12月8日 高円寺円盤
サンプラーからビート。
「どうも、川染喜弘だ。これから巻き起こる川染喜弘のライブは、かなりワケのわからないもになるかもしれない、なるだろう、こう考えてほしい、あなたが目が覚めて無人島に迷い込んでいたとしよう、無人島の奥へと進んでいくと、前のほうから、顔半分を青色、顔半分を黄色、唇を白く染めた集団が、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロやってきて、ワケのわからない楽器で、ワケのわからない演奏をはじめたとしよう。はじめは、面食らって、何一つわからないかもしれない、だが!しばらく見ているうちに、ワケのわからないものの奥に何かを感じて、何か心打たれるものがあった、伝わってくるものがあった、、そんな風に感じていただくことが、僕の芸術の一つのゴールです!そして、僕のライブは、かなりユーモア極まりないことになると思う。僕がなぜユーモアの要素を大事にしているのか。みなさんは幼少期や思春期に漫画本を読んだことはないだろうか?くだらない漫画本、きさくなもんですよね。笑ったり、お菓子食べたり、笑ったり、お菓子食べたり、、たまにユーモアの奥にある何かに心を打たれて、泣いたり、、笑ったり、お菓子食べたり、笑ったり、泣いたり、笑いーの、菓子食いーの、心打たれーの、笑いーの、菓子食いーの、、そのうちに、そのくだらない漫画本から、人生を生きる指針を受け取っていた、、そういう経験はないだろうか?おれはあるんだけど、おれのライブのユーモアにはその漫画本のスピリットがこめられている。そして、、おれたちは、今こうして、この場所に、奇跡的に立ち会っている!ここで集まった人たちは一期一会!最高のライブを作り上げていこうぜ!オッケーいこう」
会場内をふらつきながら、膝や頭などを会場内にあるさまざまなオブジェにぶつけていき、「アウチ!」と叫ぶコンポジション。頭でアンプを頭突きするときに、アンプのスプリングリバーブが音を出す。客があおぐうちわの風に飛ばされる演奏(「風力を利用した演奏」)。うちわにあおがれて、風に吹き飛ばされた川染がピアノの鍵盤の上に倒れこむ、シーケンサーやサンプラーなどの機材に倒れこむ、壁にたたきつけられる、風にあおられて何度もその場でジャンプする、地面に倒れこむ、など、風力を利用したさまざまな演奏が飛び出す。ディレイのかかったマイクで間を十分に活かしながらしりとりをする『ディレイしりとり』(1)
(1)の演奏をいきなり中断し、音を止め「……ってライブ、あったらいいと思わない?」「いいじゃん、お前最高だよ!」「うるせー!お前に言われてたまるか!」「何だと…!?やるのか貴様!」「やってやるよ…!」とひと悶着あり、「って、ライブあったらいいと思わない」といった妄想家Aではないほうの、妄想家Bが、「おれもこんなライブがあったらいいな、って考えたんだけどさ。こんなライブ、あったらいいと思わないか??」といって、次の作品へと移行していく。
携帯電話のボタンを押す音をピックアップマイクでひろい、アンプリファイする。リバーブのかかったマイクで、「からいはカレー、カレーはうまい、うまいは煎餅、煎餅はかたい、かたいは……」とどんどん言葉をつなげていく演奏(発話の仕方はややBZの形態模写に近かったか?)。「ピアノを弾いてない!」といいながら思いっきりピアノの鍵盤を叩く演奏。「ギターを弾いている!」「エフェクターをかけている!」といいながらピアノの鍵盤を叩くなど。(2)
