11月10日 高円寺円盤
「どうも、川染喜弘だ、これから繰り広げられる川染喜弘のライブが、一見、ワケのわからない演奏に、頭に巨大なクエスチョンマークがつくような演奏に、感じられるかもしれない。朝、目が覚めたら無人島に迷い込んでいたとしよう、無人島の奥へと進んでいくと、向こうの方から、ぞろぞろぞろぞろ、ソロソロソロソロ、顔半分を青色、顔半分を赤色、唇を紫にそめた、ワケのわからない集団が、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロ、やってきて、なにやらワケのわからない民族楽器でいきなり演奏を始めたとしよう、はじめは面食らうよね、クエスチョンマークだと思う、だけど、聴いているうちに、だんだんと、何か感じるものがあった、何か伝わってくるものがあった、と。そんな風に感じていただくことが、僕の芸術のひとつのゴールです!そして、僕のライブはかなりユーモア極まりないものになると思うのだけど、みなさんは幼少期に漫画本を読んだことはないだろうか?くだらない漫画本、、気楽なもんですよね、横になりながら漫画読んで、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、菓子くいーの、たまに自分のタイミングで寝ーの、笑いーの、菓子くいーの、たまに心打たれて泣きーの、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、心打たれーの、笑いーの、心打たれーの、菓子くいーの、笑いーの、心打たれーの、笑いーの、菓子くいーの、寝ーの、笑いーの、心打たれーの、菓子くいーの、笑いーの、、そのうちに、何か元気もらってたと、くだらない漫画本から、何か大切なものを受け取ってたと、人生の生きる指針になるようなメッセージを受け取っていたと、そういう経験は、皆さんにはないだろうか?おれはあるんだけど、おれのユーモアの部分にはそういったスピリットが込められているということを、どうか感受してほしい、そして、俺の芸術の根底にあるものは、、ラブ!!何かを本気で、愛を持って提供すれば、いつか必ず伝わると信じて、おれは十年以上もこの活動を続けてきた、、この世の中には色んな人間がいる、、いろんな考え方・価値観を持った人間がいる、、そんな中で、本気で愛を持って何かを届ければ、少しだけでもそんな価値観もなんもかも違う人間同士がわかりあえるかもしれない、、俺はそれを信じて、、そう、こんな音楽やってるやつだっている、、それが少しでも届くことを信じて、おれは演奏している、、その根底にあるのは、、、ラァ〜ブ!オッケーいこう!」
『エフェクト、チェンジ!』の掛け声で円盤の店員が川染喜弘の声にかかっているエフェクトを変化させる(ディレイ、フランジャー、リバーブなど)。その状態でめまぐるしいフリースタイルラップ。ラップ中に、川染喜弘とは別人格の『ラッパーA』『ラッパーB』が登場し、ラップバトルに突入する、、その突入する寸前に、ラッパーBの口からラッパーCが吐き出され、ラッパーCがラップをしようとするとその瞬間、ラッパーCの口から劇作家Aが吐き出され、今回のライブが「自分によって構成された前衛的な演劇作品である」と告げられる。
時計の針をスクラッチすることで時空を越えるコンポジション。『タイムストリ〜ム!』という掛け声とともに、サンプラーから時の渦に吸い込まれていくサウンドを流す。はじめは、ライブ開始十分後、ライブ終了十五分前などに時計の針があい、前説や、未来で演奏する予定である『瓶を使ったローワーケースサウンド』の演奏が繰り広げられたりする。が、タイムストリームがどんどん過激化していき、針がグルグルとまわり、川染喜弘91歳が登場する。「どうも、、川染喜弘91歳じゃ。。」といって、老人の姿勢をとりながら前説を繰り出す川染、直後に『タイムストリーム』が起こり、現在の川染喜弘に戻り前説→20代の川染喜弘になり「(ヘッドフォンをしながら頭をゆらして)ビートルズいいなー」→10代の川染喜弘になり「(Mステの画面に拳を振り上げながら)やっぱJ-popだぜーッ!」→赤ん坊の川染喜弘にまで若返る。「バブーバブー」といいながら横になって赤ん坊の動きをする川染。