1月28日 高円寺円盤 川染喜弘、ツポールヌ、ツーマンライブ
 一歩一歩確かめるようにして、円盤に入場し、ステージまで歩く。その際、腕を鋭く振って歩くことによって、ジャンパーが衣擦れを起こし、「シュッ」という音が発生する。ゆっくり動きながら、「シュッ」という音を出すときだけ大胆に動く。椅子の上の物をどけるときも、腕を不自然に突き出して「シュッ」を起こす。
 椅子に座って、鈴虫が鳴くような静かなビート、定型文ラップ「俺は諸事情あって、もう晩年なのよ。お前たちの感受性をゴリ押しにして、前のめりで見てもらわなければ自分の作品は完成しない」を繰り出し、バリエーションもつけていく。「もし、一分一秒でも『つまらない』と思う瞬間があるとしたら、あなたたちの感受性が足りないだけなので、自己反省してください。僕の作品には1ミクロンたりともつまらない瞬間などないのですから、もし、『つまらない』と感じてしまったのであれば、家に帰ったあとに『つまらないと一瞬でも思ってしまった俺の感受性ヤバいな』と猛反省して、転換させてください!」定型文を何度も執拗に繰り返し、ミニマルラップ。
 ラップ中、身体表現がふんだんに盛り込まれる。手の形を千変万化させたり、頭の後からピースサインしたりパーを見せたりする。
 「川染喜弘の2008年の抱負をいまから発表しよう。」といって、再び定型文に戻ってしまい、しばしの反復を経てから、「川染喜弘の2008年の抱負を発表しよう。川染喜弘は、2008年、自分にコンプをかける!」と明言。宣言の『コンプをかける』の『る』の部分にディレイをかけるように、円盤店員に要求し、ディレイの失敗によって、結果、何度も抱負が述べられる。「オッケー!やり直していこう!人生はやり直せるぜ!」「『る』のディレイをパンニングしてくれ!それでみんなのブレインにサイケデリアを送り込むんだ!」
 ハローキティのキッチン玩具にピックアップを装着した演奏。
 「川染喜弘は2008年コンプをかける。これはどういうことか解るか?もう俺はテンションを上げたり大きい音を出したりしないってことなのさ。もう俺のライブを見て『うるさい』と感じることはないだろう。俺のライブを見に行くときはアンビエントのライブを見に行くんだと思ってほしい。クラシックのコンサートを聴きにいく様な気持ちで来てくれて構わないんだ。俺はもうリミッターを上げることはないんだ。音が大きくなりすぎたら、コンプがかかる。そして、コンプがかかるということは音が大きくなるのを防ぐだけじゃないんだ。聞こえてこなかった下の音を、盛り上げていくんだ。2008年、川染喜弘は自分にコンプをかける……!」
 「俺は若い頃、女と電話で話すことができなかったんだよ。メンタルが弱かったからね。めちゃめちゃ口べたで女と電話できなかったんだ」といって、その頃の自分を再現する。「俺は人との喋り方の本だとか、PHP文庫を読みふけったよね。それで完璧な対抗策を編み出したんだ!」と、大量のキーワードが書かれた模造紙を貼付ける。「あらかじめ、こっちで単語を用意しておく。そして会話につまったらその単語を出していくだけで電話ができるんだ!」
 その後、「ゆうこちゃん」という専門学校時代の女との空想の会話による演奏が実践される。大体はどうでもいい大量のキーワードの中に『一緒にバイトをしないか』『動物園行かない?』『恋話』『また電話していい?』というものがあり、それらには☆マーク等が施されている。「トング」「豆パン」「センドリターン」「銭湯でインド人と仲良くなった」といったキーワードでしばらく間をつないでいたが、☆印のキーワードを口に出した瞬間に発狂してホーミーが開始される。「啖がからまりホーミー」というだみ声のホーミーの奥から『ゆうこちゃん』という呪詛にも似た声が溢れる。
 受聴者の携帯電話に電話をかけ、着信音をマイクで拾う音響。