再び音を止めて、「……ってライブ、あったらいいと思わないか?」「いいねえ!」「うるせえ!」でひと悶着。「おれたちが考えた二人の芸術家のライブをさ、一つのイベントの中で対バンさせるってのはどうかな?イベントをオーガナイズするんだ」「いいねえ」といいながら、機材袋からクラリネットを取り出す川染。クラリネットに思いっきり息を吹き込んで音を出し、「その二人が出演するイベントには、定期的にこのクラリネットの音を挿入しよう」「いいねえ」「よし、じゃあイベントをはじめよう!」といって、会場を飛び出していく川染。
ドアを開けて会場に入ってくる川染。「えー、本日は当イベントに起こしいただき、まことにありがとうございます。これより、『こんな音楽があったらいいと思わないか?』という二人の会話から生まれた芸術家を一同に集めたイベントを、始める前に、それらを混合した演奏ができるのかどうか、まずはそのシミュレーションをしようと考えています」(1)と(2)を組み合わせた演奏を展開していく。途中で、ガムテープで境界線を作り、その境界線の上をガニ股で越境しながら、「京都、滋賀、京都、滋賀、京都、滋賀、京都、滋賀、ランランランランラン♪県・境!!」と歌う演奏が追加される。この「県・境!」のところで、客が「けんざかい!」の合いの手をいれるよう指示される。「茨城、栃木」「静岡、神奈川」「新潟、群馬」「福井、石川」といった、さまざまな県境がリリックとして選択される。
一通りシミュレーションを終えた川染が、ガムテープを勢いよくはがしながら、「すべての境界線は取り払った!」といって、妄想から生まれた芸術家が、妄想の枠を超えて、妄想家たちが対話をする側の階層に登場する。「オレは、お前らの妄想から生まれた芸術家だ、おれはお前たちの現実に介入して、リアリティのある表現として、お前らの聴覚を響かせるサウンドを、決して妄想ではなく、事実、ここに存在する音楽として、耳に届く音楽として演奏しにきた!おまえらのリアルな鼓膜をおれのリアリティあふれる表現で震わせてくれるわー!」「なんだとー!?」→再び、シミュレーションで行った、さまざまな演奏が展開されていく。そのたびに、驚きの声を出したり、「きさま…!」と憤ったりする妄想家たち。
言葉を吸い込み、発話する演奏。サンプラー、シーケンサーの表示や、ビニール袋、会場内の文字(更衣室、時計の数字など)、客から渡されたオブジェに記載された文字などを、思いっきり吸い込む動きをして、体の中に取り入れ(というプロセスを経て)発話していく。
イチョウの葉っぱを落とす演奏。
テープレコーダーがなかなか見つからない→目の前にある。テープレコーダーには、序盤から終盤までの演奏が録音されている。現実の時間と並行して過去の自分とともに演奏する川染。
リリックとリリックの間に「ワサビ」という言葉を挟みこむ。この『ワサビ』という言葉が気になるときは、川染喜弘に「大将、サビ抜きで頼むよ!」と威勢の良い声で伝えると、「あいよっ!」とすし屋の親父の返事をして、ラップから『ワサビ』が抜かれる。
サンプリング業務(ティッシュ配り)のボイスパフォーマンスをサンプリングして、その場でビートに組み込む。エフェクトのかかった「よろしくお願いしまーす」の声がループされる。
妄想家Aはタイムトリップして恐竜になってしまう。彼の鳴き声もまた、彼らが生み出した芸術家のリリックとして、その場で吸い込まれてすぐさま発話される。「やめてくれ!オレの声をお前の芸術の中に組み込まないでくれ!」と嘆願すると、その嘆願の声もリリックにして「それも吸い込んでくれるわ!(スゥーっと息を吸い込んでから、一息に)やめてくれ!オレの声をお前の芸術の中に組み込まないでくれ!」。「けんざかい!」という客からの声も吸い込み、「けんざかい!」と返す。これまで展開されたさまざまな演奏をコラージュしながら、言葉もどんどん吸い込んでズタズタにコラージュしていく。「鳥取、島根、鳥取、島根、鳥取、島根、鳥取、島根、ランランランランラン、県境!!」という最後の県境ラップを経て、「イベントのシミュレーションは大成功だったぞー!ありがとう、川染喜弘でした!」でライブ終了。

