12月8日 ぷりぷりの温泉
 いつものように、限りなく横柄な姿勢で「過去にも未来にも究極の芸術家」宣言。
 テレコからビート。高速ラップ。何度も音を止めては「これじゃ乗れないっすか?十分盛り上がると思うけど」
 「前衛盛り上がりしていこうぜ」といって、ダイブ。「サウンドアート聞きじゃくってんだろー!前衛盛り上がりしようぜー!」
 ブロッコリーの芯から発生する音をピックアップで拾うサウンド&ダイブ。「これが究極のミュージックコンクリートなわけよ」「今日ブロッコリーの音でダイブしちゃったよー、と彼女に話して下さい」
 髪の毛のかたまりから発生する音をピックアップで拾うサウンド&ダイブ。「お母さんに、今日髪の毛の音でダイブしちゃったよー、と伝えて下さい」「メロコア超えていこうぜ!」
 ダイブに次ぐダイブ。「(機材をいじりながら)このもたつきでダイブしてほしいわけよ」
 BZ稲葉の形態模写によるヴォイスパフォーマンス。
 「人生はどん底のどん底を味わってから!」という張り紙をした後に、激しいギターノイズをかきならしながらポジティブメッセージを叫びまくる。

12月16日 多摩美術大学上野毛キャンパス鏡の間 川染喜弘4日間連続ライブ1日目
 天を仰ぎながら口を固く結び、拳を握りしめながらゆっくりと登場。イベントを開始する挨拶とテープカットの儀式。ハサミでビニールテープをカットする音をピックアップが拾った直後、拾ってきたカシオのキーボードからビート&高速ラップ。
 「お前たちの熱い魂と冷たい魂と熱い魂と冷たい魂と」という助走の後、川染芸術理念ラップ。「いいか、今から前説をさせていただく。しかし、これからこの 8時間!前説だけで終わってもいいと、俺は思っているんだ!だってこの段階で俺の作品はすでに完成しているのだから!」
 「一見情けなく見える、稚拙に見えるもの、小さすぎるコンセプトの中に存在する宇宙を確認していこうぜ」
 4日間を通じて繰り出された定型文ラップ「俺にはもう時間がないんだ、ゴリ押しで入ってこい!入ってこい!入ってこい!ゴリ押しで入ってこい!だって俺にはもう時間がないんだから、お前らにも時間がないんだから!だって関東のプレートは曲がっているんだ!」このリリックは折を見て何度も何度も繰り返される。「トイレに行った瞬間トラックが突っ込んでくる可能性もゼロではないんだ!全力で感受していけ!」
 「俺には時間がないんだ。一刻も早く俺の口座に現金を振り込んでくれ!そしてそのお金をお母さんに逆仕送り!いいか!今!今すぐ!この状態を海外のレーベルに送れ!そしてそのお金をお母さんに逆仕送り!」これも何度も繰り返される。
 「お前たちは身体が健康なだけで幸せなんだ、ok、ハッピーでラッキーで行こう!俺はお菓子食っただけで結構幸せになるぜー!人生はそのくらい単純に楽しんでいこうぜ!」
前衛オペラ「前衛シンクロナイズドスイミング」第一話。

第一話あらすじ
 オリンピック、シンクロナイズスイミング会場。日本代表チームのトリオは「前衛シンクロナイズスイミング」と自称して、破天荒なパフォーマンスを開始する。それは、ハーシュノイズやローワーケースサウンド、無音などをSEに、トライアングルフォーメーションと呼ばれる技を繰り出す。三人がプールサイドに片足を乗せたまま「飛び込まず」に8時間待機するという過酷な技。「水の中で演技することだけがシンクロじゃない!」彼らの余りに前衛的なパフォーマンスに、審査員をはじめ、日本応援団、オランダ応援団などが激しいブーイングを飛ばす。そんな中、日本ベンチでは前衛シンクロの解説が盛り上がりすぎて、ほとんどの登場人物が死んでしまう。

第一話の登場人物
吉岡、松岡、木村(第一話の段階では佐々木という選手がいた気がしますが)……前衛シンクロナイズドスイミング「トライアングルフォーメーション」を敢行する三人組。
コーチ(シュトックハウゼン)……解説役。イケメン。実はマッドサイエンティストであり、毒入りビスケットで人を殺す!
カール……日本シンクロチームに憧れてオーストラリアから来日。しかし来日三日目でファミコンに出会い、シンクロに対する興味をなくしてしまう。小説のサンプリングをMAX/MSPでプログラミングして喋るカットアップコラージュ男。
ヨーコ……カールの許嫁であるとカールに紹介されるが、カールがサンプリングで会話していると暴露し、実は許嫁ではない、と言い張るよくわからない女。
チビ三兄弟……身長50センチのチビ三人組。声が高い。
山田……男気溢れる男。シンクロの補欠だが、それよりも演劇に夢中であり、シンクロに興味がない。
殺人ロボコン……コーチによって開発された殺人ロボ。回転するドリルを持つ。
審査委員長……オランダチームメンバーの親戚である。
オランダチーム……ずっと愚痴っている。

詳細
 トライアングルフォーメーションに行くまでの流れは失念。シンクロの選手から足が生えたり触手が絡み付いていたという記憶あり。トライアングルフォーメーションに突入し、会場中のブーイングをボイスパフォーマンスで表現。「水に飛び込め!水に飛び込め!」「そんなのシンクロじゃねえ!」「広島に帰れ!広島に帰れ!」など。適当な英語によるブーイングも。
 日本ベンチに視点が変わる。「(コーチ)あいつら、これから8時間あの姿勢でいるつもりなのか?」「(片言外人のアクセントで)佐々木選手ならやり遂げるよ!だってボクは佐々木選手に憧れてこの国にやってきたんだから!」「(コーチ)カールお前……」その後、カールの身の上話が延々続き、シンクロナイズスイミングからどんどん離れていってしまう。話しの流れで、許嫁ヨーコが紹介される。「(カール)ボクはヨーコの家の財産目当てに結婚を申し込んだんだ!ボクは全然ヨーコのことを愛してはいないんだ!」「(コーチ)貴様ぁ!」「(カール)ボクは実はシンクロに全然興味がないんだ。だってボクは来日して三日目でファミコンにはまってしまったんだから!」「(コーチ)カール貴様!」「(カール)ボクは早くファミコンがしたいんだ!シンクロなんてどうでもいいんだヨ!ファミコンをやらせろ!ファミコンをやらせろ!」「(コーチ)貴様!クズだな」「(ヨーコ)違うの、聞いて。彼は全ての発言を小説から適当にサンプリング、それをmax/mspでプログラミングして喋っているのよ!」「(コーチ)それにしては会話の辻褄が合いすぎてはいないか?」「(ヨーコ)でも全てがサンプリングなのだからいずれボロが出るわ」「(カール)ボクの言葉はサンプリングじゃないぞ!ボクを馬鹿にするな!」「(山田)頭が混乱してきたわい。わしは二つ以上のことを同時に考えると頭から蒸気が出るでゴワス。」「(コーチ)俺はどっちも信用するぜ。カールはサンプリングで会話している。しかし、本人はそうではないと主張している。この矛盾した情報を俺はどっちも信用してやろうじゃねえか!」「(ヨーコ)コーチ……」カールはどんどんカットアップコラージュ化していく(内容失念)。「(コーチ)確かに、こいつはMAX/MSPでプログラミングされているようだな!」
 同時進行で、チビ三兄弟も登場する。「(コーチ)お前たちは身長が低い!せめて身長1メートルを超せ!そうでないと身長制限に引っかかり、シンクロに出場することすら危ういんだ。さあ、牛乳を飲め!」「(チビ)はい!もう飲んでます!」「(コーチ)オッケーイ」