 羽子板に木を打ちつけながら、「火の用心、マッチ一本火事のもと」といって会場内をうろうろする。「バイノーラルやー!」といいながら、だんだんテンションが上がってきて、木を激しく打ちながら会場内を縦横無尽に走り回る(この段階ですでにコンプはかかってなかった)。やがて、円盤の客を中央に集中させて、その周りをぐるぐる回り始める。
 「俺は四国出身、四国では『うどんのおっさん』というだけで誰だか通じてしまうんだ。そのおっさんは讃岐うどんを命をかけて打ってる。そのうどんがもし『うまくない』としたら?そのおっさんはもうおしまいだろう!評価されなきゃ意味がないんだ!讃岐の国では『うどんのおっさん』の作るうどんがまずくてはいけないんだよ!そして、俺はこうやって羽子板を打ち鳴らして、芸術をやってる!俺の作品は、『うどんのおっさん』の何千倍ものプロフェッショナルな精神のもと、作られているのだから、俺の作品がよくないなんてことがあってはならないんだ!」このような大意のワードを、不連続にコラージュしながら、客の周囲を走りつづける。嘔吐しそうになりながら、口から泡を吹き、メッセージを20分近く送り続け、客の周囲を走り、ライブ終了。

 今後、あんなに周りを走られることもあるまい。

1月30日 武蔵小金井アートランド 川染喜弘企画
 第1部、第2部に分かれて、それぞれ1時間のパフォーマンスを行いました。

 第1部
 一歩一歩、足を過剰に踏み込んで、その音をSEに入場。テレコでビートを再生し、「解るか、ヤバいんだよ、自分の足音で入場してくるのはヤバいんだよ。それをヤバいと思わないのはお前達の感受性のミステイクなんだ!稚拙で終わらせた奴は八つ裂きしてうんこ地獄だ!」その後、定型文ラップを執拗に叩き込む。語尾に方便や特徴のある言葉を重ねることで全て韻が踏まれたことになってしまう前衛ヒップホップの裏技「後韻」は「ザマス」と「ゴリ押しで入ってこい!」
 受聴者を利用したサウンドパフォーマンス。ピックアップを客と川染喜弘が共に使い、客が千切る紙の音に、川染喜弘が千切る紙の音で人力ディレイをかける。「ビリッ『ビリっビリっビリ!』」といった感じ。「めちゃめちゃヤバいでしょ!これで盛り上がれないのは感受性のミステイク。どんどんダイブしちゃっていいいんだから!」といってダイブ。高速で手足をカクカクさせる。
 また、客の千切る紙の音に、ベースアンプから出力した『1オクターブ低い』川染喜弘が千切る紙の音が重なる。「これが、人力オクターブだ!もうエフェクターを使う必要がないんだよ!もし、オクターブをかけたいなら、俺にtelしてくれ!そしたらベーアンとピックアップ持っていくから!もうこれだけのことやってるんだから、(大開脚&股下から頭上に向かって手を振り上げて)2億円積んでもらわないと困る!そして、俺は母ちゃんに逆仕送り!そんで母ちゃんのバイブレーション震わせーの、そんで俺を海外のレーベルに送りーのして、バイブレーションとバイブレーション、ワンツーチェック…」といってラップへ移行するなどの展開も。 MDプレーヤーの低音操作でグリッジサウンドを演奏しながら、「えーと、架空の漫画、まだ執筆してませんけども…これからも執筆する予定ありませんけども、『魁!MTR学園!』という作品にね、いまからファンレターを送ってみようと思います。」といって椅子に座った状態でポエットリーリーディング。「えー、佐々木ヒロヒト先生。いつも楽しく『魁!MTR学園!』を読ませて頂いております。第1話において、いきなり校長がMTRを校庭に持ち出し、タップを延長しまくって宅録を始めたときは感動しました。そして、その後怒り狂った生徒達にタコ殴りされながらも、そのタコ殴りされる音を校長が多重録音しはじめたこと、素晴らしかったです。残念だったのは、多重録音しすぎて高音と低音がこもってしまっていたのではないか、ということです。しかし、僕の友人は『あれはやばいハーシュノイズになっているんだ』と言っておりましたので、是非その音を聴きたいな、と思っております。つきましては、テレビアニメ化などを切望する次第であります。そして、わたしにファンレターを送って下さい。いえ、ファンレターの返事を送って下さい。わたしの住所のほうをいまから述べさせて頂きます。『東京都千代田区イッサイバシ町マルタビル2階』の片隅の方へ、住居を構えておりますので、そちらへ送って下さい。わたしは部屋中にわら半紙を敷き詰めてお待ちしております」