12月12日 吉祥寺アートランド(成道未空庵)
アパートの一室、四畳半のスペースでのライブだったため、大きい音を出さないようにするパフォーマンスとなった。テープレコーダーから鳥の鳴き声とせせらぎの音を流す。
「(小声で)どうも、川染喜弘だ。今日は、武蔵小金井アートランドが移転するということで、ここ、吉祥寺の、成道未空庵のオープニングイベントにお呼びいただいて、非常に光栄なわけなんだけど、そう、僕のライブは、一見、ワケのわからないものに、感じられるかもしれない。だが、こう考えてほしい、みなさんが、目が覚めたら無人島に迷い込んでいたとしよう。無人島の奥に進んでいくと、顔半分を黄色、顔半分を白色、唇を紫に染めた集団が、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロやってきて、わけのわからない民族楽器で演奏を始めた。最初はワケがわからなかったけど、聴いているうちに、だんだん、何か感じるものがあった、伝わってくるものがあった、、そう感じてもらうことが、僕の芸術の一つのゴールです。そして、僕のライブは、かなりユーモアきわまりないものになるとも思うのだけど、みなさんは幼少期、思春期に、漫画を読まなかっただろうか?漫画本、くだらない漫画本、きさくなもんですよね、気楽な漫画本、寝転がって読みながら、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、菓子食いーの、たまにユーモアの奥に触れて心打たれて泣きーの、笑いーの、菓子食いーの、笑いーの、心打たれーの、笑いーの、菓子食いーの、、それで、気がつくと、そのくだらない漫画本から、何か大切なものを受け取っていて、それが、今になっても、自分の人生の指針になっている、ということはないだろうか、おれはあるんだけど。このライブもそんな風に感じていただけたら、これも一つのゴールです。そして、この表現の根底にあるものは、そう、ラブ!オッケー、成道未空庵、盛り上がっていこうぜー、ウォー(と、小さな声で発話し、「叫んでいる動き」をする)」
会場内の備品や壁、襖、雨戸、畳、押入れ、エアコンなどを演奏する「風水師」のコンポジション。小声でラップしながら、会場の音を引き出していく。「ドリルンベースとIDM」に関してラップしているようだったが、声が小さくて聞き取れず。サンプラーのスクラッチ、エフェクトのかかった声でのラップなど。大声が出せないということで、全体的に、ラップよりも、具体音や電子音などによる音がメインとなるライブだった。
「30秒後に消灯」「1分後に点灯」と予告しながら、電球の電源をオン/オフする。「五秒後に注入」といって、ビンの中に水を注ぎ込んでいく。
「このビンの中にもう一つの成道未空庵があるとしよう。メタ芸術をメッタメタにしながらメタメタ、(ビンの中にマイクを向けて)成道未空庵、盛り上がってるかー!うおー!ちょっと、ビンの中の成道未空庵はかなり盛り上がってるんですけどね、こちらの成道未空庵はどうでしょうか、このメッタメタなメタ芸術で、新しい視点を導入することで、楽しんでいただければ光栄だと思うのですが…」といって、ビンの中で盛り上がる「成道未空庵in成道未空庵」のライブに歓声をあげる川染。ビンの中の「成道未空庵」に水を注ぎ込んでいく川染。
紙に口を押し付けてラップしながら、吐き出された言葉を紙に書き付けて具体詩を作っていく演奏。「『り』の一人歩き」と言いながら延々と「り」を書き続けたり、「り」と「プ」の結婚、といって、一人歩きした「り」の終着点に「プ」を書き、「リ」と「プ」を円で囲むなど、紙の上にどんどん言葉が書き足されていく。その間、水を注入したり、電球のオンオフの演奏も挟み込まれる。
