6月5日 高円寺ドムスタ
テープからビートを流し、シュノーケルを装着し、ペットボトルの水をゴボゴボさせながらラップする水中ラップで前説。
「どうも、川染喜弘だ、今から約一時間ほどライブさせていただくワケなんだけども、俺の表現がかなり意味わからねーものに感じられるお客さんがほとんどかもしれない!こう考えてほしい、目が覚めたらいきなりアマゾンの奥地に迷い込んでいた、と。。そして、周りと取り囲む大量の現地人たち!いきなり意味わからないアマゾンにつれてこられてゾンゾンしてしまうと、そういう状況だと考えてほしい、そんなアマゾンゾンゾンの中、現地の人間がよくわからないジャンベのような楽器でいきなり演奏を始めたとして、意味わからんと、でも、何か音楽的に感じるところはあるぞ…と、そのように考えてほしい。そして、『よかったっすよ!』といって握手しようとしたら、相手が(股の間から手を差し出して転倒しながら)こういう握手を求めてくるんだよ!文化が違うからね!うわ、意味わかんねえと、でも何か感じるところはあると、でも、握手しようとしたら(股の間から手を差し出して転倒しながら)これもんのゾンゾンよ!俺のライブもそのような意味わからない要素を含んでいるが、基本的にはラブ&ピースで熱いバイブレーションとソウルが込められているのでね、どうか、アマゾンの(股の間から手を差し出して転倒しながら)これだけどよー、全力で感受していこうぜ!」
韻を踏もうとするも、言葉が出てこない状態に陥る川染が、頭を激しく殴打しながら「おい、おれの言語野ー!おれの言語をつかさどる中枢神経!しっかりしろやー!イエー、右脳と左脳をパーカッションに、おれの言語中枢!言語をつかさどる左脳しっかりしろや!海馬しっかりしろや!イメージをつかさどる右脳もがんばれよコラー!ブレインパーカッションで活性化しろ!」
辞書を参考にしながらフリースタイルラップを作り上げていく『MCディクショナリ
』の演奏。声質をさまざまなものに変化させてラップする。客に声質のリクエストを要求する。「いま、おれはお客様に絡んでいったよね!こういうことなんだよ!たとえば、そう、無料動画というのがある!いまは無料動画というのが完全に主流だし、俺も無料動画とかとんでもなく面白いと思う、リスペクトしてる、でも、無料動画には『対話』がない!こうやって演者の身体がいきなり迫ってくるような接触がない!ライブというものの醍醐味はここにあるとは思わないか?確かに無料動画はすばらしいが、なぜ俺たちは会場にまで足を運ぶのか??俺たちは無料動画では味わえない『対話』をしていこうぜ!シーブーヤー!」
嗅覚、触覚、味覚に特化した演奏 。客の目をパーカーで隠し、耳もふさいでもらった状態で、口の中にしょっぱいクラッカーを四分の四拍子で投げ込んだりバジルのにおいを近づけたり遠のけたり(SJ=スメルジョッキー)、手にイボイボのついたボールを押し付けたりする演奏。「からあげラーメンって考えたやつ天才だと思わないか?」とミニマルラップ。
雑踏の音(ガヤガヤ)を客に言わせて、川染は耳元でヒソヒソという声で秘密話をするコンポジション。演奏中、勝手にシーケンサーのボタンを押してしまう客に対して「おい、おまえ!オービタルのライブでも同じことやれよ!絶対だぞ!エイフェックスツインの来日のときもステージに上がりこんでボタン押せよ!約束だからな!」という。コンポジションの説明途中、得意とする大阪の女の子の形態模写「ウチもなー、ライブのときに掛け声やれとかいわれてもなー、恥ずかしくてよう言われへんねん。。。そんでなー、うちに帰って後悔すんねん。。。なんであのとき掛け声せんかったんやろ。。。ステージ上であの人もゆうてはった、、明日何が起こるかわからん、一時間後には車に衝突されて命を落としてるかもしれへん、、だから一分一秒を全力で楽しんでいこうって。。。ああ、掛け声かけたったらよかった、私も一緒になってガヤガヤってゆうたらよかったんや。。。」を繰り出す。ガヤガヤガヤガヤを四回いって、叫びながら昇竜拳を放ち、ライブ終了。

6月9日 高円寺円盤
テープからビート、前説ラップ。