 カールとその周りは未だに揉めている。シンクロに一切興味がないというカールを退場させようと皆が躍起になって責め立てる。「(カール)ボクは今日3時までココにいるって決めたんだ!ボクはボクのスケジュールをまっとうするぞ!」「(コーチ)きさまー!俺はな、お前のスケジュールなんかどうだっていいんだよ!」「(カール)イヤダ!ボクは三時までここにいるぞ!だってスケジュールがそうなっているんだから!ボクはスケジュールにだけは忠実なんだ!そして、ボクはフライヤーを三百枚まきに来たんだ!自分の展示のね!明日の展示の写真もまだ一枚も撮ってないんだ!フライヤーをまくぞ!」「(コーチ)こいつ、クズだぜ」「(カール)ボクはスケジュールをまっとうするぞ!スケジュールをまっとうするぞ!」
 なんじゃかんじゃあって、カールを始末するために殺人ロボコンが回転ドリルでカールに襲いかかる。しかし、ヨーコがそれをかばって死んでしまう。ヨーコの死を巡って多くの会話がなされるなか、カールはコーチの毒入りビスケットを食べて死去してしまう。チビ三兄弟のうち二人も死亡。コーチも死亡する。日本ベンチにはチビ三兄弟の一人だけが残される。チビも実はシンクロに興味がないということを独白し、大殺戮の直前に演劇の上演に行ってしまった山田のもとへと向かう。男気溢れる山田は女役をやっている。上演中にチビは山田を「ファミコンをするのだが家に来ないか」といって劇場から誘い出す。チビの家は中目黒から徒歩70分のところにある。「(山田)それはもう中目黒とは言えないのではないでゴワスか?」「(チビ)いや、不動産屋に言われたルートを忠実に守ることによって、事実中目黒から徒歩70分になるんだよ」といって、二人旅が始まる。家に着き、テレビをつけると、シンクロの中継に繋がっている。「(山田)あいつら、未だにトライアングルフォーメーションを続けているでゴワス!こうしちゃおれん、わしは会場に戻るで!」といって家を飛び出す。「(チビ)山田の奴、シンクロに興味がないくせに。友達甲斐のない奴だ。それにしても山田の奴……あいつ裸足で飛び出していっちまうなんて。あれ……?山田の……下駄の鼻緒が……切れている……」
 ここで第一話終了。第二話の予告編。
 前衛盛り上がり。ダイブして手足をカクカクさせる。
 カシオ内蔵音源、音色あてクイズ。不正解の場合、ひょうきん懺悔室の真似で舌を出しながら顔面をクシャクシャにしてバツをくだす。
 発想の転換講義。川染母が経営する「笑顔サークル」の説明と共に、みんながポジティブになれるような講義を行う。「全てをプラスに捉えていこう!」といって、立てかけていた時計が倒れる度に「オッケー、コミカル入った!」「オッケー、チャンオペ入ったー!」
 イベント中にイベントをオーガナイズ。「プスマニア物語」という名前のイベントが開催され、全出演者演奏時間は一秒。「ドラムピッキング」「DJ太郎」「川染喜弘」の三組が出演した。
 プロポーズの言葉を考える。「一緒にサンプリングしないか。」など。
 犬の鳴き声あてクイズ。犬の鳴き声というよりハーシュノイズ。クイズ中に晩年であると滔々と語り始める。「俺は小学生の時はインスタントラーメンばっかり食ってたし、中高は菓子パン、上京してからはお菓子ばっかり食べていた。俺の身体はもうぼろぼろなんだ!だから俺の演奏は80を超えた電子音楽の大物が演奏していると思い込んで聞いてほしい。」といって、正解がチワワであることを明かす。その前説の後に聞くチワワの音は非常に壮絶な響きだった。「こんなチワワいたらめちゃくちゃやばいっしょ!フィールドレコーディングするっしょ!」
 締めの定型文ラップ「お前の心にコンプかけろ!逆境は人生のエフェクター!ハッピーでラッキーで行こう!人生はどん底のどん底を味わってからや!」
でライブ終了。二日目に続く。

抜けがかなり多い。
「聖徳太子ラップ」を披露していたことを書き漏らしました。多重録音された9人の川染喜弘の声をビートにラップ。「お前たちは今、未曾有の経験をしているんだ!聖徳太子ラップ!めちゃめちゃ新しいわー!」

(2日目もかなり抜けてます。)
12月17日 多摩美術大学上野毛キャンパス鏡の間 川染喜弘4日間連続ライブ2日目
 1日目同様、仰々しい緩慢な動きで入場。挨拶。
 ゆっくりとした口調で喋り始める。「昨日はちょっと飛ばしすぎた。そのせいで扁桃腺はすでに腫れ上がってしまっている。今日は昨日のようなエンターテイメント、勢いを期待しないでほしい。しかし、俺のテンションがそれで下がっているんだとは判断しないでほしい。俺は同じテンションのものを出していると信じている。言うなればこの、『静かなる闘志』を見てほしいんだ」といって、『静かなる闘志』の説明を静かな口調で延々と続ける。
 声がどんどん細く、高くなっていく。語尾に「ございやす」とつけ始め、その語尾について説明する。「これが俺の編み出した究極のヒップホップ、ヒップホップの手法を逆手にとった裏技、『後韻』で、ございやす。語尾を方便など特徴的なものに置き換えることによって、全ての俺の言葉は暴力的に韻を踏んだことになってしまうので、ございやす…。」その後、高速ラップ、随所に「ございやす」が挿入されることで独特のリズムが流れる。
 「ポウッ!」という発声と共に、スライド移動し、その方向を指差す。何度も往復しながら「ポウッ!」と発声する。「これよ…ねえ」といいながら椅子に座るかと思いきや「ポウッ!」の動き、何かを言いかけて「ポウッ!」の動きをするなど、様々なバリエーションが生まれていく。
 突如、上を向いて両手でマイクを抱えながら「アベカワモチー!」と叫ぶ。数秒に一回、確かめるように「アベカワモチー!」と発話。十数回のアベカワ餅の末に、「お前たちのバイト先に、めちゃめちゃ仕事熱心な奴がいるとしよう。お前はそいつが音楽をやっている、ということを知るだろう。お前がそいつのライブを見に行ったとしよう!彼はめちゃめちゃ仕事熱心なんだ。モップもタバコ吸いながら片手でかけるんじゃない、床を凝視しながらめちゃめちゃ本気でモップがけしているんだ!お前はそいつのライブを見に行って、そいつが、全力で『アベカワモチー!』と叫んでいたらどう思う?お前にその『アベカワモチー!』の切実さが解るか?俺のライブはそういう瞬間の連続なんだ!わかるだろう!アベカワモチー!」
 一人の観客が最前線で川染喜弘を凝視しはじめ、そのリリック一つ一つに過剰反応しはじめる。すると『静かなる闘志』を行っていた川染喜弘に変化があらわれ、いつも通りのテンションでラップしてしまう。「俺を椅子から立たせたのはお前が初めてだ。」
 ピックアップを貼り付けた板の上で石をスクラッチ。「これがカオスパッド。2万円で買いませんか」と石を売ろうとする。
 いかに自分が晩年か、ということを1日目の延長で話し始めたが、暴走する。「実家の風呂にウジ虫湧いてたよ。自分の体を清める風呂にウジ湧いたらめっちゃ凹むよね!やばいよね!晩年だよね!それに、俺の部屋にこーんなでかい蛇がとぐろ巻いていたことだってあるよ!あるんでございやす。めちゃめちゃでかい蜘蛛が出てきた事もあったよね、俺、戦ったよね、掃除機で戦ったよね、電源オンにしてめちゃめちゃしばいたよね、そしたらこーんなに大きかった蜘蛛が、めちゃめちゃ小さくなったよね!それと、うちは窓が閉まらなかったよね、雑誌が挟まってたから!その雑誌、小泉今日子と永瀬正敏が対談してるアンアンだったよ!めちゃめちゃ歴史的だよね!めっちゃレアなアンアンだよね!俺はそういうことを乗り越えて、今、こうしてみんなの前でファイトしているんでございやす!」