「成道未空庵in成道未空庵in成道未空庵in成道未空庵in成道未空庵in…」とどんどんビンの中にもぐりこんでいきながら、「in成道未空庵でのメタメタメタメタメタメタメタメタメタライブの最後は、成道未空庵コール、水前寺清子バージョンで締めくくろう!」といって、水前寺清子の形態模写をしながら小声で「成道未空庵」コールをし、ライブ終了。

12月24日 武蔵小金井アートランド
サンプラーからビート、テレコから鳥のせせらぎ
「どうも、川染喜弘だ!これから30分ほどライブをさせていただくわけだけど、僕のライブはかなりクエスチョンマークだらけの、ワケのわからないものに感じられるかもしれない。だが、こう考えてほしい、朝、目が覚めたら無人島に迷い込んでいたとしよう。すると、奥のほうからワケのわからない集団が、ゾロゾロゾロゾロ、ソロソロソロソロやってきて、ワケのわからない楽器でワケのわからない演奏をしたとしよう。最初はワケがわからなかった演奏も、じっくりと聴いているうちに、何か感じるものがあった、何か心を打つものがあった、何か良かった、みたいな、そんな風に感じていただくことが、僕の音楽の、芸術の一つのゴールです!そして、僕のライブにはかなりユーモアの要素が多いのだけど、それは、くだらない漫画本を読むスピリットを思い出して欲しい。みなさんは幼少期や思春期にくだらない漫画本を読まなかっただろうか?漫画本、気楽なもんですよね。横になりながら読んで、笑って、お菓子たべて、たまに自分のタイミングで寝て、それで、時折、そのユーモアの奥にこめられた何かを感受して心打たれて、、その漫画本から受け取った何かが、今でも生きる指針になっている!生きる支えになっている!そういうことはないだろうか、僕はあるんだけど、僕のライブもその漫画本のスピリットで感受していただけたらと思う。オッケー!いくぞー!アートランド!」
アートランドに張り手(楽譜にも『アートランドに張り手』と書かれていた)。アートランドの壁に向かって四股を踏み、がぶりより、激しい張り手をかましながらラップをする。「二曲目をお届けいたしました」(この日の川染は、「曲と曲の区切り」というものをちゃんと説明しながらライブを進行させた)
携帯電話で、自分と客席を自分撮りし、記念撮影する。撮影後「いやいやいやいや、、」といって苦笑する作品。「書き下ろしの新曲になります」「関連作品を…」といって、三回ほど続けて演奏する。「三曲目をお届けしました」
「続いて書き下ろしてきました新曲は『金具パラパラ』です」といって、
県名でミニマルラップ。「神奈川県、広島県、一周まわって青森県けんけん(人力ディレイ)」というように、「県名を三つ言う→一周回って青森県」を何度も繰り返し発話する演奏。「四曲目をお届けしました」
「それでは次の曲を、、」といって、それまで演奏してきた作品をミックスさせた演奏(張り手、金具パラパラ、県名ラップ)を展開。
アートランドコール。クリスマスイブということで、「ゴスペルバージョン」を要求するが、すぐさま「別にゴスペルじゃなくてもいいぞ!」と撤回する。四回のアートランドコールにてライブ終了。

12月25日 高円寺スタジオDOM
サンプラーからビート、テープから鳥のせせらぎ。
「どうも、川染喜弘だ。はじめに言っておこう、今日は、忘れ物をしてしまった!だから、予定していた作品の演奏が困難な状態だ。だが、こういった経験は、もはや一度や二度ではない。自分のこれまでの活動のうち、およそ3割ほどは、こういったアクシデントに見舞われた上でのライブとなっている。逆境をチャンスに!七転び八起き!七転び八起きの精神で、なんとかなるぞ!一億転びナユタ起きの精神で逆境を乗り越えていこうと思います!グチャグチャンネルへ、、、ようこそー!!!」