「どうも!川染!喜弘だ!これから約50分ほど、ライブをやらせていただくワケだけども、俺の表現が一見すると、意味のわからない表現に、感じられるかもしれない!そう、アマゾンの奥地にいきなり連れ去られ、顔半分を黄色、半分を白に塗った原住民に囲まれている状況だと考えてほしい!そいつらに周りを取り囲まれて、そいつらはなぞのディジリドゥのような楽器を演奏しはじめる!ほかのやつらはお前のまわりを回り続けている!意味わからんよね、恐怖だよね!でも、そんな現地人の姿を見ていたら、何だか感動してしまった、、俺の意味わからん表現もそのようにして鑑賞してもらえたらと思う!感動したからといって現地人に握手しにいこう、すると、文化が違うから(倒れこんで背中から手をまわして)これよ。これでまた『うわー、意味がわからない…』ってなるかもしれないけど、あっちではこれが正しい文化なのよ!そこをわかってほしい!オッケー、いこう!」
『うどんを食べるときにかつおぶしをかけることによって、しょうゆを使わないから塩分を過剰摂取せずにすむ』という歌詞の歌を延々と熱唱し続ける。
客の胸にピックアップマイクを装着し、その心音を拾う。川染の胸にもピックアップ。客に激しい動きをしてもらい、心拍数をあげる。その心拍数にあわせるようにして、川染も激しい動きをして、客の心音の音量を下げ、自分の心音の音量をあげて「つなぐ」心音のDJ。「お前のBPMめっちゃあがってガバになっちゃってるじゃんか!」マイクロスコープアートの概念をラップしていると、客の心音があがる。「望遠鏡からのぞく宇宙も壮大だが、顕微鏡をのぞくとそこにも壮大な小さすぎる宇宙が広がっている、、そう、これこそがマイクロスコープアートなのだー!(心音に耳をそばだて、心拍数があがっていることを確認し)そして、お前はその生き証人なのだー!(心音に耳をそばだて、心拍数があがっていることを確認し)この芸術に立ち会ったお前もまた伝説の一人なのだーっ!(心音に耳をそばだてて、心拍数があがっていることを確認し)どうよこれ、究極の芸術に立ち会った感動とビンビンすぎる感受性でめっちゃ興奮しちゃってるじゃないの!」
九九にメロディをのせて歌う。「楽譜には『九九にメロディをあてて歌う』とだけ書いてあるのよ!おれはよく楽譜を仕事先なんかで落としちゃうんだけど、これを発見されたときの俺の気持ちを考えてみてくれ、、『川染さん、何か落としましたよ、、(九九にメロディをあてて歌う、って書いてあるな笑)』これよ。。。わかるか?この小さすぎるコンポジションを演奏しているということがいかに美しいか!これこそが、マイクロスコープアートなのだ、そして、マイクロスコープアートにはお金は必要ない、小さすぎることだけでも人を充分に幸せにできる芸術のメソッド…(ウインクして親指をたてながら)それこそがマイクロスコープアートだったよな?」
耳にクッキーを差し込んで味を聴き、音楽が流れているヘッドフォンを口でくわえて音を食べ、バジルが入ったビンを見つめて匂いを見、ぶつぶつがついたボールに鼻を押し付けて触覚を嗅ぐコンポジション。
ライブ会場に毎月花を植えていくコンポジション。今回の花は「ドラセナ」「オリーブ」など。実際に植えるのではなく、花の名前を繰り返しラップする。「家に帰ってどんな花が植えられたか、どんな花言葉があったか、調べてみてくれ!(幸福)」ドラセナコールを4回繰り返し、四回目で拳を突き上げて飛び、ライブ終了。

6/26 埼玉スタジアム2002
ミキサーなどの調整で、ややてんぱった状態でライブ開始。テープからビート。
「どうも、川染、喜弘、だ!今日はこれから約1時間ほどライブさせていただくワケなんだけども、俺のライブがかなり意味わからねー表現に感じられるかもわからない、というより、意味わからねーライブになるでしょう!だからこう考えてほしいナリ。オッケー、今日の前衛的ヒップホップの前衛極まりない後韻のひとつは『ナリ』だ!リリックとリリックの間に『ナリ』を挟み込むことによって韻が踏めてしまうという寸法ナリ。オッケー、いこう!朝、目が覚めたら、いきなり無人島に迷い込んだと思ってほしい、ほんで、その無人島で顔半分を白、残り半分を黄色のペンキで塗ってて、そいで、唇を紫に染めた現地人に、まあ、三人ぐらいに取り囲まれたとしようよ!で、そいつらが、意味のわからない民族楽器を駆使していきなり演奏しはじめたと、もう、まったく意味わからないと、いきなり無人島に迷い込んでるし処理を超えちまってると、そんな混乱した状態で聞いた現地人の演奏が『なんかよかったな…』と!そういうことだから!そういう風にして聞いてほしい!なにぶん文化が違うから、、かなり意味不明なライブになると思うけど、今日ここに立ち会ってくれた皆さんとの奇跡的な出会いに感謝しながら、一分一秒全力で楽しんでいこうナリ〜、イエーイッ!」