好奇心のまま手に取ったプラスチックバットをピックアップで演奏するサウンドパフォーマンス赤ん坊川染喜弘→「時は応仁の乱、、、」といって、手に持っていたプラスチックバットを刀にする、侍・川染喜弘。「拙者には氏名があるでござる」といいながら会場を飛び出していき、すぐさま帰還して「任務完了でござる」→タイムスリップした先は邪馬台国。卑弥呼が「誰か、誰かわらわを楽しませるものはおらんのか」と言うと、ずいっと名乗り出た男が一人、「おお、ソメヒコか」「ははっ、卑弥呼さま、ソメヒコでございまする。。私は卑弥呼さまのために音楽を奏でようと考えております」「そうか、、ソメヒコよ、音楽とはなんじゃ?」「ははっ、卑弥呼さま、音楽というのは、受聴者の鼓膜を震わせることで成立する音の芸術でございまする。。」→タイムスリップした先で、類人猿になる川染喜弘。野獣の叫びをあげながら、モノリスを発見した類人猿のような動きをし、時計を口で操作し、タイムストリームが起こる。「(宇宙的なサウンドを流しながら)ここは、、いったいどこなんだ、、おれはいったい誰だ。。。」「ここは地球が生まれる前の宇宙、、おまえはこれから宇宙の中に地球を創生する川染喜弘の『気』だ。。」「おまえはいったい…?」「わたしは、これから宇宙を創生する川染喜弘の『気』に創生を促す者だ」「なんだって……!?」「そして、私は、その創生を促すものを創生した創世主だ」「わたしは創生を促す創世主の創世主の創世主だ」「私はその創生主を創生したという思い上がりの感情だ」「私はその思い上がりの感情を創生した創世主だ……」無限ループに突入するところで、タイムストリームで現在に戻る。
現在に戻った川染喜弘が「時計の針が一周するたびに百万年の時が流れるのじゃ〜!」といって針をグルグルと回転させると、タイムストリームの末に現れてきたすべての登場人物が同じ時空に現れてしまう。同じ時空間に時を越えた登場人物たちがコラージュされる。「卑弥呼さま、クラブに行きましょうぞ」といってクラブでタップダンスをするソメヒコ&卑弥呼。「私はこのサウンドパフォーマンスアートに前衛的な演劇の要素をコラージュすることで新しい芸術を作り出そうとした演出家Aだ」という登場人物が現れたり、ラッパーCによる「横浜生まれ横浜育ち、みんな2歳のころからバイク乗り回し、マイナス2歳のころから円山町でレコード買いあさり、売りさばき、バイク乗り回し」というリリックが挿入されるなどして、混沌に拍車がかかる。
ピアノのコードをたたきながら「ミ・ク・ソ・リ・ディ・ア・ン・スケール!」「ド・リ・ア・ン・スケール!」と発話していく演奏だが、最終的には卑弥呼が演奏しているという状態になり、「ド・リ・ア・ン・スケール、わらわ〜!」のミニマルになる。
エフェクトチェンジの指示を出しながら、今まで繰り出された演奏がすべてコラージュされ、どんどんめちゃくちゃになっていくライブのピークで、川染喜弘が「(顔の前で、自動ドアを開くような腕の動きをしながら)トータルリコール」と発話する。川染喜弘の割れた頭から脳みそが飛び出してくる。右に左に揺れて、マイクにパンニングをかけながら、「右脳でーす、左脳でーす、ランランラララン、脳みそで〜す!」を何度も繰り返す。脳に吸い込まれていく登場人物たち(=トータルリコール)、最終的に、客が作った腕のわっかの中(脳の入り口)に川染喜弘が吸い込まれていき、ライブ終了。

11月22日 原宿Vacant
テープからせせらぎのような音、それをビートにして前説。
「ネオハイブリッド宣言2へようこそー!川染喜弘だ。これから巻き起こる僕のライブは、かなりクエスチョンマークだらけの、わけのわからないものに感じられるかもしれない。こう考えてほしい、目が覚めたとき無人島に迷い込んでいたとしよう。その無人島の奥から、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロ、顔半分を赤色、半分を白色、唇を青色に染めたわけのわからない集団がやってきて、ワケのわからない楽器で、わけのわからない音楽、わけのわからない芸術をやったとしよう。はじめは、何のことかわからないかもしれない。だけど、聴いてるうちに、何か感じるものがあって、すごい良かった、みたいな、すごい心打たれた、みたいな。そんな風に感じてきた、、、そう感じていただくことが、僕の芸術のひとつのゴールです!