の限りなく激しい形態模写。
 「お前ら俺の音楽で幸せかー?ハッピーになっちゃってんのかー?」
 藤子不二雄「A」なのか「F」かラップ。作品名に対し、「A」か「F」か答え、正解だとハグや握手が襲いかかる。
 何もない状態でダイブ、ブレイクダンス。
 ビートの音量を盛り上げての高速ラップ。

 非常に面白かったが、客が少なくて川染喜弘が憤慨していた。



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