『100万$キッドを300円で買って1000円で売れたときうれしかった。だが、ドラクエ4の発売日にカツアゲにあう』というリリックを、BZ風の歌唱で歌い上げ、川染の合図にあわせて客に『イエイ!』といってもらうコンポジション。激しく歌い上げながら、体をくねらせ、飛び跳ねる川染と、客によるコール&レスポンス。
「みなさんの『イエーイ!』を聞かせてください!今日の前衛ヒップホップのもうひとつの後韻は、そう、リリックとリリックの間にみなさまの『イエーイ!』を挟み込むことによって韻を踏んでしまうという寸法よ(歓声を要求する動きをして、客『イエーイ!』)無料動画、そう無料動画というものがある。みなさんは無料動画というものをご覧になった方がほとんどだと思われる、無料動画は確かに面白いよね、でもどうしてこの無料動画の時代にこのようにしてライブを行っているのかということを考えたことはあるだろうか??おれがライブをするのは、対話をしていくためだ、無料動画は面白い、自分もその面白さは十分に理解しているが、ライブの醍醐味というのは、こうして演者と観客が対話することにあるのではないか、オッケー、埼玉にお集まりのみなさん、ガンガン対話していこうぜ、ぐるぐる回るに、、、ヨーコソーーーー!(客『イエイ!』)オッケー、いこう。そして、これから展開するこの川染喜弘のライブは、かーなーりの小さく稚拙極まりないものばかりが飛び出すだろう。だが、これこそが、そう、望遠鏡からのぞく宇宙ももちろん壮大ですばらしいが、顕微鏡からのぞく宇宙にもまた小さすぎるものだけが持つ宇宙が広がっている、これこそが俺の提唱する芸術の新概念、(マイクをはずして、天を仰いで彷徨しながら)マイクロスコープアートなのだ〜ッ!」
滑車にピックアップマイクをつけ、滑車をまわす音をアンプリファイしながら「盛り上げといて悪いんだけど、これからややアンビエントな時間が展開されると思う」電気髭剃りと髭剃りの音色の違いを聞くコンポジション。だが、電気髭剃りが故障して、電源がうまく入らない。髭剃りで髭を激しく剃る音をアンプリファイしながら「アクシデーント!黒夢でーす。ちょっとね、かみそりの音を聞こうと思ったんだけど、トラブってしまってかーなーりーグダグダなライブが展開されていると思うのだけど、この無音は現代音楽で言うところの『間』だからね、そのようにとらえて感受してほしい。そして、このグダグダなテンパリこそが、俺の楽曲でいうところの『サビ』なのだから、さっき、かなりラップで盛り上げたけど、あれは『Aメロ』だから、この最高潮に盛り上がっているサビで思いっきりダイブしてもらってかまわないよね!(ふんわりと飛び上がって地面に横たわりながら)フォーッ!オッケー、これが俺の提唱するまったく新しい盛り上がりのネクストステージ、前衛盛り上がりだ!もうダイブしたいキッズがいたらどんどんダイブしてくれちゃってかまわないから!(というと、川染の後方から早速ダイブする客が現れ、楽譜をなぎ倒すなどする)オッケーオッケー、彼も盛り上がっちゃってくれたよね!(握手しながら)ありがとうありがとう。いいじゃん、カッコイイじゃん」
ピックアップを装着したそろばんの上に乗り、そろばんをスケボーにしてメロコア風の歌唱をする作品。「こういうPV見たことあるだろ?」
再び、BZ風歌唱&客の『イエイ!』の演奏に戻る。『運賃をうんちと聴き間違えてキャッキャ言ってたことなかったか?あのころの純粋さを忘れてしまったかい?』『Mステ見て上京、アルタ前で弾き語ってたらスカウトが来ると思ってた。アングラな音楽聴きすぎて、いつの間にかここまでたどり着いてしまった、おれももう33歳』といったリリックを何度も繰り返し執拗に熱唱する。客も増え、『イエイ』の大合唱もなかなかの大音響に。また、定期的に投げかけられる観客からの野次(環境音)に対して「なかなか厳しい意見が飛び込んできているけれども、できる限り愛で返していきたいよね」