 自分のプロフィールを聞いて大盛り上がりしろ、と客に強要。「俺がジャニーズだったらプロフィール一つ一つで大盛り上がりだろう!ヨッケー!そういうことなんだ、ゴリ押しで入ってこい!ゴリ押しで入ってこい!それじゃ行こうかー、身長は168センチ!フー!」観客も歓声をあげる。盛り上がりが足りないようだな、といってサンプラーから4000人の歓声もアンプリファイされる。その後、質疑応答。客として来ていた映像作家の石田尚志に食らいついて質問を要求しまくる。「セッションの極意は?」「相手より大きい音を出さないことだ(客の歓声&4000人の声)」「異性の出身県で好きな県ってある?」「広島県とか方便が可愛いから好き(客の歓声&4000人の声)」「江田島平八ってどう?」「あんまり思い入れないっすね。(客の歓声&4000人の声)」「リゲティとクセナキスだったらどっちが好き?」「どっちもあんまり思い入れないけど、電子音楽だからクセナキスかな、思い入れないけど(客の歓声&4000人の声)」など。しかし、会話が噛み合ず、よくわからない流れになり、石田尚志が「演奏してもいい?」といってキーボードを演奏しはじめる。川染喜弘は「ゴリ押しで入ってきた!」と跳ね上がって演奏に参加してきた石田についてラップして、セッションが始まる。
 石田の現代音楽風キーボード演奏の音に合わせて、延々と「辰吉丈一郎」と「薬師寺保栄」を紹介しつづける。「続きまして、本日のメインマッチ!○○コーナー○○事務所属、○○ポンド」の○○の部分がどんどん改変されていくボイスパフォーマンス。
 どういう流れでそうなったのかは覚えていないのだが、川染喜弘の身体が究極進化を遂げる、という演奏が展開される。手や足、目などが次々と川染喜弘の身体に追加されていく。初めはデスピサロの進化程度だったが、どんどん逸脱し、体中からアナログシンセが生えてきてしまう。羽根が生えたあたりで、究極生物は合コンへ行き、女をゲットできなかったり勘定を支払わずに店を出たりする。アナログシンセがあまりに大量に身体に生えてきてしまい、川染喜弘はその場から動けなくなってしまう。「足が6本の頃に……戻りたい……!」その場で出産し、究極生物川染喜弘の子供も生まれる。進化の過程で何かの折に「シンクロ」という単語が出てきてしまい、「前衛シンクロナイズドスイミング」のラインと進化した川染喜弘のラインが合流してしまう。その過程で石田は仕事のためにいなくなる。
 会場に向かう山田は究極生命体川染喜弘に出会ってしまう。そして、川染喜弘のアナログシンセから発せられる謎のサーチライトを浴びて瀕死の重傷を負ってしまう。山田の後を追ってきていたチビもまた、究極生命体川染喜弘と出会ってしまう。なんじゃかんじゃあって川染喜弘は死ぬが、その後彼が進化の過程に出産した子供とチビの死闘が繰り広げられる。主に殴り合い。死んだと思いきや日本刀を隠し持っていた川染の息子にチビは刺されてしまう。チビも瀕死の重傷を負うが、殺人ロボが代わりに息子と戦闘する。殺人ロボも、死んだと見せかけて日本刀をまだ隠し持っていた川染の息子に刺され、電源をオフにされてしまう。チビが再びとどめを刺しにいくが、川染の息子はまだ日本刀をもっていて、チビは再び刺されてしまう。
 その後、死にかけのチビによる「もっと長生きしたかった。お菓子もいっぱい食べたかった」などの独白が延々続く。這々の体で、チビはシンクロナイズド会場入り口まで辿り着く。死にかけたチビが神の意識とアクセスし、コーチがよみがえる。「崖に落ちたが、ちょうど落ちたところにクッションがあったのさ。それより山田のやつ、さっき死体が転がる横でコンビニに入って、おでん買ってやがったぜ」「あいつ、クズだぜ」コーチは出血多量で死んでしまう。再びチビの死にかけの独白が続く。「身体の関係ないところが痛んできやがった。駄目だ、太ももがパンパンにはってる。そうだ、こういうときのために医学書を持っていたんだ……『太ももが痛むときは患部にオキシドールを塗る事』……だめだ、オキシドールを持っていない……おれはもう死ぬんだ……」山田はおでんを差し入れに会場近くまでくるが、会場近くで力つきて倒れてしまう。
 携帯電話にピックアップを装着して即興演奏。
 バンド名を考える。などなど。
 ラストは定型文ラップ。
 かなり忘れてしまいました。
 3日目に続きます。

12月18日 多摩美術大学上野毛キャンパス鏡の間 川染喜弘4日間連続ライブ3日目
 自分が見た川染パフォーマンスの中でも最高のクオリティだったためレポが難しい。

 1日目、2日目同様、天を仰いでの入場。例によって、観客への挨拶を始めるが、イベント名を突如失念し、噛みまくるグリッジボイス。
 定型文の叩き込み。客に「僕の言っていることが、ちょっとわかんない、と」といいながら顔をしかめて首をしかめるアクション。「お前の言ってることは解るけど、ちょっと待とうよ」といって隣の人間の首に腕をまわすアクション。「ちょっとわかんない、と」と「ちょっと待とうよ」を組み合わせたミニマル演奏を展開。
 「やっばいね、持ってきて」というロスアプソン店長の形態模写と、「これやばくないすか!やばいっすね!ヤベー!シビー!」という「ヤバい」の活用によるミニマルラップ。
 ある特殊演奏と演奏の間は全て、脳みそが勝手に喋っている状態でラップをする「フロイトラップ」 言語コラージュの極地。
 「小学生の時ね、校長先生の話が長かったと思うんですけども、運動会なんて特にね、炎天下の中校長が1時間も話してしまって、熱射病で倒れる生徒もいましたけども……いまから、それやります。わかりますか。いまから、1時間校長先生の話をします」といって、突然小学校の運動会の開会式が始まってしまう。「いまから始まる1時間の話、つまんねーよ、と。それでいいんですよ!だってそういうコンセプトなんだから!むしろつまんねーよ、と思って頂いたほうが、コンセプト通りだし。いまから行われるパフォーマンスを最も素晴らしい状態で享受したい、というかたは、是非とも直立不動で聞いて頂きたい。」という説明をすると、客の一人が本当に直立不動で聴き始めてしまう。
 はじめは、運動会の話らしく始まったが、だんだん言語コラージュが進行して異常な世界に突入する。だいぶ省きますが、簡単な流れを。「かけっこで負けたからといって、恥じる必要はないのです。むしろ、僕はがんばったよ、びりだったけど走り抜いたよ、と保護者に報告してください。心を運動させると書いて運動会なのですから、皆さんは心を養って下さい。そして、騎馬戦で帽子を取るのに夢中になってしまい、子供を踏みつけてしまう。こういった事は避け、人を慈しむ気持ちを養って、落ちた子供に手を差し伸べて下さい。その姿勢が、心の緑化につながり、地球温暖化の抑止、緑化運動へと繋がるのですから、みなさんは勝負に勝つのではなく、心を運動させてください。また、保健室は大変混み合います。みなさんが少しの怪我で保健室に殺到しますと、保健室がパンクしますので、なるべく近所のコンビニエンスストアでバンドエイドなどを購入して下さい。それによって、国家公務員としての保健室の先生の仕事が軽減されますので、ご了承ください。また、会場の椅子は子供以外の方に用意したものなので、子供は絶対に座らないでください。子供は体育座りをしてください。また、保健室の方からコーンクリームチーズケーキの方を支給させて頂いておりますが、こちらのほう、かなり傷んでおりますので、お口に合わないというかたの為に、おしぼりを用意させて頂いておりますので、そちらの方でお口を拭いて頂くシステムとなっております。こちらの方、伊勢丹さんの協力で配布させて頂いております。また、保健室のほうで、暖かいスープも用意しております。材料の方を紹介させて頂きます。