 二通目「『魁!MTR学園!』、全然良くないです。第1話を読ませて頂きましたが、『こいつ奇をてらっているだけなのでは?』と思い、途中で読むことをやめさせていただきました。そして、わたしはトリマーの勉強に集中しました。よりよいペットショップで働きたいからです。しかし、わたしの弟、彼もトリマーであり、仕事が被ってしまっているのですが、『魁!MTR学園!』は面白いというので、第8話を読ませて頂きましたところ、校長のMTRがハードディスクレコーダーになっておりましたので、展開が非常に気になり、バックナンバーを読ませて頂きました。しかし、第2話の段階で校長がイシバシ楽器で普通にハードディスクレコーダーを購入していたのでがっかりしました。また、三話目では、バイクの後部座席に乗りながら校長がフィールドレコーディングしていましたね。マフラーをサーキットベンディングしながらの暴走行為は良かったと思います。あれはマフラーベンディングとでもいうのでしょうか?また、ポリスの追求を、見事なハンドルさばきで撒いてみせた理事長も良かったです。校長がタコ殴りされるシーンでは、生徒たちの身体の動きが素人ではなかったので『ああこの作者は記憶で適当に作品を書くのではなく、格闘経験者であり、また、資料を参照しながら書いているのだな』ということが非常によく伝わりました……」など。その後は失念しました。
 三拍子のビートを流しながら「打ってよし、守ってよし、走ってよしの三拍子!」と連呼する。「もっと楽しまないと!これはヤバいんだよ、究極の芸術なんだ!例えば雨が降っていても、水にぬれるの面白い!とかいいながらハァハァ食い込んでいかないと!そんで、蓮を引っこ抜いてそれを傘にするんだよ!そうやって人生をハッピーにやっていくんだ!」
 英語禁止時間。川染喜弘がラップ中、英語を使ってしまった場合、客がサンプラーから不正を表す音を出し、報告代として川染喜弘から景品が渡される。口癖の「オッケー」「リリック」などで大量の景品が舞う。景品は書き下ろしのリリック、単に折り曲げただけの折り紙(『作品名は……ゴミ、だ!』)、ペンを早く走らせただけの『図形楽譜』。「了解了解、お前達が幸せに楽しく過ごせるように、極上の詩をお届けするザマス」
 子供会の時の年下の友達のエピソードラップ。灯油缶を金槌で殴打しながら「父親が野球の審判をやっている家の息子」と中3の川染喜弘の交流が話された後、子供会対抗の野球大会を見に行ったシーンに移行する。「父親が審判なのに……そいつは補欠だったんだ!ヤバいよね!」そして、9回裏、20−0で負けている中、補欠の彼がバッターボックスに登ることになる。「そしたら、そいつ、(過剰に身体を震わせながら)これもんよ。めちゃめちゃ、(過剰に身体を震わせながら)これもんなわけよ。それで俺は、『頑張れー!(絶叫)』よ。頑張れー!頑張れー!頑張れー!それで、そいつは(身体を震わせながら)これもんだったんだけど、ついにどうしたと思う?こうしたんだよ!」といいながら、思いっきり大根切りの動きをする。「父親が野球の審判なのに、大根切りをしたんだよ、そいつは!」
