5/8 宮下公園
自転車に乗って遠方から登場。会場の宮下公園をグルグルと自転車で走ったのち、アンプ周辺に到着。テレコからビートを流そうとするも、テープの調子が悪く、数秒再生してはテープが絡まるということを繰り返す。
「今日はいつもよりちょっと長めに演奏時間が用意されてるとのことなので、かなり自分にしてはゆったりとした演奏を、アンビエントな感じの演奏を提供しようと思っています。そして、このライブのコンセプトなんですが、みなさんは幼少のころ(地面に横たわりながら)こうやって寝っ転がりながら漫画本読んだりしなかっただろうか?漫画読みーの、お菓子食べーの、たまに自分のタイミングで寝ーの、そして、また漫画読みーの、、そして、そのうちに、そのくだらない漫画本から何か大切なものを受け取っていた、そういう経験はないだろうか??おれはあるんだよね、そして、その体験をしてもらうというのが、この作品のコンセプトとなっております。ディレイ(ディレイがかかった声がアンプリファイされる)、ディレイ(ディレイがかかった声)、ディレイ(ディレイがかかった声)、ディレイ(ディレイがかかった声)じゃあ、次のコンポジションに言ってみようか、リバーブ(リバーブがかかった声)、リバーブ(リバーブがかかった声)、リバーブ(リバーブがかかった声)」
シュノーケルを装着し、管の先端を水を入れたコップの中にいれ、その状態でラップする『水中ラップ』のコンポジション
「コポコポ…どうなのよ…ゴボッ…こんなラップしてるやつ…コポコポ…今までいたんかい!(シュノーケルをコップからはずして、激しく息を吹き込みながら)しかも、これは水中ラップができるだけではなく、ディジリドゥーにもなってしまうというスグレモノ(コップの中にシュノーケルを突っ込んで)ごぼごぼごぼごぼ…」
自転車を利用した5.1チャンネルサラウンド演奏。客のまわりをグルグルと回ったり、時には姿が見えなくなるくらい遠くまで自転車を走らせたりしながら、歌謡曲風の歌い方でボイスパフォーマンスをしつづける。公園の横を電車が走るとき、大地をパーカッションにして電車とセッションする。バトミントンのラケットにコンタクトマイクを装着してパーカッションにするといった演奏。
『中あて』を利用したコンポジション。川染喜弘をはさんで、二人の客が川染にボールを投げつける。川染がキャッチをミスして体にボールが当たったら、シーケンサーの音やマトリョミンの音などを一音出す。ボールがぶつかるたびに、やや遠い位置においてあるシーケンサーに全力でダッシュしてジャンプしながら鍵盤をたたく川染。跳躍しながら跳躍(音を一オクターブ上げる)の演奏をする、といった言葉遊び的な演奏も挟まれる。ボールの速度が緩めであるにもかかわらず、最後の方は過剰なアクションでキャッチする。ボールを抱えた瞬間、その場にもんどりうって倒れこみ、数回転したのちに立ち上がり、中腰になってボールを大事そうに抱え込み、「よしっ!」と叫ぶ。「どうよ、守りが鉄壁すぎるっしょ」シーケンサーの音のかわりに、客の吹くトランペットの音などがチャンスオペレーションで使われる場面もあった。
「武道館に5万人集めてるときと同じソウル」といって、延々とカットアップコラージュのような歌詞の歌を歌い続ける。
大地や樹木や空を譜面に見立てて指揮をする動き。シーケンサーを歯で演奏しながら、『寝るときに歯を磨かないのは理解できない』というテーマの歌を歌い続ける。
「フランス料理のフルコース、料理出てくるのが小刻みすぎるぜ、いいか、虫歯菌は二時間で増殖していくぜ、フランス料理のフルコースもっと早いペースで料理だせ、そうじゃないと、虫歯菌が!二時間で!増!殖!していくぜ!居酒屋で酒を飲んでいる、飲み放題二時間コース、楽しくお酒を飲んでいる、その瞬間にも、虫歯菌は二時間で増殖していくぜ!夜にお菓子を食べるのはそもそもありえないが、さらに歯を磨かないのはどうだろう?寝る前に甘いものを食べて、歯を磨かないのは理解できないぜ、それに、虫歯菌は、二時間で、増殖していくぜ!虫歯菌は、二時間で、増殖していくぜ!」
『虫歯菌は二時間で増殖していくぜ』『フー!』を四回繰り返して、四回目に飛び上がりながら「ヘーイ!」と叫んでライブ終了。