タマネギ、人参、チオビタとなっております。こちらのスープのほう、先着一名様となっておりますので、ご了承宜しくお願い致します。コーンクリームチーズケーキを作っております、シェフのプロフィールを紹介させて頂きます。吉田松陰さん。こちらの方は、三十年ヤクルトスワローズに在籍、その後右足首ふとももを捻挫、チームの方を退団されまして、現在はWebデザインのほうに専念されています。」その後も何度も上のような話が続き、「それでは、運動会における注意事項をいまから箇条書きで述べさせて頂きます。『1、体温計を口にくわえたまま、走らない』体温計を口にくわえたまま走りますと、口の中で体温計が割れ、水銀が飛び散りますので、体温計を口にくわえて走る行為は避けて下さい。『2、コーンクリームチーズケーキを口にくわえたまま走らない』続きまして、3個目の項目、4つに分かれておりますので、そちらの4つを紹介させて頂きます。『1、体温計を口にくわえたまま、走らない』『2、コーンクリームチーズケーキを口に加えたまま走らない』『3、添乗員の方も女性ですので、添乗員ともめ事を起こさない』……」というように、どんどん積み重なっていく。
 以下、この演奏に出てきた主題です。細かい描写はできないが、こういった主題の組み合わせで1時間以上即興演奏が続く。
 「箇条書きで配られたプリントを朗読させて頂きます。こちらのほう、4項目に分かれております」→「〜しない」というものを連続して発声し、繋げていく。「アナログシンセを口にくわえたまま走らない」「パン屋で働いているのに嘘をつかない」「人を信じ抜く事」など、多種多様に変容する。
 「こちらの項目にクレームをいいたいという方のための郵便番号を百個ほど述べさせて頂きます」→「東京都千代田区イッサイバシ町マルタビル2階トキワビル3階」と、ビルの中にビルをどんどん建設しながら住所を羅列していく。
 「こちらの住所の方、添乗員がおりませんので、添乗員を呼び出したい方の為の電話番号をいまから百個ほど述べさせていただきます。」→「1000番、4000番、3000番、6000番、となっております。」→「こちらの6000番の方、添乗員が一人もおりませんので……」にも繋がる。
 「こちらの番号先には、添乗員が4人控えております。添乗員のプロフィールを紹介させて頂きます」→「吉田、ヒコヒコさん。ヤクルトスワローズに在籍、〜年退団。その後、政治家に転向。」数多くのヤクルトの選手、政治家が発生する。
 「アナログシンセの使用法について、いくつか留意点がありますので、述べさせていただきます。」→「モジュレーター」「インジケーター」「ソフト」「MAX/MSP」などの単語を巧みに組み合わせていく。「モジュレーターソフト、インジケーターソフト、モジュレーターインジケーターフィルタリングソフト、MAX/MSP起動用ソフト、MAX/MSP用モジュレーターソフト……」と延々続いていく。→「MAX/MSP波形編集インジケーターモジュレーションフィルタリングソフトについて、箇条書きで説明させていただきます」などにも繋がり、変化していく。
「こちらのソフトのダウンロード先のアドレスを述べさせて頂きます」→「http://.comとなっております。」→「こちらのサイトにアクセスして頂きますと、四つのアイコンが出てきます。こちらのアイコンのほう、4つの色を用意させて頂きました」→「レッド、グリーン、イエロー、モスグリーンとなっております」モスグリーンがいつも在庫切れになっているため、クレーム先のアドレスにも繋がる。「こちらのイエローのアイコンをクリック致しますと、パソコンが爆破する仕組みとなっておりますので、絶対にしないでください」
 「グリーンのアイコンをクリックして頂きますと、店長の似顔絵が出てきますので、店長の右目をクリックして頂く事で、BBSにアクセスします。こちらの方に感想などを投稿して下さい」→店長の顔が気に食わない時のクレーム先にも繋がる。また、アナログシンセの使用法や、4色のアイコン、添乗員のプロフィール、住所、番号、全てに接続してしまうという点だけ見れば最終地点。
 1時間45分ほど校長の話が続いたが、川染が気を利かせてひとまず演奏終了、その間、直立不動の彼はずっと直立不動をしていた。
 直立不動の勇者をたたえる打ち上げがライブ中に始まってしまう。その後、直立不動の勇者による謎のカラオケ大会になってしまうが、「彼は1時間以上立って聴いていたんだぜ!このライブは彼のライブでもあるんだ!彼はこの4日間にあらわれた勇者なんだ!」
 あまりにトリップしすぎて、この後少しライブ内容がぶっ飛びました。
 神話の創出。「紀元前にアナログシンセを初めて演奏した神」の話を織り上げていく。アナログシンセの神は、頭に大量の鳥を飼っていて、鳥達にいつも脅迫まがいの精神攻撃を受けていた。人の首に腕をまわすアクションをしながら「おい、ケンジ、ケンジ!こいつだよ」と膝蹴り。その直後に蹴られた側に主体がうつり 「いや〜、そんな事言ってないスけどね、ハイ、言ってないっスね、ハイ」というリアクションの繰り返し。かなり抜けがありますが、アナログシンセの神はトラックにひかれてしまう。その際、倒れ込んだ川染さんの頭がキーボードに触れ「ポ、ポン」という情けない音が出る。「オッケー!チャンオペ入ったー!」といって、その後の演奏の中で、倒れこむ動きを利用したキーボード演奏が再現される。
 「アナログシンセの神はトラックにひかれたよね!それでどうなったと思う?(客が解らないと言う)わからないよね?彼は頭から空豆を出し続けたんだ!(頭から溢れ出た空豆をかき集める動きとともに)オロロロロ、オロロロロロロロロ、オロロロロ、オロロロロロロ!さあ、この空豆はどのくらい出続けたと思う!(客「十時間?」)違う!十一時間出続けたんだ!オロロロロ!それで頭から血がプシューでてどうなったと思う?花に水をやることに成功したんだよ!それでどうなったと思う?花が咲いたんだよ!その直後にまたトラックが突っ込んできたよね!それでどうなったと思う?頭から空豆を出し続けたんだ!」といった内容を繰り返すラップ。
 「えー、いまからゲストを紹介します。『透明人間バンド』!!彼らは透明人間だから姿は見えないけど、確かにそこにいるんだ。一人一人メンバーを紹介していこう、トニー!ジャック!笹塚!メルツ!」しかし、このメルツという男が一切いう事を聞かない透明人間だった。「おい、メルツ!こっち向け、メルツ!メルツ!(腹を殴られたというアクション)ウッ!きっさまぁー!」といってエア喧嘩開始、30分以上に渡り、透明人間との死闘を繰り広げる。ステージ裏に回り込んで、激しい戦闘が行われている音を演奏する。死闘の末にエア和解。「もう一度紹介します、『透明人間バンド』メルツ、演奏してくれよ。みんなお前の曲、聞きたがってるぜ。おい、メルツ、メルツ!(腹を殴られるアクション)きさまー!」再び、エア死闘の繰り広げられる。20分ほど戦って再び和解。川染喜弘の右腕はひきちぎられている。「(右腕を後に回し『千切られた』ということを表現しながら)えー、お見苦しいところを見せてしまいました。本当に、申し訳ありません(深々と頭を下げる)。それでは演奏して頂きましょう!『透明人間バンド』の皆さんです!曲名は、『DEMO』!!」このかけ声と共に、カシオのキーボードに入っている限りなくしょぼいDEMO演奏が会場に鳴り響き、観客は全員感動。「お前らこんな気持ちでカシオのDEMOを聞いたことないだろ!フー!」といいながら、会場内を走り回り、踊り狂う。