そして、このライブはかなりユーモアだらけのものになると思うのだけど、なぜ、僕がユーモアの要素を大切にしているのか?みなさんは、幼少期に漫画本を読んだことはないだろうか?くだらない漫画本、気楽なもんですよね、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、菓子くいーの、たまに自分のタイミングで寝ーの、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、たまに、笑いの奥にひそむ何かに心を打たれて泣きーの、笑いーの、菓子くいーの、笑いーの、心打たれて泣きーの、笑いーの、菓子くいーの、、俺は今年でもう33歳になったんだけど、そのときに漫画本から受け取った何かが、今も人生の生きる指針になっている!おれのライブのユーモアにはこの漫画本のスピリットがこめられている!オッケーいこう」
模造紙に貼られたアナログシンセ、キーボード、サンプラーなどの写真を指で操作しながらボイスパフォーマンスでその楽器の音を演奏する作品。管楽器の写真が大量に貼られた模造紙も追加され、紙の管楽器に口をつけて吹き、即興演奏を展開していく。
「上京してきたころ、ハチ公前とアルタ前で記念撮影をしなかったかい、俺はして顰蹙をかったよ」というリリックをラップするラッパー、この短いリリックを何度かラップしたあと、「カット!!」という掛け声で映画監督が登場する。「いやー、君のラップよかったよ。僕の映画にふさわしい!もう一回やってみてくれ、アクション!」といって、再び短いリリックをラップ。ラップ→「カット!いやー、君のライブよかったよ」→ラップを何度も反復するミニマル演奏に展開していく。
『ファスト声楽』のコンポジション。ファストコアのように一瞬にして終わる短い声楽を歌いながら、シーケンサーをバチでたたいて鉄琴の音を出す。「次の曲です」「次の曲です」といって、短い発声&鉄琴による短い演奏が繰り返されるミニマルへと展開していく。
時計をレコードにみたてて、時計の針をスクラッチし、過去に行った演奏を現在の時間にコラージュしていく『タイムスクラッチ』のコンポジション。冒頭の前説や、紙の楽器による演奏などが再現される。模造紙に貼り付けた大量のターンテーブルをスクラッチする即興演奏、ピックアップによる具体音の演奏などが追加される。タイムスクラッチは時空を超え、11月10日に行われたライブの内容(邪馬台国のサウンドアート、宇宙の創世、赤ん坊、類人猿の演奏)などもコラージュされる。「宇宙の創世主さま、私は今からビッグバンを起こして宇宙を誕生させようと思っているのですが?」「なんだって、、?」「創世主さまが、ひとつひとつの星や生命を作っていくのはとても面倒でしょう、だから、ビッグバンを起こして一気に生命を誕生させようと思っておるのです」「貴様…!そんなことをしたら宇宙が膨張しつづけるだろうが!」「それももちろん込みでビッグバンを起こそうと考えているのです」「なんだって…?貴様ァ…!」「これはすべて創世主さま、あなたに教えてもらったことですよ!」、ちょっとだけ過去に戻り、「大木さん、今日はよろしくお願いします。サウンドチェックしていいですか?」とリハーサル時のコラージュもなされる。タイムスクラッチが細かくなっていき、完全にターンテーブルのスクラッチと同じになっていく。時計の針をスクラッチしながら、レコードのスクラッチのように、自身がライブ中に行ってきたパフォーマンスを高速で巻き戻したり早送りしたりする。
「ネオハイブリッド宣言2」コールを四回、四回目で、タイムスクラッチによって100年後の未来に飛ばされ、未来のコンピューターが『HELLO!』といってライブ終了。

11月23日 美学校
第一部は、10月30日に行われた33時間ツイッターライブを振り返るトークショー。企画者による『契約書』に関する説明、ライブ中の川染喜弘の精神状態のことや、芸術と仕事についての話など。雇用主と労働者の間で領収書の受け渡しが行われて、『芸術労働』という作品を正式に完成させる。トークショー終了後、映像上映などをはさみ、ライブ開始。今回のライブは主催者のラドコモンズによるリアルタイム批評とのコラボレーションとなった。川染喜弘のライブに対応して、その場で批評をタイピングし、その文面がスクリーンに投影される。