5/12 高円寺円盤
テープからビート。
「どうも、川染、喜弘、だ、今日は、約、一時間、ほど、ライブ、させて、いただく、わけ、なんだけども、おれの演奏は、一見、ユーモア極まりない、稚拙極まりないものに、感じられるかもしれない、だが、みなさんは、こういう経験は、ないだろうか、(横になりながら)お菓子食いながらくだらない漫画本読みーの、たまに笑いーの、で、自分のタイミングで寝ーの、そんでまた起きて漫画読みーの、そしてまたお菓子食べーの、笑いーの、寝ーの、そして、いつの間にか、何か自分の人生を生きるうえで支柱となるような、大切なスピリットを感じていた、そういう経験は、ないだろうか、おれはあるんだよね、おれのこのライブも、そういったスピリットを提示しようとして演奏している、能動的に感受していけ、もちろん、ライブ中に寝てもらってもかまわない、むしろどんどん寝ていこう。そして、おれがこれから演奏するライブで用いられるコンセプトは、どれもこれも小さすぎるものばかりかもしれない、だが、それこそが(マイクをおいていったん立ち上がり、叫びかけて止め、再びマイクを手に取り)そう、それこそが俺の提唱する芸術の新概念(マイクをおいて立ち上がり)マイクロスコープアートなのだァーッ!ウォー!」
ダンボールに凵をさかさまにしたものを四つ描く。
「このダンボールに描かれてる四つの記号はなんなんだと、かなり気になってる方もいるだろう。それでは説明しよう、今日のコンポジション、それは『MCバトルトーナメント』だー!そう、これはトーメント表だったのだ!これから8人のMCが登場して戦うことになる。そのMCをこれから紹介していこう、まず一人目は『MC自己との戦い』だ、こいつは、とにかく自己と戦っている、誰かをディスるよりもまず自分と戦うことを優先しているんだ、(声色を変えて)俺がMC自己との戦い!俺はお前たちのことなんてどうだっていいぜ、なんてったって、俺はMC自己との戦い、そう俺の敵は俺しかいねえ、だって俺はMC自己との戦い!オッケー、それじゃ次のラッパーを紹介しよう。『MCYOYO』だ〜!こいつは、そう、『ヨー!ヨー!』以外のリリックができないラッパーだ、(激しく手を動かしながら)ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!オッケー、それじゃ試合前の二人のインタビューでも聞いてみようか、(椅子に座って高圧的な態度で)対戦相手のYOYOのことは何も知らない、俺の対戦相手のYOYOがいったいどんなやつかも興味ねえ、なぜなら俺の敵は俺自身しかいないからだ、そう、俺の名前はMC自己との戦い、どんなディスにも俺は屈服しない、おれと戦えるのはおれだけだ、そう、俺の名前はMC・自己・との・たた・かーい!…それじゃ、MCYOYOの意気込みを聞いてみよう、(激しく動きながら)ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!オッケー、それじゃ次のMCを紹介していこう…」
試合前のインタビュー的なラップは最初の二人だけで、残りの六名を紹介する。ラインナップは以下↓
MC自己との戦い→延々自分と戦い続けているラッパー
MCYOYO→『YO!』しかいえないラッパー
MC スペイン語→8個程度のスペイン語をループさせてラップするラッパー
MC ギャングスタ→MC(司会)をギャングスタスタイルでする司会者
MC ラップ→サランラップ
MC ダミ声→ダミ声の司会者
MC 携帯の予測変換→携帯の予測変換を元にフリースタイルを展開するラッパー
MC そ茶ですが→リリックとリリックの間に、韻を踏む代わりに粗茶をすすめてくる謙虚なラッパー
「それじゃ、ここに集まったみんなでベットしていこうよ、誰が優勝するか賭けていこう、小学生のころ、まあ、かなり下世話な話になるけども、ドラゴンボールのサイヤ人襲来編で、誰が最後まで生き残るかをみんなで予想したりしなかっただろうか?俺はあるんだけど、そう、ナッパとべジータがやってきて、おれは当時クリリンにベットしてたよね、そしたら、クリリン、けっこう生き残ってナメック星くらいまではピンピンしてて(こぶしを握り締めて膝を突きながら)ヨッシャー!ってなったよね、そのくらいこのトーナメント戦では一喜一憂してほしい。こういった些細なことを全力で楽しんでいくことによって人生はハッピーでラッキーになっていくのであって、そういうところに人生を楽しむ秘密は隠されているとは思わないか?そして、それを促す作品こそ、この(マイクをおいて天を仰ぎながら)マイクロスコープアートなのだー!あと、結果で落ち込んじゃうナイーブな人も中にはいるかもしれない、一喜一憂しまくってほしいのだけど『あ、、自分の応援してたのが負けちゃったな。。』ってなってどん底まで落ち込まれたらこっちも困ってしまうので、だから落ち込むのだけやめてほしい、とにかく大盛り上がりしてほしいが、ナイーブな方には落ち込まないでほしい、といいたい、こんなことでは落ち込まないでくれ…!それだけが心配でね、どうしても、落ち込まないでください。それだけが気がかりなので。。」