 前衛ダイブの時、手足をカクカクやる動きはおもちゃ太鼓の動きのカバーだ、といって、「ピポパピポパ」といいながら手足を動かしつづける。
 「いい曲が浮かばない!」といって、暗幕をくぐり抜けて客に見えない状態でピアノを乱打する。即興のピアノ演奏ののち、勢いよくステージに帰ってくると、ものすごい速度で楽譜に曲を書き始める。「駄目だ、こんなメロディーじゃない!」などといいながら、またピアノのほうへと一目散に走り抜けていく。何度もそれを繰り返し、ついに「できたー!」と叫ぶ。その曲を描写する言葉が沢山重ねられましたがほとんど忘れました。「森の奥から動物の声や妖精さんの声が響き渡る様な、大自然のうねり、そして、ケータイのメール早撃ち選手権で女子高生を打ち負かし、その時の音をRECして、MAX/MSPに打ち込んで波形編集、その音を更にDATに録音したものを、さらにMAX/MSPで波形編集」など、この何倍ものシチュエーションをラップした上で、「そんな《響き》をもった楽曲が、いま、完成した!」
 前衛シンクロナイズドスイミングはとんでもない展開を見せる。死にかけたチビは包帯ぐるぐる巻きになりながら、観客席で日本を応援する。その時、会場スタッフの男らしい声の男(片山だったかな)が、日本の吉岡選手の足が限界であるということをチビに告げる。彼の足に銀色のピックを21枚刺すことによって、針治療の要領でもしかしたら踏ん張る事ができるかもしれない、という事実が伝えられる。そして、そのピックは世界中に散らばっているという。チビは満身創痍の身体を引きずって、世界に散らばったピックを手に入れる冒険を始める。残り時間は4時間だ!チビはいきなり一個目のピックを電信柱の影で拾う。これは幸先がいい。「アテンションプリーズ」成田空港ではチビがかわいいという理由でパスポート無しで通過することができた。一方、山田もピックの件を知り、チビの後を追う。山田は男気に溢れているという理由でパスポート無しで通過。チビは3枚のピックを各国をめぐって手に入れる。かたわら、山田は十数枚のピックをすでに手に入れている。チビが次に向かったのは東ユーゴスラビアの宮殿だ。そこでは7人のナイトがピックを守っている。死にかけのチビは7人のナイトと死闘を繰り広げる。一人目のナイトは特殊剣「まどろみの剣」の使い手だった。まどろみの剣とは剣を振り子のように振る事で相手を異世界へと送り込む剣術だ。チビはまどろみの剣によって、異世界に飛ばされて、まさに危機一髪の状態になってしまう。そこに山田が到着し、まどろみの剣のナイトと死闘を繰り広げる。
 その死闘の内容がもはやフロイトラップすぎて、本人も混乱していた。振り子状に剣を振りながら、『京王井の頭線』の駅名を延々暗唱しつづける。「吉祥寺!久我山!明大前!下北沢!三鷹台!」「うおー、頭が、頭が割れそうじゃワイ!」「山田!その声を聞くんじゃない!(異世界に飛ばされている為に、チビが台詞をいうたびにいちいちミキサーでエコーをかける)」「はははは、どうだ!この、『京王井の頭線ごっこ』は!」「くそー、ワシも負けておれんわい!(腕を振りながら)代官山!学芸大学!自由が丘!菊名!田園調布!」「何ぃ!?まさか、『東横線ラップまどろみの剣』だと!?」その後、延々腕を振りながら駅名バトルが繰り広げられる。東横線まどろみの剣が競り勝ち、まどろみの剣の使い手ナイトは敗れ去る。「(少しずつエコーを解除しながら)異次元に飛ばされていた僕の意識が……戻っていく……!」
 「ついに一人目のナイトを倒した二人。しかし残るナイトは6人!果たして二人はピックを手に入れることができるのか!?こうご期待!どうもありがとうございました。川染喜弘でした」といってライブ終了。
ライブ終了後、川染さんと僕がトークし、3日目終了。百分の一もレポできませんでした。

12月19日多摩美術大学上野毛キャンパス鏡の間 川染喜弘4日間連続ライブ3日目
 幕の後から川染喜弘のピアノ演奏が会場に響き渡る。1〜3日目同様、天を仰いでゆっくりと登場。
 へろへろのシャドーボクシングと共に「ジョーヤブーキ、ツヨカーッタネ、タタカーッタネ、パンチオモカーッタネ」を何度も繰り返す。「俺はもう3日目の段階で燃え尽きてしまったんだよ。いや、実を言うと3日目の途中、校長の話の時に限界は来ていたのだが……明日のジョーでいうと燃え尽きてしまったあとをお前達は見ている事になるんだ。明日のジョーでは真っ白に燃え尽きていたけど、俺が行くのはその先、『灰すら残らない透明な風景』だ!これが前衛ヒップホップのネクストステージ、『パンチドランカーラップ』よ!」といいながらカーロスリベラの形態模写。「俺はいま、自分が何を言ってるのか全く解っていない状態だ、完全な無意識な状態にいるということだな。これをそう……いわば『フロイトラップ』だ……!」
 力をためた後、客の一人を紹介するアクションと共に「山田ー、ヒコヒコ君だー!彼はね、普段薬局で働いているんだけど、かけつけてくれてるのよ、ウーム、山田ー、ヒコヒコ君だー!」と繰り返す。突如、ピッチャーマウンドでキャッチャーからの指示を断り続けるピッチャーの形態模写。リリースの瞬間までをスローモーションで演じてピッチングしながら「山田ー!ヒコヒコ、君だー!」バッターボックスに移動して、それをヒッティング。ホームラン。塁を回る野手、うなだれるピッチャーの形態模写。
 「俺のライブは前のめり前のめり、ゴリ押しゴリ押しで楽しんで欲しい!ゴリ押しでゴリ押しでゴリ押しでゴリ押しでゴリ押しで!」と言いながら客席を突っ切り、体の前で腕を回転させながら幕の後へ走り去っていき、ピアノの即興演奏の後、幕から勢い良くあらわれて「ゴリ押しで見てほしいわけよ、わかる、ゴリ押しでゴリ押しでゴリ押しで…」この一連の動作を何度も反復する。
 「ゴリ押しの感受性でハアハアで見てもらうのも当然なんだけど、俺のライブにはアンビエントの要素も含まれているわけだから、無理を言うようだけどめっちゃ盛り上がった状態を保ちつつ、思いっきりくつろいでほしいわけよ。そのために、お菓子を用意してもらっていいんだから。主催者の人が絨毯まで敷いてくれているのだから、横になってくつろいで、自分の周りをお菓子で囲んじゃえよ!(自分の身体の周りを一カ所ずつ指差しながら)ポテトチップス…!アルフォート…!かっぱえびせん…!アラポテト…!」お菓子が十個ほど集まった瞬間、魔法陣が完成する。魔法陣が作動する様を声と動きで表現、回転しながら横方向へ3メートルほど移動し「さっきと違う場所だ……一体どうなっているんだ?」再び、ライブ鑑賞の示唆と共にお菓子の列挙を開始する。再びお菓子が十個集まり、魔法陣が作動。回転しながら元の場所へ。「これは……そうかお菓子とお菓子同士の時空が繋がっていて、ワープしてしまったんだ!……という風に見てほしいわけよ!」
 「魚を油で焼くのは油の過剰摂取で身体に悪い。魚は煮て食え!」を反復し、「お前は魚をどこで買ってるんだ?いなげやか?サミットか?西友なのか?」と客に問いつめる。
 カシオのキーボードに内蔵された99のビートをおさらいする。フィルインも交えながら「フー!フーって何よ!これでダイブしちゃって構わないんだから!」といって、優しいダイブ、手足のカクカク。「ちょっと本腰を入れようか」といって、ミキサーにキーボードを直に繋いで演奏。タバコを口にくわえて、クラブの形態模写、メタDJタイムが始まる。照明を明滅させる指示が飛び、完全にクラブになる。やがて、会場を暗転させて、気がつくと激烈な電子音楽の即興演奏に移行している。その後、2時間近く真っ暗闇の中でミニマルノイズ。「カワソメさんもうやめてくれー!」という悲鳴が飛び出し客が一人半失神状態になる。