テープレコーダーから鳥の鳴き声。
「どうも、川染喜弘だ!今日は、ツイッターライブの打ち上げ&久々に二時間もライブの時間をもらえているということで、かなり気合が入っているのだけど、僕のライブはかなりユーモア極まりない演奏になると思う。なぜ僕がユーモアの要素を大切にしているのか、お教えしよう。皆さんは幼少期のころ、漫画本を読んだことはないだろうか?くだらない漫画本、気楽なもんですよね。横になりながら漫画開いて、菓子食いーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、たまに自分のタイミングで寝ーの、笑いーの、菓子くいーの、たまに心を打たれる何かがあって、泣きーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、心打たれーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、ユーモアの奥に何か感じて泣きーの、笑いーの、菓子食いーの、寝ーの、笑いーの、、、そしたら、そのうちになんか大切なもんを受け取っていた、と。そのとき、そのくだらない漫画本から得た何かが、自分の人生の生きる指針になっている、と。そういう経験は、皆さんにはないだろうか?俺にはあるんだけど、俺ももう33になるんだけど、そのとき、漫画本から受け取ったスピリッツは今でも自分の人生の生きる指針になっている。僕のライブのユーモアにも、この漫画本と同じスピリットが込められている。オッケー、いこう、そして、僕のライブは、かなりワケのわからない、クエスチョンマークたっぷりのライブに、感じられるかもわからない。だが、こう考えてほしい。無人島に、朝、目が覚めたら、無人島に迷い込んでいたとしよう。無人島の奥へ歩いていくと、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロソロ、顔半分を赤色、顔半分を青色、唇を紫に染めた、ワケのわからない集団がやってきて、ワケのわからない民族楽器でワケのわからない演奏を始めたとしよう。はじめは、なんのこっちゃいなと、動揺して、何もわからないかもしれない。だが、じっくりと彼らの演奏を聴いているうちに、何か心打たれるものがあって、ワケのわからないものの奥にあるものをキャッチして、感動したと。何か感じるもんがあったと、何か伝わってきたと。。。そのように感じてもらうことが、僕の芸術の、一つのゴールです!ワケのわからない表現になるかもしれないが、根底に流れているのは、そう、ラブ!この世には色んな価値観の人間がいる、色んな考え方の人間がいる、僕は、何かを、本気で、愛を持ってお届けすれば、そういった違う人たちとも、どこかで、少しだけでもわかりあえると信じて、この芸術を追求してきている。ワケがわからないかもしれないけど、根底にあるのは愛!少しでも伝わればと思います!オッケー、いこう!!」
石の入ったペットボトルを振る。マイクにしたイヤホンを口の中に突っ込み、歌声にフェイザーのエフェクトをかける。腰を右に左に揺らしながら、ペットボトルを振り、なにやら歌詞のある歌を歌っているのだが、声にエフェクトがかかっているため、歌詞を聞き取ることはできない。しばらく、この演奏が続き、ややあって、イヤホンマイクが口からはずされる。肉声で歌いだした川染によって、歌われていた歌詞が「メガネは顔の一部です〜♪」であることが判明する。また、イヤホンマイクが口に突っ込まれ、エフェクトボイスになる。
和製英語に英語のアクセントを加えていくコンポジション。「キックボクシング」「ノートパソコン」「ゲームセンター」「ゴールデンタイム」といった、和製英語を、非常に流暢な英語の発音にして発話していく。さまざまなバリエーションの発音によって、和製英語がどんどん新しい形に変形されていく。
ビンの中にストローで息を吹き込む、ペットボトルにストローで息を吹き込む、微音のコンポジション。
会場内の備品(イス、扉、石油缶、食器、割り箸など)を演奏する。
