3月3日 千駄ヶ谷Loop-line
ラドコモンズのリアルタイム批評とのセッション。
「迷い込んだ無人島の奥でワケのわからない集団に出会い、ワケのわからない音楽を奏でられる、最初はワケがわからなかったが、聴いているうちに段々と何か感じるところがあった、心打たれる何かがあった、そんな風に考えていただくことが、自分の芸術の一つのゴールである」という『無人島』の前説、「幼少期に、菓子を食べながら寝転がって読んだくだらない漫画本、そのくだらない漫画本を読みながら、幼少期の自分は笑いながら、しかし、そのくだらないユーモアの奥にある何かに心を打たれて涙し、大人になった今でもその漫画本から得た何かが生きる支えになっている、生きる指針になっている、自分がライブにユーモアの要素を多く取り入れているのは、この漫画本のスピリットだ」という『漫画本』の前説。
「好きなお寿司のネタを五個あげろ」とアジテーションしながら、お寿司のネタを発話していく演奏。右手を高く掲げてステージをゆらゆらと徘徊しながらハマチ、イカ、いくら、シーチキン、納豆巻き、という五つの寿司の名前を発話し、「好きなお寿司のネタを五個あげろ!」と再び出発点に戻るミニマル。お寿司のネタを言うたびに、ピックアップを装着した鉄鋼をはじきディレイで増幅した「ジャキーン!」という音を出す。
重箱の隅をつつく演奏。ドラムスティックで重箱の隅をつつきながらその音をピックアップで拾う。対戦型のバスケのおもちゃにピックアップをつけてその音を拾う(ライブの最後まで、一度もボールがゴールに入ることがなかった→だが、七転び八起きだ)
「サラリーマンは夏場でもスーツを着ることを義務付けられているが、あれはやめていこう」「梨は美味しいが梨には栄養がない、梨に栄養ナシ!」「野菜たっぷりカレーが出たときに大喜びしたけども、成分表を見たら添加物がメチャクチャ入ってる、これってどっちを信じたらいいわけ?」「花粉症の人の目玉をスプーンでくりぬいて丸洗いして返してあげたい」といった主張と、音韻でどんどん繋がっていきどんどん言葉の意味が剥奪されていくフリースタイルラップ。 リアルタイム批評に「古語で」「宇宙語で」と指示を与えていく川染。また、ラドコモンズのリアルタイム批評を楽譜(リリック)としてとらえ、スクリーンに投影された大量の言葉をその場でラップ、歌唱していくパフォーマンス。スクリーンに投影された「カイ」の変換候補をみながらの高速ラップ。それに対して、ラドコモンズが「貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝貝」とリアルタイム具体詩を作り出していく。
幼少期の記憶ラップ。テープからどこかノスタルジーを誘うような音響、サンプラーはチーン!という音を反復し、劇伴としての効果をより強めていく。「淡路島モンキーセンターで父親がリュックサックをモンキーに奪われた」「香川の地元にある美容室『原宿』、初めて言った美容室は『桃太郎』、美容室『マスター』の店長の髪の毛を切るテクニックはすごい(はさみの音をボイスパフォーマンス)、俺の髪の毛をカット&ペーストしながら、いわば、30年代のジャズのような、いや、まるでウェス・モンゴメリーのような高い技術のカッティングだ」「テレビに有名人がうつると『よっちゃん、パワーもらいよ』と言うおかん」「母親と父親の車は十万円、家族でスキー行ったとき、かたくなにチェーンつけずに雪道を走っていた父親、するすると雪山を登っていく車!大草原と大海原、大いなる木々に囲まれて、その中から覗き込めば、イカ、タコ、ハマチ、カンパチ、かわいらしい魚たちに包み込まれるだろう、太陽の埃、目の前から迫ってくるのは世にも恐ろしい交通渋滞!」「アイススケートの刃って危ないと思わないか?スケートでツベルクリン注射が滑りながらすってんころりん俺が転がった先に鋭利なスケートの刃、切り離される俺のfinger、5finger、4finger、3finger、2finger、1finger、cutされる俺のfinger」「こんな俺でもヨットに乗ったことがある。子供のころ友達がヨットに乗せてくれたのだ。だが、二度とヨットに乗ることはないだろう。」「こんな俺でもバンジージャンプをしたことはある」
エンカドーレプレゼーンツ!コールにてライブ終了。

3月9日 高円寺円盤
「迷い込んだ無人島の奥でワケのわからない集団に出会い、ワケのわからない音楽を奏でられる、最初はワケがわからなかったが、聴いているうちに段々と何か感じるところがあった、心打たれる何かがあった、そんな風に考えていただくことが、自分の芸術の一つのゴールである」という『無人島』の前説、「幼少期に、菓子を食べながら寝転がって読んだくだらない漫画本、そのくだらない漫画本を読みながら、幼少期の自分は笑いながら、しかし、そのくだらないユーモアの奥にある何かに心を打たれて涙し、大人になった今でもその漫画本から得た何かが生きる支えになっている、生きる指針になっている、自分がライブにユーモアの要素を多く取り入れているのは、この漫画本のスピリットだ」という『漫画本』の前説、くわえて、「いまここで、自分たちは奇跡的に立ち会っている、この奇跡的な出会いに乾杯!一分一秒、全力で楽しんでハッピーでいこう!俺のライブの底に流れているのは、ラブ、ピース、そして、ハピネス!」、そして、「これまでアイデアやコンセプトを出しまくってきて演奏に演奏しつくしてきた14年だったが、キャリア14年目にしてもうやることがなくなってしまった!」という衝撃的な前説がはじめてラップされる。「やることがなくなって、限りなくシンプルな演奏にきてるのよ!14年活動してきて、追求に追求を重ねて、一週回った結果、いま、この瞬間から新たなフェイズに突入しようとしているわけ!もうやりたいこと何もないぞ!オッケー!いくぞー!ここから新しい川染喜弘のはじまりじゃ!ネクストステージ!ニューワールド!何もやることがない!」