 その後、そいつの弟の話へ移行。「この弟が兄よりずっとすごいリリックを繰り出しているんだ」という前置きと共に、弟の詳細を話し始める。そいつの家は非常に貧乏で、川染喜弘が東京に言っている間に両親も離婚してしまっていた。久しぶりに帰郷した際に、そいつの弟と川染喜弘は遭遇する。その頃は、NIKEのエアマックスブームで、小学生なんていったらみんなエアマックスを履いていた。しかし、そいつの家は貧乏だ。そいつの弟は明らかにぼろぼろの運動靴を履いていた。しかし、そいつの弟は片足を思いっきり前に出しながら言った。「エアマックスじゃー!」「これがヤバいリリックだ!彼の靴は完全にエアマックスだ!いや、彼のエアマックスは完全にエアマックスを超えていたよね、リミッターが飛んじゃってるよね!ピークランプついちゃってるよね!そいつのエアマックスはエアマックス2じゃ!エアハーシュノイズじゃ!その時、そいつはエアマックスを超えたんだよ!そして、俺の作品もそういった精神性の元で作られているということを忘れるな!稚拙で終わらせたら八つ裂きうんこ地獄じゃ!」などなど、激しくまくしたて「エアマックスじゃー!」の絶叫をミニマルラップ。「グルーブ感じてるか?発生してるだろうが、エアマックスじゃー!」
 「ハイ、チーズ」といって、サンプラーからシャッター音を出す。反復。「エアマックスを超えているんだ!ありがとうございました、川染喜弘でした。セカンドステージに続きます」

第二部
 ヤバすぎて酸欠になり、結構抜けてます。
 一歩一歩確かめる様に入場し、踏み込む度に腕を鋭く振る。その度に鈴の音。ビート。「胸ポケットに偶然入ってた自転車の鍵についている球形のオブジェ、鈴の音をSEに入場や!どうもう、過去にも未来にも究極の芸術家、川染喜弘です。」第一部で飛び出した幼少期の記憶に関する多少の訂正をしながら、定型文ラップを叩き込む。「後韻」はケロ。
 川染母が料理中、オタマをマイクに見立てて歌を歌いだす様のカバー。尻を突き出した間抜けな姿勢で「焼きそば焼きーの、スープの味みーの、(おたまを口元に持っていき)そんで歌いーのだ!うちのおかんはやばいよね!だから2億円積み上げてくれ!それでおかんに逆仕送りだ!」オタマをマイクに「えー、ポケベルが出た時なんか、恋愛系のJ-popの歌詞にもポケベルが登場しましたよね。それを念頭において聴いてほしいんですけど、いまから未来のJ-popの恋愛曲を歌おうと思います」といって、機材を準備するも、会場内にピアノがあったため、ピアノを使用する方向へ変更。ピアノ方面へ向かった途端、マイクがハウってしまい、引き返そうとした瞬間、油で滑って転倒、また探している楽譜が見つからないなど、逆境に次ぐ逆境。「こんなことでいちいち凹んでる暇はないんだよ!せぇーい!」といいながらわざわざ油の上で派手に転倒してみせる。
 未来の恋愛ソングは実際に歌を聴かないと僕も思い出せない&ちょっと伝わらないんですが、「あなたの乗ったリニアモーターカーに乗り遅れたわ 一緒にテレビ電話見ながら あなたが誘ってくれた木星移住計画もう駄目みたいね タイムマシーンで過去に帰ってしまおうかしら この前火星人からメールが来たわ わたし火星人と結婚してしまおうかしら もう不老長寿の薬を飲むのはやめにしなくっちゃ 空飛ぶバイクであなたの家へ向かう たくましく行きていくのわたし」といった感じ。
 「未来の恋愛ソングいけるなら、原始時代のJ-popも行きたいよね!原始時代には言葉がないじゃないか、って確かにそういう正論もあるかもしれない。でもパラレルワールドなんだよ!変えていこう!」
 オタマをマイクにピアノを弾きながら「あなたがくれた骨 恐竜の骨なんじゃないかしら 肉食動物か草食動物かわからないけど たき火をかこんで あなたはうまく火が焚けなかった 私にやってみろっていったけどうまくできなかったわ あなたはだんだん狩りにいかなくなったわ 石のお金を竪穴式住居に入れてくれなかった だからわたしは物々交換したわ そんなとき あなたがマンモスに襲われたって聴いたの わたしは弓矢を持ってでかけたわ イノシシと間違えたのじゃないかしら でもナウマン象だったわ あんたはナウマン象に勝ってた そしてあたしは物々交換 あなたとなら長い氷河期も耐えていけそうだわ」といったリリック。 オタマをアンプに叩き付けたらオタマがぶっ壊れて四散する。「まだあるぜ!」といってフライパン返しをマイクにするが、もういいや、といって本当のマイクを握る。