 即興演奏終了後、究極のもたつき、ラップ再開。「待とうよ!焦るな!解るけど待とうよ!落ち着こう!」と落ち着かない状態で反復。即興演奏に関するレクチャーラップ。「なんでもかんでもスーツ着て深刻な顔で演奏していこうぜ!」
 客の一人がおそまつ君の末っ子である、と指摘し「彼は海から運ばれてきたんだ!俺が初めて彼と出合ったとき、彼は段ボールの中で震えてたよね!俺は彼の頭を《なぜなぜ》してやったんだ。そして、彼の頭は金髪だった!なぜだとおもう?それは彼の両親が金髪だったからさ!お前の父親の名前はパエリヤだ!お前の父親の名前はパエリヤだ!」
 脳内にテープレコーダーをはめ込まれた改造人間、フィールドレコーディングマンがフィールドレコーディングにいそしむ様を即興で演じる。最初の指令は、鳴かなくなった犬の鳴き声のフィールドレコーディング。しかし、川染喜弘のテレコの調子が悪く、フィールドレコーディングマンとしての演奏に支障が生じる。そこで、脳内にはめ込まれているのがテレコではなくMDプレーヤーであるという設定に変更し、手術風景を演じる。犬の鳴き声(キャン)をレコーディングすることに成功し、その犬の鳴き声をその場でダンストラックにリミックスする等。ちょっと、内容が入り組んでいたので色々忘れてしまったのですが、「もうフィールドレコーディングマンが出てくる事はないだろう!」といってエンディングテーマ。
 川染善(ぜん)弘ライブパフォーマンス。川染喜弘がよくイベントなどで名前の「喜」を「善」に間違えられてしまうという怒りをラップする。「もうこの際、今日この日から、川染善弘としても活動しようと思うんだ!」と宣言。善弘がどのようなライブをするのか?ということを客と話し合う。『ピンスポ。吃りながら、ヒーローっぽく登場し、ノーマイクで食べ物に関するMC。吃りながら般若心境を唱え、写経する音をコンタクトマイクで拾い、演奏終了後瞑想。
 二曲名は左半身の動きを制御しながら、タップダンスをし、あらゆる歌の完コピをする。間奏の時に瓦を割る。』という設定に決定し、実演する。善弘ライブ終了後、善弘コールとダイブの嵐に会場が包まれる。
mixi川染善弘コミュをその場で作成する。
 ピックアップを装着したかばんにクリンチしつづける。かばんにクリンチに関する講釈。「もう芸術の概念を変えていこう!電子音楽家が使ってる機材よりも、どんなかばんを使っているのかを考えていこう!」ゴリ押しの観客が機材(かばん)を覗き込もうとしたときに、露骨に嫌な顔をして機材を見せないようにする演奏家の形態模写。楽譜にそのまんま「かばんにクリンチ」とだけ書いてあることが明かされる。
 駅の到着音を考案する。客に指定された駅名を歌詞に組み込んだBZの稲葉の形態模写。「こんなのが電車に到着する度に流れたらヤバいよね、トリップするよね! 3日目に登場した透明人間がまだ会場内にいて、しかもメンバーの一人が誕生日だと言う。みんなで彼のためにバースデーソングを歌ってやろうと、提案するのだが、透明人間(カールシュトックハウゼン)が頭を下げようとしないことに川染喜弘が怒りくるって、残り時間が1時間を切ったというのに、透明人間をエアリンチし始める。30分近く、執拗にボディブローを叩き込み、首根っこを掴みながら会場内を徘徊する。「すいませんね、こいつ、頭下げないんで……」といいながら永久に続くかの様な幸福なリンチ。バースデーソングを全員で合唱し、合唱後なぜかまたリンチ。
 前衛シンクロナイズドスイミング最終話。あらすじの説明だけで10分以上費やす中、残り時間は迫っている。シンクロの選手吉岡は今回限りでシンクロを止める決意であったことを、よりによって試合中に告げる。そして、足は完全にプルってしまっている。その足の震えを止めるために、瀕死のチビと山田が世界中に散らばった銀色のピックを20枚集めなければならない。すでに17枚まで集まっている。ほとんどは山田の活躍だ!あと3枚は北ユーゴスラビアの宮殿に隠されている。その宮殿には7人のナイトがピックを守っている、残り5人!……というのが前回までのあらすじ。
残りの一人目のナイトはシュトックハウゼンにそうしたように、リンチ用のパンチ一発で倒される。二人目は30メートルの刀身を持つロングナイト。「長いのう、貴様」「お前は俺に近づく事もできないだろう」「おれは剣をうまく飛ぶ事ができるんだ」「なに!こいつ剣をうまく飛んできやがる!」パンチ一発ko。三人目はディレイナイト。発言に全てディレイがかかっている。パンチ3発KO。「くそったれ……(ディレイ)」四人目はハウリングナイト。全ての発言にハウリングディストーションがかかっている。パンチ2発Ko。悲鳴がノイズ。五人目は高速ナイト。速い。「速いがお前には隙がある!頭上だ!」続くナイト長が最弱で、自己紹介直後にパンチ一発で死亡。ピックをゲット。
 次のピックは日本の柔道場。あっさりゲット。
 ラストのピックはインカ文明の隠れ遺跡に隠されている。ここまでいい調子だった山田がここで「心の病」にかかってしまい、戦闘不能になる。「すまん、チビ、わしはもう心がブルーで戦えそうにないんじゃ……」チビとインカ人の死闘。追いつめられたインカ人の最終兵器、額からビーム「インカスパーク」が炸裂する。インカスパークとそれを避けるチビの動きが反復してミニマル演奏に変奏されていく。全く勝負がつかないので引き分けを申し込む。ピックを半分だけ渡そうとするインカ人にチビが怒り、再びインカスパークとチビのミニマル演奏。死にかけのチビがまた「お菓子が食べたかった」などの独白を始める。独白中に使命感を帯びたチビが、決死のアッパーを叩き込み、インカ人をKOする。
 前衛シンクロ会場にシーンが戻る。「残り時間が30分を切っています!」吉岡がギリギリの状態。メンバーがくじけそうな吉岡を応援する。客にも吉岡コールを要求。そこに20枚のピックを持ったチビが到着し、ピックを投げる。吉岡の足が針治療の要領で治る。チビ、死ぬ。
 吉岡が独白を始める。自分の足がなぜ治ったのか、そしてシンクロをこのまま完遂することに対して想いを独白する。その独白に、チームメイトが過剰反応し、なぜか喧嘩に発展する。「きさまー!」「やるのか貴様」「やってやろうじゃないか!」「やめてくれよ!」「わかったやめよう」「おれはやめないぜ」「きさまー!」の反復。オランダチームも揉めはじめる。「ボクはアレをシンクロナイズドスイミングとは認めナーイヨ」「ミトメローヨ」「カバネロオチツケ!」「ボクのお父さんは審査委員長ヨ!きっとパパなら芸術点を0点にしてクレールヨ!」 残り時間一分「あいつらは自分たちを信じてあんな不格好なシンクロをしてるんだ、応援してやろうぜ!がんばれ!ニッポン!ニッポン!」日本コール。客の日本コールをビートに川染喜弘の実況ラップが重なる。