駄洒落→笑いのサンプラー音の演奏。『長考』を活かした「間」と「身体(表情)」のパフォーマンス。猫が寝込んだ、ジュースをこぼして服でふく、雨が降るなか飴なめるといったスタンダードな駄洒落。「これは小さいよね。だが、そう、これも自分が追求に追求を重ねてきた芸術の、表現の新しい概念、、宇宙を見るためには何も壮大な何かをする必要はないんだ、双眼鏡から覗く壮大な宇宙ももちろん素晴らしいが、だが、俺が提唱したいのは、顕微鏡、そう、顕微鏡を覗いてみろ、顕微鏡を覗いてみろ、顕微鏡の中を覗いてみれば、そこには小さすぎるものが持つ宇宙がまた広がっているのだ、俺が提唱する芸術の新しい概念、それは、この顕微鏡から覗く小さすぎるものの中に存在する宇宙、、(マイクを宙に投げて一度キャッチし、テーブルの上にマイクを置き、胸をそりガッツポーズをとりながら)マイクロスコープアートなのだーッ!!!(長考して)時計のことはほっとけい(笑い声)、、これがマイクロスコープアートなのだーっ!」
携帯電話で電話をかけながら、かけた先の携帯電話の音をマイクで拾ってラップする。花粉症を利用したフィルタリング→マスクをつけてラップ。
「俺の名前は川染、川染という名前のアーティストが『川で染物をする』パフォーマンスをしたとしよう、そのパフォーマンスは他の追随を許さない。何が言いたいか、そう、たとえば、山田という名前のアーティストであれば、山で田んぼを耕すパフォーマンスで他の追随を許さず、全世界の山田の中でお前が世界一の山田に、山田のトップに君臨するのだ!」
新しいサンプラーからビート。まだ使い慣れていないためか、ループボタンがどこなのかもわからないという状態での使用により、一つのシーケンスが終わるたびに、何度も川染が再生ボタンを押す。
「コンビニもない、インターネットもない、当時は深夜放送もないからテレビをつけてもホワイトノイズ。両親の仲が悪く、いわゆる自分は母子家庭、眠れない夜、コンビニもない、インターネットもない、寂しい夜に、母親はどこかへ出かけている、コンビニもない、インターネットもない、そんなある日、テレビをつけたら24時間テレビが放送されていた!こんな特別な一日があった!インターネットもない、コンビニもない、テレビをつければホワイトノイズの日々に、いきなり現れた24時間テレビ!あのときの嬉しさを俺は忘れない」
「香川に住むお母さんに会えるのは三年に一回、高速バスに乗って片道一万二千円、往復で二万四千円、この費用を捻出するまでにどのくらいの労働が必要か?その働いたお金で三年に一回の帰省、そのたびに、浦島太郎化している母親を見ることになる、レッドランプが点灯している、いつ東京にいられなくなるかわからない、もうこんな思いをして浦島太郎化していく母親を見るのは辛いことだ、、レッドランプ、、そんなレッドランプが点灯している俺の、このバドミントンのラケットをたたくサウンドをどうか忘れないで帰ってほしい。バドミントンにピックアップをつけると音がスネアドラムに似ている、そして、スティックでたたいたときの跳ね返りもまるでスネアドラムのようだと気づいたときの一喜一憂、その俺の喜びと、3年に一度の帰省、浦島太郎化するおかあちゃんとの再会、レッドランプ点灯しまくってる俺、こんな音楽があるということを、こんな人間がいたということをどうか忘れずに帰ってほしい」
「ポーレポーレポーレポーレポーレポーレ東中野!ポーレポーレポーレポーレポーレポーレ東中野!」といいながら、中腰になって客を煽る。
「物々交換」のコンポジション。「ぶつぶつこうかん、ぶつ、こう、かーんかんかん」と、『物々交換』という単語に含まれている音韻を利用したヒューマンビートボックス。そのヒューマンビートボックスの隙間で、米、ひえ、あわ、麦、稲、スニーカー、概念、インテリジェンス、土地、家、風、といった様々なものが交換されていく。稲とインテリジェンス、スニーカーと土地、米と風といった組み合わせで物々交換がなされる。
サンプラーから歓声の音。歓声にあわせて、川染喜弘が大盛り上がりし、円盤後方のスクリーンがゆっくりと上へとのぼっていく様子を見て、ガッツポーズをとりながら延々咆哮しつづける。この演奏が何度も反復される。
会場内から建物を持ち上げ、会場を動かそうと尽力するコンポジション
サンプラーからドラムンベースのシークエンスが流れる。会場を暗転させ、サンプラーの光を客席に向け、「これは最高に飛べるオップアート、サイケデリア感じてトリップしちゃってほしい、めっちゃオプってるわ!」と主張。
「ヘリコプターの羽根の部分危ないと思わないか?かわし、よけて、かわし、よけて、あれ、羽根の部分に少しでも触れたらヤバいっしょ、ヘリコプター」というリリックを、あくびによってラップの音響を変える演奏と組み合わせて繰り出す。
「ウララララー!」とジェロニモのアパッチの雄叫びをあげながら、サンプラーやアンプを次から次へと裏面へとひっくり返していく川染喜弘。サンプラーがひっくり返されるときにチャンスオペレーションでボタンが押され、予期せぬサンプル音が会場内に鳴り響く。
ライブ会場に花を植えるコンポジション。今回は「ほうれん草」、ほうれん草コールを四回やってライブ終了。ほうれん草の花言葉は「活力」「健康」など。



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