 ダイナミックレンジラップ。大きすぎる、または小さすぎる音の、大きすぎる音を下げ、小さすぎる音を持ち上げるエフェクター「コンプレッサー」の概念を利用したヴォイスパフォーマンス。客にエフェクターを渡し、川染喜弘の声が大きくなったり小さくなりすぎた場合、そのエフェクターのボタンを押すことによって、川染喜弘の声にコンプがかかる、というもの。難しそうだった。「なかなか難しいね。でも出来たんだよ!いますぐ評価しろ!前衛ヒップホップここまで来てるんだケロ」
 5.1chスピーカーラップ。一人の選ばれた受聴者の周りをぐるぐる回りながらラップ。その際、背中側で発声する時は0.1chを表すウーファーの形態模写として、低音で発声する。リリックの内容は衆議院と参議院に関するレクチャー。「お前達は政治を知らなすぎる!政治を勉強しないとだめなんだ!(選んだ客に)お前は政治のことを覚えて帰れ!」
 「プロフェッショナルにくつろぎます」といってだらける。だらけながら豚の声を出す。「これが、豚ラップ」立ち上がって、激しい身体表現と共にブヒブヒいいつづける。「英語でラップされて意味わからないとするよね、でもラップしてるやつの『気』は伝わってくる!そういうもんなんだ!ブヒーブヒーブヒブヒブヒー!俺はこれを十年やっているのだから、稚拙で終わらせたら八つ裂きうんこ地獄の刑じゃ!」
 「明日死ぬ可能性もある」の定型文リリックを激しく客に叩き付け、時折豚ラップ、「後韻」ケロも忘れず、畳み掛ける様にリリックを吐き出し、ライブ終了。

2月25日 高円寺円盤 川染&ツポールヌ企画
 諸事情あって遅刻&弱視の状態で鑑賞したので簡単に書きます。
 先に来ていた知人によると、入場は、鼻をすすりながらの登場。
 僕が会場につくとMIDIが何の略なのかを考えている。
 パンダの鳴き声をサンプラーから流しながら、クラブの形態模写。タバコを口にくわえるアクションと共に腰を揺らす。客に照明の操作を指示する。「ありがとう、紹介しよう、照明の塚本だ!お前だってこのあと死ぬ可能性はゼロではないぜ!」パーティ会場にいるナンパ男の形態模写。「お前らクラバーは何万回も出会いがあるだろうが!ここに集まってくれちゃってる男の子と女の子が出会っちゃっても全然かまわないんだぜ!」
サンプラーの接触不良でパンダの鳴き声が一瞬止まる。「いま、パンダが死んだと思ったよね?そういうことなんだよ!」
 「お前たちは明日死ぬ可能性もあるんだ、例えばこのようにトラックに『コーン!』って腰持ってかれる可能性はゼロじゃないんだ!」と、『コーン!』といいながら右に左に腰を振る。そのうちに反復が発生し、クラブの形態模写に移行する。間抜けダンスをしまくった後に、再び明日死ぬ可能性に関する講釈。
 ピアノを弾いて何のコードでしょうかクイズ。声が小さい客の返答に、聞き間違いをした川染喜弘が聞き間違えたワードを主題に即興で変奏していく。「Gマイナー?」「え?ジーザス&メリーチェーン?なるほど、一つのコードではなく、ジーザス&メリーチェーンがかき鳴らす変則的なコードに、空間系エフェクターを通して作り出されたサイケデリアなサウンドを今のピアノから読み取ったというのならば……じゃあ、正解ということにします。」
 次の韻が出てこない間、考え込むという前衛ヒップホップ。「次の韻が出てくるまで待つ!その間をローワーケースサウンドだと俺は言い張っているんだから、海外のレーベルに早く送りつけてくれ!」
 口を「ぷぷぷぷ」と不連続にならす演奏。「ニューヨークのアンダーグラウンドのアルトサックス奏者が演奏しているとお前たちの方で思い込むサウンドパフォーマンスアートなんだよ!お前らにできると思うなよ!俺はこれを十年やっとるんじゃ!」
 過去にも未来にも究極の芸術家川染喜弘の口から放たれる全てのリリックを崇め奉り過剰に敬えと主張してライブ終了。


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