 ついに前衛シンクロを成し遂げ、ついに芸術点が発表される。その間、静寂が流れ、吉岡たち三人の会話が始まる。「前衛シンクロ、やれてよかったよ…」「そうだな」「でもこれ、前衛って言えるのだろうか?」「言えるさ」「すごいブーイングだったよな」「ああ」「最初はぽろぽろ泣いていたよ。ついに自分の信じるシンクロができて……俺、身体も弱いし、この演技が終わったら死んでしまうかもしれない、ボクの中ではこの演技は10点満点さ!」といいながら、吉岡のボルテージが上昇していく「やっぱりだめだ点数を見るのが恐いんだ、足がもうもたない」「落ち着け、吉岡、お前はナイーブすぎるんだ」「みんなありがとう、みんなとシンクロできてよかった!」吉岡が暴走する。「落ち着け吉岡!」取り乱す吉岡。十点満点かどうかで吉岡が激昂し、二人は暴れる吉岡に手をつけられなくなる。悲喜こもごもすぎていっこうに落ち着く様子のない吉岡。「ボクはもう死んだっていい!お前らと出会えたんだ、僕たちの芸術は満点さ!万歳してくれ!お前らに気持ちは伝わってるのか!万歳してくれ!僕たちの芸術万歳!」「おい、点数が出るぞ……」「芸術点……10点満点中……2点!」「吉岡……?」「涙で、電光掲示板は見えないんだ。僕たちの芸術は10点なんだろ?いや何点だっていいさ、ボクは前衛シンクロをやりきったんだ……!」吉岡、水に落下する。「よ、吉岡ー!」ミキサーで声をいじり「吉岡ー!(ディレイ)」
 会場に山田が到着する。チビが死んだことを告げられ「なんやてー!」ミキサーで声をいじり「なんやてー!(ディレイ)」「わしが心の病なんかになってしまったばっかりに、わしの心が弱すぎたあまりに……」
 山田、電光掲示板を確認し、あまりの低得点に激昂「わしはもともと喧嘩ッ早いんじゃー!」といって審査員に殴り込みを欠ける。またエアバトルが繰り広げられる。「最高の演技やったのに、2点とはどういうことじゃ!」
 「審査員室に、何やら野獣のような男が迷い込んでいるようだな」「審査委員長の心も揺れているようですよ」「実のところ、わたしはいま動揺しているんだ。初めて見たものだから。オランダチームはわしの母国だ。正直言って……わしは贔屓をしていたんだ。」山田が結果を変えろ、と主張し、審査員たちに暴力を振るいつづける。「やめろ!もうメディアには連絡を入れてしまって結果は変わらないんだ!」「シンクロがなんじゃい、全部ぶちこわしじゃ!」点数は審査委員長の気分一つで満点にできるのだ。電光掲示板のスイッチを操作すれば、結果を変えることができる、と審査委員長から告げられる。そして、審査委員長が前衛シンクロに感動していたこともここで告げられる。
 電光掲示板は、閉館時間がすぎてしまって、自動センサーで針がついた殺人扉に阻まれている、ということが判明する。スイッチはその殺人扉をくぐり抜けないと押すことができない。その上、センサーに向かう通路には恐ろしい猛獣が20匹いるという。山田は20匹倒す事を決意する。
 山田とセンサーを守る20匹の猛獣との死闘。「俺の名前はケルベロスだー。わしがどんだけセンサーのことを考えていると思っとるのだー」パンチ一発KO。その後も同じパターンで怪人が出てきてパンチ一発KO。しかし、ドリル怪人との闘いで、山田は死んでしまう。「わしはあと17匹は無理じゃ、わしはスイッチを押せなかったのじゃー!」プールの管理人の河村さん「山田が死んだ……気配で分かる。わたしが行こう」河村さんと猛獣の闘いが始まる。河村さんもナイフで刺されてしまう。「お前、そんな鋭利なナイフを持っていたのか……ここまでだ……」死に際、チビの声が聞こえ、河村さん復活する。
 その後、何人もの怪人を倒すが、カミソリ星人によって倒される。ここで主人公がカミソリ星人に変わる。「カミソリバンザーイ」「お前、人を殺めてしまったのか、お前はこれからムショ暮らしだ」「殺すなんて、やりすぎちまった!俺の手がカミソリであるばっかりに……」「ああ、お前はこれから7年間のムショ暮らしだ!」「いやだ、おれはムショになんか行きたくない!おい、お前がムショにいけ!」「きさまー、やるのか!」カミソリ星人と誰かのバトル。「カミソリ星人を殺したぜ!」「お前がムショ暮らしだな!」「なんだとー!?」「どっちがムショ暮らしするのか、ここで決めようじゃねえか」「やってやろうじゃねえか」で、バトル。「負けたよ、俺がムショ暮らしだな」「よし、ムショに行け!」「うーむ、ムショに行こうかな…」「よし、ムショのいいところを教えてやろう。まず飯がある、そして友もいるだろう、刑期もあるんだ。それにひと月に一回漫画を送ってやろうじゃないか」「最高だ。よし、ムショに行ってくる」「GO!GO!ムショへ行けーい!お前達のムショに行けーい!」
 その後、「ムショ行き」を決めるためのバトルが反復される。やがて、趣旨が代わり「ムショへゆけーい!」の言い方を生徒に教える教室に変わっている。生徒の「ムショへゆけーい!」が良かった祝いにコーヒーを出す。そのコーヒーを出す際、「シュっ」という音も何度も反復する。大量のコーヒーが出る。その後、コーヒーを飲みながら「シュッ」といい、これも反復する。その反復のたびに「違う!そうじゃない!もう一度やれ!」と叱咤が飛ぶ。
 その後、反復に次ぐ反復で変奏しつづけ、よくわからない地点に着いてしまう。「お前の手帳のエピソードを話してみろ、おれの持っているエピソードは400!その一つ、水を大切にすることだ!」なんじゃかんじゃあって、その時の主人公の母校のあるカナダに行く事になる。「俺のおなかは格納庫なんだ、ビザを4000個だ!」
 全てのエピソードを話す代金として4000万円を要求する。あっさりと渡される4000万。よくわからないが、なぜか馬に乗っている。馬について二人で話し合うリリック。馬がきっかけでまたエア喧嘩。また揉めて4000万円で示談。
 喧嘩の寸前に必ず「その前にその○○の話を聞かせてくれないか?」という言葉が挿入される事によって、どんどん主題が横にずれていく。「貴様、やるのか?」「いや、その前にお前のその指輪の話を聞かせてくれないか?」「いいぜ、それより、この指輪を一本一本外すから、見ていてくれないか?」「いいぜ」「シュっ。シュっ。シュっ。」
 なんじゃかんじゃあって20本の鍵を探すことになる。その鍵を探す旅にそなえて、馬の餌を買うように言いつけられる。馬の餌専門店「ポピー」には20人の大男が餌を守っているという。「馬の餌をください」「それはやれんなあ。この店は馬の餌を売らないことで生計をたてているんだ。馬の餌目当てに来店した客を対象にしてカツアゲしやすくしているのさ。どうだ、うまく考えたものだろう」「4000万でどうだ?」「足りん!」「一億円では?」「よし、通れ。その前に頼みを聞いてくれ。水瓶を取ってきてくれ!」再び、主題が横にずれ、たらい回しが始まる。「お前の誠意を見ないと水瓶はやれん」「おれは、水瓶をもらって馬の餌をよくしたいのさ」「……負けたよ。ここを通りな」その後、あまりにも簡単に敵が負けを認めるようになり、すんなり通る事ができる。そのかわり、主題のずれがどんどん高速になり、完全な混沌が作られる。
 「一方、その頃……」透明人間がセンサーを止めてしまう。「透明人間……すごいぜ」「電光掲示板……日本の芸術点10点!」しかし、東スポがすでに記事を書き上げてしまっていて結果は覆されない。「東スポを止める事ができるかな?透明人間たちよ!」「あいつら本気で東スポを止めるつもりだ」
 一方、審査委員長は静かに独白する。「わたしは……本当はあいつらのシンクロナイズドスイミングを認めていたんだ……」
 「オッケー!いまの発言フィールドレコーディングすることに成功したぜ!フィールドレコーディングマンの登場だ!」「きさまー!」「俺は、リリースもできない、フィールドレコーディングマンだ!じゃあな!その録音物を持っていきな透明人間!」
 東スポ。記者は書き直さない態度で編集している。透明人間バンドが東スポに到着するが、姿が見えないのに声がする様に編集者、気味が悪くなる。「このMDを受け取ってくれ!芸術の概念を変えるためには時間がないんだ!僕たちは透明人間だからブッキングしてくれない!新しい芸術のために僕たちは頑張っているんだ!はやくこのMDを受け取るんだ!」東スポ編集部に、先ほどの審査委員長の声が響き渡る。その声を聞いて、編集長が記事の全面差し替えを主張する。「ありがとう、専務。これで僕たちの運命も果たされたもんだ」……