フリースタイルラップ。リリックが出てこない→サイドスローの動きをしながら、ゆっくり腕を振りぬき、一つのリリックに到達する→スローモーション野球。めまぐるしいラップを続けながら、ゆっくりとピッチング→バッティング→守備→タッチアップの送球→ホームベース上での交差などを展開していく川染。野球の劇的なシーンの終わりとラップの終わりに、「守ったぞー!」といって拳を振り上げる。「しまっていこー!」といって、ピッチングの姿勢に。捕手の指示に首を振り続けるミニマル演奏。再びスローモーションになり、「次に演奏しますのは、、新しく書き下ろしてきた楽曲が書かれている譜面を丸めて、、投げたーッ!」といって丸めた楽譜を投げる川染、それをバッターボックスで迎え撃つ川染。
チャンスオペレーションで楽器を選択する。「(トイレットペーパーの芯と鉛筆削りを交互に指差しながら)どちらにしようかな、天の神様の言うとおり、鉄砲撃ってバンバンバン、アナログシンセ、買いたいな、ツマミを強く、いじりすぎ、取れたツマミが4000個、それを集めて売りさばく、ツマミの転売ボロもうけ、芋食って屁してよいよいよい、スウィートポテト、食べたいな、お腹の中は芋だらけ、おならの音でサウンドアート、アナログシンセ、ツマミが4000個、全部集めて売りたいな……」と、いつ終わるのかわからない、言葉が無限に繋がっていくような「天の神様の言うとおり」を繰り広げ、トイレットペーパーの芯を使った演奏に決定する。トイレットペーパーの芯のふちにストローをあてがって、息を吹き込む川染。1.5リットルのペットボトルに、客にそれぞれ物を一つずつ入れてもらい、その場で新しい自作楽器を作る。
『韻を考えるin美学校』のコンポジション。客からリリックを出してもらい、そのリリックをつなげてライブの締めくくりとする。
「夜空を照らす松明、松ぼっくり、ずっとあなたを待つ、年末、お祭り騒ぎが始まる(ディレイ)、松本くんが騒ぎ出す、松本くんて誰?、だれてんじゃねえぞ☆、(光で韻を踏む)、(ポーズで韻を踏む)、(無音で韻を踏む)、(笑顔で韻を踏む)、(目を瞑って韻を踏む)、(地団太で韻を踏む)、(武田で韻を踏む)、(カズダンスで韻を踏む)、(ビスマルクで韻を踏む)、(レオナルドのかっこよさを想像した表情で韻を踏む)、(美学校の代表の無言を全員で注視する、で韻を踏む)、(カウントダウンで韻を踏む)、(乾杯で韻を踏む)どうもありがとう、川染喜弘、そして、MCみんなでした!」

11月24日 浅草橋天才算数塾
「ヨガ」をテーマにしたイベント。川染喜弘は「ヨガ演劇」という作品で参加。
・演出家(川染喜弘)によって役者がキャスティングされる
・顔合わせ(演出家による自身の演出についての説明)
・舞台稽古(稽古中に、出演する演出家に代わる演出補佐・舞台監督、照明などを担当する客が川染喜弘によって設定される。客は「川染喜弘のライブ」の中で、『「川染喜弘の演劇」を作り出す劇団員』という役割を演じることになる)
・舞台初日
という流れでパフォーマンスが行われた。
普段ライブ冒頭にラップされる川染喜弘による前説が、今回では「役者に対する、演出の説明」という形で語られた。「ユーモアの要素」「わけのわからない表現」に対する自身の考えをゆっくりと語り、「『愛を持って、全力で演技に取り組むこと』を何よりも大事にしてほしい、ステージ上で照れないで真剣に演技をしてほしい」と役者に要求する川染。
一時間ほどの舞台稽古。川染喜弘が楽譜(脚本)を見ながら、舞台上演のときに行うパフォーマンス・演技をじっくりと練り上げていくプロセスを見せるコンポジション。役者は、『立ち木』という役を演じる。『立ち木』はヨガの立ち木のポーズで終始立ち続けるという役。「舞台美術であり、重要なメッセージが込められている役でもある。足がプルプルしてきて辛くなったら何度も倒れて欲しい。そして、そのたびに立ち上がってほしい」と役者に演技指導をし、川染喜弘の「七転び八起き、一億転び無量大数起き」のメッセージが込められている象徴的な役であることが伝えられる。「ハードディスクがすぐに飛んでしまうから」といって、客の一人が、川染喜弘の脚本と演出をメモし、決まった時間に次の場面に移行するように指示する舞台監督のような役割を与えられる。舞台稽古は、楽譜に書かれたコンポジションを実演し、「ここはこんな感じで5分くらい、忘れちゃうから書いといて」の連続で進んだ。
「それでは、みなさん、長らくお待たせいたしました!川染喜弘と、ツッチーによる、ヨガ演劇、まもなく開演、初演になります!」といって本番が始まる。