一回戦第一試合、MC自己との戦い vs MCYOYO
「MCYOYO、お前のラップにはまったく無駄がねえ、洗練されすぎた、限りなく不必要な要素がそぎ落とされたラップになっている、それに比べておれは、まだまだ自己との対峙が足りてねえ、そう、この世から争いをなくすにはどうしたらいいかということを考えている、そこに自分は無関係だろうか?俺自身の戦いが何かの原因になってるのではないか?そんなことを考えてしまう、敵はいつだって自分だ、YOYO、お前は敵なんかじゃねえ、むしろリスペクトしちゃってる、お前のラップには無駄がねえ!」
「ヨー!ヨーヨーヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨー!ヨーヨー!ヨーヨーヨー!ヨーヨーヨーヨーヨーヨー!ヨー!ヨーヨーヨー!」
客の投票(歓声)により、一回戦はMC自己との戦いの勝利。

一回戦第二試合、MCスペイン語 vs MCギャングスタ
「オラ、ブエノスディアス、ポルファボーレパルファボーレ、アディオスアディオス、ムーチョムーチョ、ブエノスディアス、オラオラ、ポルファボーレパルファボーレ、ブエノスディアス、ムーチョムーチョ!…(とスペイン語が書かれているのであろう手元の譜面を見ながら延々スペイン語をぼそぼそとループ)」
MCギャングスタ、ダミ声でMC(司会)を始める。次に登場するMCダミ声とコンセプトがかぶっているのでは?という指摘を受け、その場に倒れこむ。「(のどを押さえながらダミ声で)く、くるしい、、ギャングスタとダミ声のキャラの使いわけには俺にはできんかったんじゃ…ウウム、切なくてどうにかなってしまいそうじゃわい、ワシはダミ声といったい何が違うというんじゃ、ギャングスタ、ダミ声…!」そのまま、ダミ声とのキャラ被りを苦悩して、MCギャングスタは棄権することに。

一回戦第三試合、MCラップ vs MCダミ声
なぜかダミ声も棄権しており、ラップが不戦勝で二回戦進出を決める。

一回戦第四試合、MC携帯の予測変換 vs MCそ茶ですが
「(携帯の画面を見つめて文字入力を操作しながら)イエー、MC携帯の予測変換だ、今からフリースタイルをすべて携帯からインスパイアされたままに、言葉をインストールしてかましていくぜ、インドに行きたくはないか?俺はインドアだから行きたくないね、でもインターナショナルに活動していきたいよな、おれのインフォメーション伝わってるか?インナースペースにメディテーション、このまま引退か?インパクトあるリリック繰り出してるか?飲食店でご飯食べようか、インクが漏れてないかい?インフルエンザで熱出してインディーズでしかリリースできないぜ、オマエのラップのインストラクターになってやろうか?韻を踏みながらインターフェイスかまし、イングランドにインターン、インテリジェンス溢れるリリック、イントロが流れた瞬間インデックス参照、インスピレーション感じてるか?おれのイントネーションおかしくないか?オッケー、ラップにインターバルいれようじゃんか!」
「(か細い声で)イエー、俺の名前はMC粗茶ですがだ、イエー、俺は韻を踏む代わりにお前らとオマエラとおまえらに粗茶を振舞っていくぜ、(湯飲みを差し出しながら)粗茶ですが…、オッケー、この『粗茶ですが』をリリックとリリックの間に挟みこむことによって、巧妙に韻が踏めてしまうという寸法よ、(湯飲みを差し出しながら)粗茶ですが…、俺はラップで相手をディスるよりも相手をリスペクトとしてそいつにお茶を振舞ってやりたい思いでいっぱいだぜ、(湯飲みを差し出しながら)粗茶ですが…」
MC携帯の予測変換の勝利。

