1月11日 新大久保Earthdom
テープからノイズ交じりのビート。『迷い込んだ無人島でワケのわからない表現にいきなり立ち会う』と『幼少期に読んだ漫画本の読み方、そこから得たスピリット』の前説。サンプラーのエフェクト、リボンスクラッチを利用したハーシュノイズの演奏と、それにあわせたボイスパフォーマンス。
『チーズアーモンドのお菓子』を使ったフィルタリングラップ。口の中に菓子をいれ、それを噛み砕きながらラップすることによって、ボイスにフィルタリングがかかり、リリックの音色が変化する。
会場内にいたB-BOYが、川染喜弘のライブにしびれをきらし、ステージに乱入、ラップバトルをしかける。正統なヒップホップらしい「お前のやってることを俺はぜんぜん良いとも悪いとも思わねえ」というDisに対して、「俺はお前が好きだ!お前のすべてを受け入れる!お前と出会えたこの時間に感謝!」と無条件の受容で返していく川染喜弘。また、「お前のヒップホップはわけがわからねえ、ビートも滅茶苦茶だし、リリックもぜんぜんなってねえ」というDisに対しては、「俺のヒップホップは、オーネットコールマンのフリージャズを通過したことをルーツにして生み出されたきわめてフリーキーで前衛的なヒップホップ、いわば、おれはB-BOYではなく、F-BOYといったところか?お前はオーネットコールマンのサックスをフィードバックさせたことはあるか?俺はあるぜ、そしてそれをビートにラップをしたこともある、お前はB-BOYとF-BOYの間に何BOYがいるか知っているか?おれは知っているぜ、まずはC-BOYが登場する。このC-BOYはC言語を利用した独自のヒップホップを追及している、次は、、、」といって、どんどんフリースタイルラップを展開していき、それを受けてB-BOYの不満は加速していく。最終的に、川染喜弘から無理やりマイクを奪ったB-BOYが「おれがラップをしているときは音を止めろ、お前の態度はムカつく、礼儀がなっていない、おれをなめているのか」という結末になり、川染による「いや、だってこれ俺のライブの時間だから、でも俺はお前を受け入れるよ!」というところで対決が終わる。
ピックアップで会場をスクラッチする演奏、クラリネットの特殊奏法、カズーを口にくわえた演奏、「…と、パフォーマーは演奏をとめるとアンプ方面へ移動した、、」と自分の行動をト書きにして逐一発話していく演奏、そのト書きを発話するナレーションとパフォーマーによる口論を展開する演奏、それらすべてを高速でコラージュしていく人力コラージュミュージックの演奏へと収束していく。
本を手で押しつぶす音をピックアップで拾う演奏をしているときに、会場後方からものすごい勢いで、川染喜弘に向かってイスが投げられる。川染の演奏の手が止まり「なに?山塚EYEさん来た?おーい!山塚さーん!」と対応するも、さすがに動揺を隠せない様子だった。会場からの野次。
ラストは、陽気な音楽にあわせてリンボーダンスをする演奏にてライブ終了。さまざまな要因が重なって、やや後味の悪い演奏となった。

1月12日 高円寺円盤
サンプラーからビート。『迷い込んだ無人島でワケのわからない表現にいきなり立ち会う』と『幼少期に読んだ漫画本の読み方、そこから得たスピリット』の前説。ディレイのかかったマイクで、リリックの内容が今ひとつ聞き取れないラップを展開しながら、ハーシュノイズを繰り出す演奏。ディストーション、フランジャー、ディレイのかかった三つのマイクを駆使しながら、その場で声の音色を変えていくボイスパフォーマンス。スピーカーをフィードバックさせて、その音をマイクで拾いながらラップ。木をスクラッチ。
テープレコーダーにイヤホンを装着し、そのイヤホンをアルミホイルでくるみ、アルミホイルが音によって振動する音をマイクで拾おうとするローワーケースサウンドの演奏。数分間ほど、ほとんど聞き取れない音が鳴る時間が続く。
段ボールにピックアップを装着し、サインペンで激しく線を引く音を拾う。曲線を描くときは「ぶ〜ん」、とがった折れ線を引くときは、折れ曲がる瞬間に「キ!キ!キ!」と発話しながら、段ボールを黒く塗りつぶしていく。
用意していた楽器が見つからず、シールドがこんがらがり、サンプラーなどからも音が出なくなる。かばんをあさったり、シールドを抜いたりしながら「人間でーすーかー?人間でーすーよー!男でーすーかー?男でーすーよー!音楽やってますかー?音楽やってますよー!てんぱってますかー?いや、ぜんぜーん!楽しいですかー?楽しいですよー!盛り上がってますかー?盛り上がってますよー!見つかりましたかー?見つかりませんよー!音でましたかー?でませんよー!てんぱってますかー?いやぜんぜーん!」という歌をうたう。
電子楽器をアコースティック楽器として演奏する。ピックアップをシーケンサーやサンプラーに接着させ、はげしく鍵盤やボタンを操作する音をピックアップが増幅する。
水の入ったペットボトルを口にくわえた川染の音頭にあわせて「一気!一気!」と客が煽る観客参加型作品。「一気!一気!一気!一気!一気!一気!一気!一気!」と八回の一気のあと、ペットボトルから口を離した川染が「ごちそうさまがきこえない!ごちそうさまがきこえない!」と続け、再び一気に…の繰り返し。「ごちそうさまがきこえない!」が三回ほど繰り返されたあとは、一気のあとに「パーリラパリラパーリラ、フワ!フワ!」を客に要求する。
テープレコーダーにジャックを抜き差ししながら「ウス!アス!メス!オス!」と発話する演奏。「初演になります、それでは次の作品を、、傾向が似た作品ですが、、」といって、再びジャックを抜き差しして顔をしかめながら「ウス!アス!メス!オス!」と何度も発話し、「ありがとうございました、ちなみに先ほどの一気飲みのコンポジションも初演でして、楽譜には『一気』と書かれております。作品名は、その名も『一気』でした。ありがとうございました」
ラストも『一気』のミニマルでライブ終了。



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