ダジャレやジョークを言って、そのジョークにたいして「ぴゅるるーん、チーン!」という冗談を強調するサンプル音を流し、どんどんオチをつけていく演奏。「そのモジュレーション、エデュケーションしない?」「その麦茶、たくさん並列させてインスタレーションにしない?」「スピーカーを夜空にちりばめて、まるでスピカ」など、次々とリリックを繰り出して、サンプル音でしめていく。「ロック名言集!あるロックミュージシャンはこう言った、『ロックとは、いい年こいた大人が本気で馬鹿をやること』超共感!そのサンプラー、天ぷら?(ぴゅるるーん、チーン!)」
エフェクトボイス、激しいビート、サンプラースクラッチでハーシュノイズを出しながら、服と背中の隙間に木の枝を突っ込んでいき、謎の生き物へと変貌していく川染。ノイズを出しながら、地面を這い回り、落ち葉にうもれ、背中の木の枝は増えていき、少しずつ異形のものへと変貌していく。その状態で客と握手していく川染。「みなさんは、この演奏から一体、どのようなメッセージを読み取っただろうか?もし、このハーシュノイズや身体性から、邪悪なメッセージを読み取られてしまったなら実に残念だ、、この演奏の奥に僕が込めたメッセージは、そう、ラブ、ピース、そして、ドリーム!さきほどの演奏は一見すると邪悪に見えて、それが伝わりにくい表現方法だったかもしれないが、僕は演奏を通じて、つねにこのラブ&ピースをお届けしたいと思っている」
「黒柳徹子、赤柳徹子、白柳徹子、緑柳徹子、、、」と、黒柳徹子の色の部分を変えていくミニマルラップ。「シエンタ柳徹子、マゼンタ柳徹子、イエロー柳徹子で光柳徹子!赤柳徹子、青柳徹子、緑柳徹子で光の三原則!光柳徹子!」また、「クロマティ」のクロの部分の色を変えて、ミニマルラップ。
会場にいる人間全員とハイタッチして、最後に「ジョン・ケージ〜!」といいながら、虚空にハイタッチしてライブ終了。

12月26日 池袋アトリエ・ベムスター
サンプラーからビート。
「ワケのわからない表現を見ることについて(無人島のリリック)」「マンガ本を読むときのスピリットについて」の前説。
「8千匹の馬、、その中に一匹、赤色の馬、、その馬の背中から羽が生えて、その羽からは馬が生えて、羽が生えて馬が生えて、やがてそれは天空に到達したのだけど、天空にはさらに上があるということを伝えられて、メタ天空に向かってまた馬と羽が生えて……」
壁に向かって歩いていき、頭をぶつけ、「アイター」と言いながらその場に転倒する演奏。(ライブの端々に何度もはさみこまれる)
「役立たずの脳がー!」といって、脳を投げ捨てる動きをする川染。投げ捨てられた脳と、左脳の一部分だけが残された川染喜弘が対話を繰り広げる。「(両手で、顔の前に脳の形をつくりだしながら)どうも、川染喜弘の脳です。これまでの作品はこの私、川染喜弘の脳がお送りいたしました。」
言語中枢をつかさどる左脳の一部分しか残されていない川染喜弘によるライブ。「あいうえお、かきくけこ、、だめだ、、50音を言うだけで精一杯だ、、」といって「あいうえお、かきくけこ、さしすせそ」を何度も歌い上げる。「右脳と左脳を存分に使えるクリエイティブな芸術家に対しては羨望のまなざししかない」
「(脳を投げ捨て、その脳と対話するなどという)アナーキーすぎる演奏をして本当にすいませんでした」といきなり謝罪する。
「これから川染喜弘は二つに分裂します、どうも、川染喜弘です、どうも、海染喜弘です」