・立ち木のポーズで木がたっている(5分)
・ビンの周りを車(川染喜弘)が「ブゥゥゥゥン!」というけたたましい音をあげながら旋回する。立ち木はたち続ける。
・川染喜弘がタバコに火をつける。投げたタバコをキャッチし、火をつける→投げたタバコをキャッチし、床を回転、起き上がってきて火をつける→タバコを遠くに投げる、タバコに向かってダイビング、キャッチして床を回転、起き上がってきて火をつける、などに発展していく。表情と身体のコンポジション。立ち木は立ち続ける。
・サンプラーから雨の音。立ち木に引っかかったカサを見つける川染。雨が降っている音→カサに雨が当たる音→雨が降っている音、と交互に変化する音にあわせて、川染喜弘が「カサをささない/カサをさす」を何度も繰り返す。「カサをささない」のときは、天に向かって指をさしたり、怒鳴るような表情でゆっくりと拳を突き上げたりと、雨が降っている天に怒りを表明する。「カサをさす」のときは、嬉しそうな笑顔になり、カサを振り回したり、東京音頭のようにカサを動かしながら踊ったりして、雨にぬれない喜びを表現する。「雨の音→カサに雨があたる音」の変化が少しずつ早くなっていくのにあわせて、川染喜弘の身体もどんどん忙しくなっていく。立ち木は立ち続ける。
・ビンを「気持ちこっち!気持ち気持ち気持ち気持ち!」といいながら、少しずつ移動させるコンポジション。立ち木の前で行われる。立ち木も「気持ち!気持ち!」の発話に参加する。
・川染喜弘が「これ、完全にいかれてるやんけ、めっちゃきたな!ぜんぜん手入れしてへんやないか、コルクかた!めっちゃ固くしめてるやんけ!プロやったらこんなかたくしめへんで、これ素人がいじってんなあ、、うわ、めっちゃきたな!オイルもれてきてるやんか、髪の毛とか入ってるし、うわー、ちょっと、エンジン見せてもらうわ、、うわー、これはあかんて、めっちゃ汚れてるわ。。ちょっと乗ってみるか、、バルルルルン、、こら、あかんわ!完全にエンジンいっとるやん、、素人がいじるからこうなんねん。。」と文句をいいながら、エンジンを整備する柄の悪い男を演じる。立ち木は立ち続ける。
・『川染「で、どっちが正しいと思うんだ?」サンプラー「私は川染さんが正しいと思いますよ」ガムテープ「いや、私は川染さんが間違ってると思いますね!」』のミニマル。立ち木は立ち続ける。
・立ち木のポーズの前で川染が立ち木に。川染喜弘の伸び縮みにあわせて、立ち木も伸び縮みする。
・ダジャレで笑いカワセミが笑う、というコンポジション。「このサンプラー、ナンプラー?」「このサンプラー、てんぷら?」「このてんぷら、サンプラー?」といったくだらないダジャレを発話し、笑いカワセミの笑い声のような鳴き声が入った音を出す川染喜弘(笑いカワセミが笑うと幸せが訪れるといわれている)。笑いカワセミの音が盛り上がってくるのに乗じて、立ち木は踊りだす。
・会場内を利用した演奏。窓ガラスや畳の演奏、天井の穴を楽譜にして口で電子音楽のような音を出す演奏など。
・オリジナルヨガの演奏。立ち木の周りを回りながら、川染喜弘が考案したサウンドアート的ヨガを次々と披露していき、立ち木はそのヨガの効果を発話する。
笙ヨガ→ひじをくっつけた両前腕を顔の前に持ってきて「ボー!」と発声する(ひじのエクササイズ)
トロンボーンヨガ→トロンボーンの演奏のように腕をうごかす(腕のエクササイズ)
ホルンヨガ→左腕でホルンの形をつくる(肩のエクササイズ)
アナログシンセヨガ→空中でツマミをいじる動きをする(指先のエクササイズ)
音叉ヨガ→ひざで音叉を叩いて音を反響させる動きをする(中枢神経のエクササイズ)
ターンテーブルヨガ→ヘッドフォンを肩と耳ではさむ形をとりながら、スクラッチの動きをする(首のエクササイズ)
・テルミンヨガ→立ち木がテルミンとなり、川染喜弘の演奏にあわせて立ち木がテルミンの音をボイスパフォーマンスする。テルミンヨガで会場を盛り上げて、演劇は終盤に近づいていく。「人生何があるかわからんけど、何度だって立ち上がれんぞ!七転び八起き!恒河沙転び、無量大数起き!どうもありがとう、主演の川染喜弘と立ち木役のツッチーでした!」でライブ終了



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