二回戦 MC自己との戦い VS MCスペイン語
「MCスペインのスキルには感服してる、おれも自分を磨いていつかお前と一緒にスペインに行きたい、お前に比べたらおれなんてまだまだだ、自分の中にまだ倒さなければいけない敵がいる、MCスペイン、お前は素晴らしい、最高だ、おまえの悪いところなんて何一つ見いだせやしない、おれはおれを超えて今よりももっと強くならなければならない、いつかお前のスキルにも負けないようなラッパーになるために今以上にスキル磨く、そして一緒にスペインに行けたらマジ最高、お前のことリスペクトしてるぜイエー!」
「オラ、ブエノスディアス、ポルファボーレパルファボーレ、アディオスアディオス、ムーチョムーチョ、ブエノスディアス、オラオラ、ポルファボーレパルファボーレ、ブエノスディアス、ムーチョムーチョ!君は素敵だムーチョ!愛してムーチョ!ほれてムーチョ!ムーチョムーチョ!」
思ったよりも客の票が集まらず、かなり少ない一票でMCスペイン語が勝利してしまう。

二回戦 MCラップ(サランラップ) VS MC携帯の予測変換
ラップをコンタクトマイクでこするサウンドと携帯の予測変換によるフリースタイル対決は、ほとんど不戦勝のような形でMC携帯の予測変換が勝利。と、ここで、『MCマトリョミン』がトーナメントに乱入する。マトリョミン(マトリョーシカの形をしたテルミン)の機能がついていないただのマトリョーシカを「マトリョミンです」といって紹介し、マトリョミンを操作する手振りをしながら、机の下に隠した小型のアナログシンセで電子音を捏造する。「これ、もう何度もやって成功しなかったコンポジションなのよ、それがやっとできた、その美しさを全力で感受していこうぜ!やっとできたぞー!」

決勝戦 MC携帯の予測変換 VS MCスペイン語
「(携帯の画面を見つめて文字入力を操作しながら)MCスペイン語、オマエの試みマジでリスペクト、オマエにはラップの心得がしっかりとある、その辺の心ないラッパーとは違うぜ、ココアでも飲んでお話しないか?ココナッツを食べるか?心強いやつだぜMCスペイン語!オマエには志がある、個々のリリックが弱くても心構えがしっかりしてる。オマエの心意気は受け取ったぜ、快くおれのラップを受け取ってくれ、もう決勝戦なのが心残りだぜ、俺は人を傷つけないリスペクトのラップを心がけてる、心細いか?自信を持て!いまオマエとここで凍えている事実、マジで心地いいぜおまえのスペイン語、心温まるエピソードをありがとう、ここら辺でオマエにマイクを渡してしまいたいぜ、それともココ壱でカレーでも食べようか?ここ一番で言わせてもらうぜ、お前の表現はマジで孤高だMCスペイン語!」
「オラ、ブエノスディアス、ポルファボーレパルファボーレ、アディオスアディオス、ムーチョムーチョ、君は素敵だムーチョ!ムーチョムーチョ!ポルファボーレパルファボーレ!からムーチョすっぱムーチョあまムーチョにがムーチョまずムーチョ!ムーチョムーチョ!アモーレアモーレ!ペルファボーレ!オラ!オラ!まずムーチョ!愛してムーチョ!君は素敵だムーチョ〜!」
MC携帯の予測変換の勝利。「MCスペイン語、彼は少ないボキャブラリーの中ですべてを出し切ったよね」
「この大会の趣旨は、ディスらないこと、つまりリスる、リスペクトするということ。この大会はリスる大会なんだ、それじゃ紹介しよう、主催者のMCリスさんだ!(物をかじる、会場を落ち着きなく走り回る川染)オッケー、MCリスさんだー!リスさんはリスペクトするとリスで韻を踏んじゃってるんだよね、、(物をかじって会場を落ち着きなく走り回る川染)今大会の主催者であるMCリスさんだ!」
MCリスさんが優勝者を楽屋に呼び出し、物をかじり落ち着きなく走り回りながらイベントを総括する。「優勝者はみんなだ」というラブ&ピース精神に落ち着く。携帯の予測変換ラップで優勝の祝辞を述べる。「リースーさんっリースーさんっ(オイッ!)」×4で飛び上がってライブ終了。



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