「そう、ついに我々は前衛シンクロナイズドスイミングを完遂できたのです!我々はついに……死んでいったものたちにお礼いいましょう!チビ!山田!センサーの猛獣達!忘れちゃいけないよな!フィールドレコーディングマン!それじゃ聴いて下さい、透明人間バンドの演奏、『デモ』!!!」会場に響き渡るカシオのキーボードのデモ音源。
 その場で川染喜弘が書き下ろした卒業証書を頂いて、ライブ終了。
 最終日は9時間でした。

12月24日 (音がバンド名)企画 円盤
 テープレコーダーからビート。「クリスマスイヴだからってそれにからめたライブはせんぞ!」と言ってライブ開始。
 先日の33時間ライブの際に完全に研ぎすまされた定型文ラップ、「俺にはもう時間がないんだ、ゴリ押しで入ってこい!入ってこい!入ってこい!ゴリ押しで入ってこい!だって俺にはもう時間がないんだから、お前らにも時間がないんだから!だって関東のプレートは曲がっているんだ!」を繰り返す。「俺のメッセージは痛いか?しつこいか?ミニマルミュージックやっとんのじゃ!」も繰り返し。「人生なんてどん底のどん底を味わってからや!」
 拾ってきた蛇腹状の鉄パイプを使った即興演奏。鉄パイプにピックアップを装着し、石を転がす。「全ての芸術の概念を変えていこう!今までの芸術の量り方で俺は量れない!全部俺が決める。変えていこう!まず、深刻そうな顔で演奏すること。そして、深刻そうな服を着ること(無地)。(自分の頭を指して)深刻そうな髪型をすること」といって、静謐な演奏。「出来るだけ音数を少なくすること。」しばらく演奏し、「靴がカジュアルすぎる。靴を脱いで靴下か裸足になる、またはローファーを履くこと。」更に、「深刻な踊りをすること」といってなかなか間抜けな動きをする。「もっと深刻にしよう」と、間の多いピアノ演奏も組み合わせる。 十分ほど演奏したのち、マイクパフォーマンス。「俺の芸術概念を理解するには、三つの巻物が必要なんだ!いや、必要ないんだ!いま何も考えていないんだよ!これがフロイトラップさ!」ラップ中に鉄パイプを踏み、転倒。「オッケー、チャンオペ入ったー!」と気合い十分。「あら〜」と言いながら何度も転倒する。「俺はこれが気に入ったから何度でもやったるぞ!あら〜(転倒)」
 鉄パイプを口に付けて、パイプ越しに声を拾い、ラップ。口を切ってしまい、その瞬間「いたっ!」と叫び、「オッケー、チャンオペ入った!」
 ライブ中におひねりを要求する。投げられたお札の落ちる音が微音系であると主張。
 「奥さん声が高いわね」といってアンプをハウリングさせる即興演奏。
 加藤茶の人形をリンチする音響。「この人形がしむらけんだったらこういうことはしない。」「持ってきた楽器がこれだけだったらどうだ?美しいだろう!」円盤店主よりはさみをかりて、人形を切り裂き、先ほどの鉄パイプに詰め込む。
 アンプの中に小銭を投入し、アンプをカツアゲする即興演奏。「お前金持ってんだろうが!飛んでみろや!」といってアンプを揺すりながら地面に叩き付け、小銭の音がアンプリファイされる。
 サンプラーのプリセット音源を流しながら「お前らにはあんな機械作れないだろう!あれだけで評価されていいんだ!トリップしようぜ!」
 競走馬の名前を考える。うろ覚えですが「ガバガバホース(ガバはピッチが速い音楽だから馬も速いはず)」「ゴーゴーハーシュ」「プリペアドホース」「ベンドホース。これは速いだろう!だってベンドされているんだから!」
 残り一分で定型文ラップ。「お前の心にコンプかけろ。人生は逆境の逆境を味わってから!ハッピーに行こうぜ!」

12月31日 高円寺円盤年越しライブ
 11時45分スタート。白い綿状の髭をつけ忘れ、一回しきりなおして再スタート。開始五秒で「オッケー、もうこれは必要ないだろう」といって髭をはがしてしまう。「俺はカウントダウンのために、何か特別なエンターテイメントを用意することを『辞めた』んだ!その意味が解るよな!」といって前説開始。「僕のライブで楽しめない奴はそいつの想像力と感受性が劣っているんじゃ!俺はディズニーランドの八億倍のエンターテイメントを提供しているんだ!盛り上がれないはずがないんだ!いいか、おれはカウントダウンのために何か特別なエンターテイメントを用意しない!カウントがゼロになった瞬間、おれは『おかき』を『彫刻刀』でチョリチョリするだけだろう!でもそれで十分じゃないか!それでダイブしていこう!それに、カウントダウンがゼロになった瞬間激ヤバのビートだって用意してるんだぜ!その意味が解るよな!(フーという観客の歓声)フーの意味がわかるか?わからないよな!オッケー、それでもフーッって言っていこうぜ!」といった内容の前説をしているうちに、新年まで五分前と迫ってしまい、今年最後のもたつきを繰り出す。「この焦りでフーってなるべきなんじゃ!フーって言え!」さらに、『円盤コール』の新たな可能性を提示。「おれは円盤コールを模索し続けてきたんだ。そして、円盤コールは今日、新たな進化を遂げる!それは名付けて、『円盤コール《カノン・フーガ》バージョン』だ!」時間が迫る中、急いで『円盤コール《カノン・フーガ》バージョン』の説明をこなす。第一グループは通常の円盤コール。第二グループは円盤コールを追いかける輪唱。第三グループは円盤コールを極端に短くした円盤コール。第4グループは円盤コールを極端に引き伸ばした円盤コール。「これが『円盤コール《カノン・フーガ》バージョン』よ!」来る円盤コールに備えてダイブをする十人の勇者を集う。カウントダウンのための準備をしなければならない時にも、ピックアップを踏んだ音に対し「川染さんのもたつきの時にチャンオペで入ったノイズやばいっすわ、っていうくらいゴリ押しで見ろ!」と客に今年最後の説法。「時報だって用意しているんだよ」といって、携帯電話をピックアップに押し当てるが、ハウリングが起こってしまい、時間が明瞭に聞こえる頃には40秒前。「オッケー!2007年涙で枕を濡らしてたやつも!涙君さよならしたいやつも!2008年は大丈夫じゃ!明日死ぬ可能性もあるかもしれない!それは否定できない!でも2008年お前らは大丈夫なんだ!5,4,3,2,1、0!」で激ヤバビート&円盤コール《カノン・フーガ》バージョン&モッシュ&ダイブが同時多発的に発生。その後20分ほどは混乱状態。照明もストロボ風に照らされ、川染さんは限りなく稚拙な動きで外人の女性とチークダンスを踊ったり、持ち上げられたりする。喧騒ののち、「『おかき』の存在をすっかり忘れていた」といって『おかき』を彫刻刀でチョリチョリする。再び、混乱状態に。『おかき』コール。再び落ち着くと、「まだ用意してるんだ。そして俺はお前達にお願いがある。次の演奏のときはちょっとローテンション気味に聴いて欲しいんだ。」と矛盾に満ちた頼みを吐き出す。「俺も気持ちはわかる。でもローテーション気味に頼むぜ」といって、何パターンか考えてきたカウントダウン案の中の一つ「微音系のカウントダウン」というものを実践する。ウィスパーボイス&微音で「あけましておめでとうございまーす……!」二回三回これを繰り返し、「こんなカウントダウン見たことないでしょ!」と言う。最後に、鏡餅と酒樽を残影拳で破壊し、客に酒が振舞われライブ終了。


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