8月10日 高円寺円盤
「ちょっと着替えてきます」といってトイレに消えた川染が、紫色のVネックに宝石がちりばめられたデザインのチョッキ、頭に灰色のビニール袋で作ったバンダナ、伸縮のよさそうなズボンという格好で登場。「これは全部拾ってきた服」チャンスオペレーションファッションによるトータルコーディネート。
サンプラーからアブストラクト寄りなビート。普通のマイクとエコーがかかったマイクを日本使いながらのラップ。「どうも、川染喜弘だ。これから巻き起こる、約一時間のライブ、このいでたちを見てもらってももうわかるように、かなり、ワケのわからない、クエスチョンマークだらけの表現に、感じられるかもしれない。だが、俺がこのライブに、ありったけのラブとピースを注ぎ込んでいるということを、どうか忘れないでほしい」
『つる姫じゃ〜』をさかさまにして読みながらラップ。「つる姫をさかさまにして読むのがかなりサイケだと思ってやっちゃってるところがあるけど、お客様の感性とはズレがあるかもしれない。三国志を逆から全巻読むマインドが面白いと思っているけど、それが皆さんの感性と齟齬を起こしている可能性は、高い」
「高校野球は金属バットを使うけど、あれは危ないからやめたほうがいい。硬球も危ないからやめたほうがいい。なぜ高校になると硬球になるんだ、危ない、軟球でもかなり怖かったのに。デッドボール、痛い、苦しい、怖い、デッドボールくらって一塁にしか進めないというのはおかしい、デッドボールを食らったら四点くらいあげてもいい、デッドボールがつらくて野球をやめた奴だっているだろう、デッドボールを食らったら四点あげたい」
「カン・フー!」と延々叫び続けるボイスパフォーマンス。「この曲は、小学校時代の友人、フミアキが考えてくれた曲だ。カン・フー!これがどういうことかといいますと、『(手を広げて大きく口と体を広げながら)カン』のときは体が一番大きく開く、そして、『(体を丸めて縮めながらマイクに口を近づけて)フー!』のときは最も小さくなる、これが面白いということで、フミアキと俺が、体育の授業中に体育館の後ろで40分間ずっと『カンフー!カンフー!』といい続けて笑っていたわけだけど、それから着想を得た作品です。カン・フー!」開放と収縮を繰り返す川染。
korgのサンプラーのデフォルト音源をビートにしてラップする。「円山町でレコード買いあさり単車乗り回し横浜のMCキングはおれ、ストリートを支配している」という定型リリック。「『たち』が出てくるとすぐに立花ハジメで韻を踏んでしまう」「すぐにバッキンガム宮殿の名前を出してしまう」といって、自身のラップを「手癖でラップしまっている」と評しながら手癖フリースタイルを展開する。サンプラーをランダムに操作して偶然、一瞬だけ出てきたビートに「今のヤバかった!」と川染。しかし、そのビートを探し出すことができない。「まあ、今のこのビートもヤバいから、これでいこう、、いや、ここで妥協せずに、さっきのビート探そうか!さっきのビート出てきたらみんなテンションあげていこうぜー!いくぞー!」といって、ビートを探し続ける演奏。
オウムのカバー。客に教えられた言葉を、羽ばたきながら発話するボイスパフォーマンス。オウムとして覚えた単語を、フリースタイルラップの中に取り込んでいく(「そうめん食べたい」「高尾山」ともうひとつ何かあったけど失念)。マイクを探してシールドをたぐっていったら、オウムに言葉を教えるお客さんが持っているマイクだった、というハプニングも。
子供のころに食べた「まーちゃん」というラーメン屋の看板の文字が、「んゃちーま」という表記だったために「んやちーま」で覚えてしまっていた、というラップ。「実家に帰省したときに、『んやちーま』のラーメン食べにいこうやとおっかんにいったら、そんなラーメン屋はないと、おかしいと思いながらおっかんの運転する車に乗ってたら、国道沿いに、『んやちーま』の看板があったから、『あそこだよ!』といったら、『ああ、まーちゃんのこと?』といわれて初めて名前を知ってかなり恥ずかしい」「うちのおばあちゃんは四国のお遍路の一箇所を守っていた」「おっかんが、毛利さんの講演会にチケットがないのにもぐりこんだ」などの、母親のエピソードラップ。
カン・フー、オウム、手癖フリースタイル、デッドボール、母親のエピソードといったライブ中出てきたラップが、めちゃくちゃにコラージュされる総合的なラップが展開されるなか、時間がきてライブ終了。



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