「オッケー、これからみんなで宇宙にいっちゃおうぜ!」といって、そろばんを弾きながら、ディレイのかかったマイクでお金を数えていく。単位があがっていくごとに徐々に盛り上がっていく川染とより深まっていくディレイ。「(エコーのかかった声で)願いましては一円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては十円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては百円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては千円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一万円なり〜(客『イエイ!』)、願いましてはー十万円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては百万円なり〜(客『イエイ!』)、願いましてはー億円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一兆円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一京円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一垓円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一穣円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一溝円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一澗なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一正円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては載円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一極円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一恒河沙円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一阿僧祇円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一那由多円なり〜(客『イエイ!』)、願いましては一不可思議円なり〜(客『イエイ!』)、オッケー、とうとうきたぞ!みなさんの全力をぶつけてください!おれも人生のすべてをかけてここに立っています!今日のライブを見て悲しみはすべて宇宙において帰ってくれ、いくぞ、願いましてはー(ダイブしながらディレイを最高に深くして)一無量大数ナリ〜!(客『イエイ!』)!」
「最後の作品になるのですが、最近、『ライブ会場に花を植える』という活動をしておりまして、まあ実際に植えるというよりも、その花の名前を皆様の心に植えるわけですが、今日の花は『オリーブ』です。ライブの最後は4回のオリーブコールで締めくくりましょう!そして、ライブが終わったあとは、各自家に帰ってからオリーブの花言葉を調べてほしい(「平和」「知恵」)!オッケー、それじゃ『オーリーブッ!』って四回いうので皆さんはそれにあわせて…(大阪風の女の子の真似をしながら)ウチもなー、気持ちはわかるねんやんかー、ライブ会場とかいってなー、コール&レスポンスとかあるとなー、うち、恥ずかしくてよういわれへんねん。。でもなー、うちに帰ってシャワー浴びながらむっちゃ後悔すんねん、、ああ、あのときうちもみんなと一緒にオリーブコールしといたらよかったって。。それにステージの上のあの人もいっとった、人生は一度きりなんやし、その場に立ち会えた奇跡に感謝してオリーブコールしといたらよかってん、、ああ、なんであのときみんなと一緒にオリーブコールしいひんかったんやろ。。(通常に戻り)オッケー、お風呂場で後悔するのやめとこうぜ!いくぞー!セイ、オーリーブッ!(イエイ!)オーリーブッ!(イエイ!)オーリーブッ!(イエイ!)オーリーブーッ!(イエーイ!)、どうもありがとうございました、川染喜弘でした!」



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