横須賀の暴走族と高校の化学の先生のラップバトル。「お前のバイクのエンジンは永久機関ではない」ということをDisる化学の先生に対して、永久機関かどうかは関係なく、自分のエンジンはサウンドインスタレーションである、というような反論をする横須賀のワル。さらに、横須賀一のワルが登場し、ラップバトルはどんどん速度を増していく。でかいスピーカーを二つバイクの上に載せてそのまま走行するパフォーマンスアート、それを撮影した映画で映画祭の最優秀賞を受賞→そこで手に入れたお金&経験を生かして書いた小説が直木賞を受賞→稼いだお金で、、、と、どんどん受賞暦&賞金を積み重ねながら新しい作品を作り出していく姿をフリースタイルラップで表現する。「ヒップホップ×演劇…新しい!」
X列車の歌。「どんどん走るぞX列車〜、どこまでも進むぞ、みんなの夢と希望を載せて走り続ける列車〜♪……(両腕を交差しながらその場で飛び跳ねて)エックス!」
F列車がモグラに奪われてしまう→クビ→家に電話「え?トッくんが??すぐ帰るわ」→引き止める→本社と交渉→F列車を作った博士の家に謝罪に行く→「滋賀県」の郡山市→鈍行列車の歌(なんのとりえもない普通の鈍行列車ー、どんどん走るけど特筆すべきものは何もないのさー♪……エックス!)→博士「君はあのときの、、」「ええ、完成パーティーのときは酔っ払っちゃってすいませんでした笑」「久しぶりだなあ」→腹を殴る「だまされたな!お前の飲んだ毒薬にはコーヒーが混入されていたのだ!」→研究室に入ると360度F列車の設計図が、、
ランドマークタワーVS太陽。太陽「沈まぬ!」太陽が打ち上げた球がクラス会の打ち上げの上空に。「かんぱ〜い」「…なんだあれは??」「太陽の打ち上げた球だ!」「なんてこった、太陽の打ち上げた球のせいで、クラス会の打ち上げは台無しだよ!」「逃げろー!」といって、逃げ出す川染。床に滑り込みながら「しまった、摩擦で服が燃えそうだ!服が燃えたらバックグラフト現象も併発してしまう!!」そこに、アリがやってきて、レッドカーペットを床と服の間に滑り込ませる。レッドカーペットの滑らかさによって、すべるようにして床を滑走していく川染(というラップ)。「ありがとう、アリさん!きみたちのおかげでなんとか発火をまぬがれた!」アリの国へと案内される川染。アリの国の入り口に、金色に輝く彫刻。それを見ようとした川染が「まぶしい!目がやられた!」と叫びながら倒れこむ。「ウウム、人間の目には少々強すぎる光であったか、、これを使え!サングラスだ!」といって、アリがサングラスを投げる。「断る!」といって、サングラスを叩き落す動きをする川染。
どんどん重層化していくメタ演劇。「ここから先はみなさんのイマジネーションでお楽しみください。
スタッフロール、、演劇の登場人物を演じる川染が、キャラクター名を発話してポーズを決めながら、客席の目の前を最高の笑顔で何度も何度も通り過ぎていく。

12月28日 高円寺UFOクラブ
サンプラーからビート
「どうも、川染喜弘だ。今日は、このUFOクラブという、自分にとってもかなり縁の深い場所でのライブになる、、何を隠そう、このUFOクラブという場所は、自分が人生で二度目にライブをした場所だ、そのころ結成していた、伝説的なバンド、カニバリズムガンジーバンドの主催イベントだった、そのイベントのタイトルはむしむし惑星、、、そのとき来てくれた人たちが、今日も何人かこの会場に来てくれている、、今日、ここには、自分の音楽活動を通じて出会った大事な友人たちがたくさん集まってくれている。今日は、そんな仲間たちに、俺がある仕事先で出会ったやばい光景、そしてそこから導き出したリリックを、お届けしようと思う。俺はコンサートスタッフの仕事をしていた時期があったんだけど、そこでであったリリックだ。おれは、ある超有名イケメンミュージシャンの楽屋の前で、『ただ立っているだけ』という仕事をしていた。しばらく立ち尽くしていると、二人の男が、緊張した面持ちで楽屋の前にやってきた、、おれはなんだろう?と思いながら二人を見ていた。。少し遅れて、某超有名イケメンミュージシャンが楽屋口までやってきた。そのとき、さきほどの二人組はミュージシャンの前に行き、『今日の撮影よろしくおねがいします!』と挨拶をした。この二人は、この日このミュージシャンの写真をとるカメラマンと、そのアシスタントだったのだ。やがて撮影が始まった、、おれも、ポーズを作るイケメンミュージシャンのことを見ながら『うわー、やっぱ○○さんめっちゃかっこええわ、、』と見とれていたのだけど、ふと、カメラマンのほうを見ると、彼がファインダーを覗き込む顔が、なんというか、真剣そのものだったんだよね。そのことに俺はハッとするものがあって、それで、撮影が終わって、、カメラマンが『○○さん、おつかれさまでした!』と、それに対して『お疲れ様!』といって去っていくイケメンミュージシャン見たら、『またやっぱあの人かっこいいわ、、』ってなって、、それでまたカメラマンの方を見たら、めっちゃ真剣にファインダー覗いて、(前傾姿勢でカメラを構える動きをして)チャキシー!チャキシー!チャキシー!チャキシー!のコレもんだったから、その場にへたり込んじゃってて、、そしたら、そのカメラマンがこう言ったのよね、、『○○さん、めっちゃかっこよかったわ、、、』と、、お前もメチャメチャかっこええわ!!!カメラを覗き込んでるときの真剣そのもののお前の表情、イケメンミュージシャンにぜんぜん負けとらんわ!そう、俺がみんなに伝えたいのはここなんだ、、何だっていい、俺の場合は自分の芸術だけども、何かひとつ、真剣になれるものに対して、真剣でいること、一生懸命取り組めること、、それが何よりも素晴らしいということなんだ。それが仕事でもいい、仕事じゃなくってもいい、そのとき、自分がやっていることに真剣でいれば、何かに繋がる瞬間があるし、その姿はただそれだけで、さっきのカメラマンみたいにめちゃめちゃかっこいいから!これが俺の伝えたかったリリックのうちのひとつだ。もうひとつ、、、俺は20代の後半まで、、もっと言うと、30歳になる直前くらいまで、かなりグダグダで、精神的な迷路に迷い込んでいた。もう行く先々が行き止まりで、頭をぶつけながら、もうだめだ、、と何度もくじけそうになっていた。でも、こうして、俺ももう33歳になるんだけど、この年になると、20代のころの自分が迷い込んでいた精神的迷路が、俯瞰できるようになるんだよね。タイムマシンに乗って、20代の自分に伝えてやりたい、、『そっちは行き止まりですよ!こっちが近道ですよ!宝箱そっちじゃないですよ!』と声をかけてやりたい。。。だけど、20代、精神的迷路で迷いまくっていたあの時期はまったく無駄じゃなかった!そのとき迷路の果てで手に入れた宝箱はいまの活動に活かされている。そして、20代に精神的迷路に迷い込んだ人間だからこそ、年下の、いままさに迷路に迷い込んでいる若い友人たちの悩みを聞くことができるし、彼らが精神的迷路に押しつぶされないように助言することもできる。だから、いまは迷っていてもいい、何一つ先が見えないかもしれない、でも、いつか俯瞰できる日がくるぞー!宝箱あるぞー!その日がくるまでがんばって、真剣に生きてほしい。なるべく、これ以上、この場所にいる人間が、少なくならないように!またみんなで集まってくだらない話していこうぜー!オッケー、いこう」
ガムテープで境界線をつくり、その境界線を足でまたぎながら「○○県!○○県!ランランランラン、県境!」と歌うコンポジション。
客全員とハイタッチする、そのサウンドと手のひらの痛みを個々の体に記憶させる作品。途中、旧知の仲と思われる客と、頬を張り合う場面も。「お前らしいぞ!本気でこい!(頬を張り合う)オッケー、そのサウンド忘れんなよ!」
四つ打ちを流しながら、四文字熟語「一期一会」を発話する(客にも要求する)ミニマル。
「会場に花を植える」コンポジション。その植えられた花の花言葉を家で各自調べることによって、川染喜弘がライブの最後にこめたメッセージ性が伝わる、という作品。今回の花は『ガーベラ』と『トルコキキョウ』。ガーベラの花言葉は、「希望」「常に前進」「辛抱強さ」「神秘」、トルコキキョウの花言葉は、「優美」「希望」「よい語らい」「清々しい美しさ」
2010年(それ以前も含む)に川染喜弘が演奏してきたさまざまな作品が随所に散りばめられているライブだった。

12月28日 青山cay
会場の音漏れがひどく記憶がやや曖昧。久々の長時間ライブ(3時間くらいだったか)
サンプラーからビート。『無人島』と『漫画本のスピリット』のリリック。
サンプラーのリボンスクラッチ、ディストーションのかかったマイクによる、ハーシュノイズの演奏。
「パンを食う」と楽譜に書かれている作品。川染喜弘がパンを食べる動きをしながら「モグモグ」、水を飲む動きをして「ゴキュゴキュ」と発話。
人力ドップラー効果の演奏。会場の後方からステージに向かってパトカーのサイレンの音をボイスパフォーマンスしながら歩き、ドップラー効果を出そうとする。消防車の音につられて吠えてしまう(ボイスパフォーマンスしてしまう)犬のカバー。
辞書にかかれた「芸術」「音楽」という単語の意味を朗読していく。
「川染喜弘がイヤホンで聞いているのは何の楽器でしょかクイズ」テープレコーダーに入っている音をイヤホンで聞いた川染喜弘が、その音を口で再現し、その声を聞いて何の楽器の音なのかをあてる、というクイズ。正解者には10円、とのことだったが、あまりの難易度の高さに正解者はゼロ。「本当はあと十問くらい用意してきたけど、『空気を読む』という回路導入してるから、あと二問くらいにしとくわ」、オカリナ、ファゴット、オーボエなど、ややマイナーな楽器が多かった。
「ピアノを弾く。なぜピアノを弾くのか。」と発話しながら、シーケンサーの鍵盤を弾く。
顔の前にミキサーを持ってきて、ミキサーを仮面にしたような状態でラップ。
音が出なくなったサンプラーをもたつきながら何とか音を出そうとする。四苦八苦の末、電源が入り、音が出るようになったサンプラーに愛情たっぷりに頬をすりよせ、その頬で演奏しながら激しいノイズを出す。
靴を手にはめて、それをパーカッションにした演奏。
手裏剣を投げる動きと、忍術の動き(両手で印を組んで、ドロンと言いながらその場にしゃがみこんで姿を消す)のミニマル。
マイク、サンプラーなどの音が軒並みでなくなり、隣のメインステージから流れ来る爆音で四つ打ちの音の中で、肉声で演劇的なパフォーマンスを展開する。「ライナーノーツ」を書こうとしている男の物語。ライナーノーツを書く修行をするために、山をのぼり、ライナーノーツの仙人に出会う、、というようなストーリーの中で、熊やコウモリとの激しい格闘シーン、相撲でライナーノーツを書くライター、自分の全身にライナーノーツを書く男との出会いなどが、身体ひとつ、肉声で表現されていく。途中「いや、この作品はもうやめよう」といって何度も中断し、すぐに再開するを繰り返す。右脳と左脳をその場に投げ捨てる動きをして、投げ捨てられた脳になって、「ボヨンボヨンボヨンボヨーン」といいながら、体を丸めて飛び跳ねる動きをする。
イベントの主催だった「原宿bonobo」にちなんで、「ボノボコール」を四回&ジャンプでライブ終了。

12月31日 阿佐ヶ谷ロフト
十分ほどの短いパフォーマンス。年越しライブ。
サンプラーのスクラッチとマイクエフェクトによるハーシュノイズ演奏。
会場内の客とハイタッチする作品。
年明けと同時に四つ打ち、四つ打ちに合わせて「一期一会!」コール。2011年への励ましでライブ終了。



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