11月9日 高円寺円盤
「カポエラがカポエィラだということを」というリリックからライブ開始。「マーシャルアーツがM-アーツ」「恋人たちのペイヴメントが7本、いや、8本と伸びていく」「カポエィラが8人、頭を軸にして(肩から手首までをギューっと捻りあげるような動きをしながら)ツマミをまわすように回転し、上昇する円運動、その円運動に色相環が生まれる」「その中心をスポイトで吸い取りながら」「ジオデジック」「コモ曲線を背中に入れ墨にしている」「シャッタースピードを早くしたアズテックカメラでもって」「焼き鳥とやきとんの違いを、ペイヴメントを歩く恋人たちがLとRで優しく教えてくれる」「イソギンチャクを足に装着して、子供の履いている靴がキュピキュピと音を出すサウンドパフォーマンス」といったリリック、それぞれの要素が組み合わさったり離れたりしながら、ライブ全体の中にちりばめられ、反復され、ライブ経過時間とともに言葉がどんどん強化されていくようなパフォーマンス。
「ひいおじいちゃん」の「ひい」を何度も発話したあとに、「おじいちゃん」の部分にエコーをかけるボイスパフォーマンス。「ひいひいひいひいひいひい、おじいちゃん!ひいひいひいひい、おじいちゃん!ひい、おじいちゃん!」と「ひい」の回数によって不連続なリズムが生まれる。
簡単な英語をロボットに朗読させた音をビートにする。「My name is yosihiro kawasome」「Good morning」「afternoon」「Spaghetti」「Ramen(ラーメン)」など。「I like coke」のときは、ビートにあわせて「アイライクコーラ!アイライクコーラ!」と発話するなどする。
数字歌舞伎。「663456、74」などと、ランダムに数字を発話しながら、歌舞伎の動き、声の出し方をして、それを執拗に繰り返す、という演奏。この演奏も、ラップとラップの隙間に挿入される。
携帯電話に入っている音を利用した演奏。

11月26日 新宿ゴールデンエッグ
サンプラー、キーボード、シーケンサーなどを使ったビート。25分くらい、音のみの演奏。水風船にコンタクトマイクを装着した演奏(水風船がすぐに破れてしまう)など。テープレコーダーをシャワーヘッドのように扱って顔に水を浴びせるように動かしながら音を出す。「これ、書き下ろしてきた新曲で、『浴びるように音を聴く』という作品なんだけど」といってテープレコーダーの音を浴びる川染。カセットテープがテレコの中ですぐに絡まり、演奏はすぐに中断される。チョロQの車輪を巻く音を拾いステージ上を走らせる。
「うなぎってあると思うんだけど、俺、うなぎ自体はぜんぜん好きじゃないのだけど、うな重のご飯に乗っかってるタレ、あれがメチャウマであればっかり食べていたいと思うぜ、うなぎはまったく美味しくないとおもうんだけど」というリリックを皮切りに、言葉を使った演奏行為がゆっくりと増えてエスカレートしていく。「お金がなくて食べられないので、食べ物の名前を口から出して、それに言及することでその食欲を少しでも満たしていく」というようなテーマでリリックが紡ぎだされていたように思う。「フライドチキンってあると思うんだけど、あれ、開発してくれた人ありがとー!あんなに美味しいものを作ってくれてありがとー!」「ドーナツってあると思うんだけれど、あれめちゃくちゃ美味いっしょ!フレンチクルーラーとか美味しいと思うんだけど、そう、中学の学園祭のときに、みんなドーナツ食べたと思うんだけど、ソノシートのことドーナツ盤って呼んだりするけれど、そう、フレンチクルーラーを噛み砕き、その糖分は俺たちを虫歯へと誘うであろう」
「60年代初頭、俺たち円山町でレコード買いあさり、7億人のカッティングマシーンを持った連中がソノシートにコンテンポラリー・ポエット刻み込みながら、高円寺の喫茶プログレに入り浸って、大量の先鋭的な音楽が収録されたドーナツ盤に取り囲まれて、プログレを聞きじゃくりながら、ナンコツのから揚げをコリコリコリコリ、コリアンダーしながら、そのコリコリした食感を楽しみながら、ナタデココとナンコツのから揚げを同時に口に含んでそのコリコリした食感を味わいながら、コリアンダー、高円寺の喫茶プログレで先進的なミュージックに耳を傾けて、俺たち、レコード、ドーナツ盤買いあさり、カッティングマシーンでコンテンポラリーポエット刻みまくり、クリスマスケーキってあると思うんだけど、あれかなりトリップすると思うんだけど、あのクリスマスケーキの上にのっている家を、噛み砕くと、中から出てくるのは、空洞!サンタの家をパリポリパリポリ噛み砕き、ナンコツのから揚げ、ナタデココのコリコリした食感を同時に味わいながら、コンクリートポエットを6億人のカッティングマシーンを持った人々がカッティングすることでドーナツ盤ことソノシートが製作され、俺たちは喫茶プログレで…」とどんどんリリックが繋がれていく。「ショコラ、ティラミス、ナタデココのシャレオツ三姉妹」「ポテチは塩分が高いと思うんだけど、それは表面に付着したソルト部分、Soul jaさんがソルティードックを飲む」「岩をムシャムシャ食べるのがロックだと思ってるやつは大体ろくでなし」「レアチーズケーキってあれかなりトリップできると思うんだけど」「苺のショートケーキってかなりトリップできると思うんだけど」「おばあちゃんに、野球帽を深くかぶるなと執拗にいわれていた」などのリリックも。
サンプラー機能のついた玩具に、声を吹き込み、その音をコンタクトマイクでアンプリファイしようとする川染。が、サンプラー玩具に音が収録されていなかった。「OK!むしろ、これがとれてたら大問題だわ!録れてなくて、いいんだよ!芸術の概念を全部変えていきますよ!サンプラーがとれてなかった、これで悲しんではいけない、喜びを感じるくらいでいい、というか、この場合、録れてない方が、正しいわ!」
ビニール袋をガサゴソをあさるが、「特になんもないわ!何もせんわ!」といってビニール袋を投げ捨てる。投げた先にタンバリンがあり、チャンスオペレーション的に小さな音が鳴る。
「渋谷駅のワッフル屋、あると思うんだけど、あれ、渋谷のどこにいても、甘い匂いが漂ってくる、嗅覚を刺激してくる、あれ、俺、現代アートだと思うんすわー!渋谷駅のワッフル屋、ありがとー!!俺の鼻をつんざいていく、渋谷駅!ワッフルの甘いスメルスライクティーンスピリット!渋谷駅のワッフル屋、ありがとー!渋谷駅に行くたびに、俺という人間がいたことを思い出してくれー!渋谷駅のワッフル屋ありがとー!お前は現代アートじゃー!」といって、何度も何度も渋谷駅のワッフル屋に感謝を伝える。「午後を考える会!噛み砕いたドーナツ盤が五臓六腑に染み渡り、ストマックをグイグイ押し上げてくる!ナンコツのから揚げをコリコリやりながら、五臓六腑がストマックをぐいぐい押し上げて、午後を、考える、会!」というようなリリックを何度か反復して、ワッフル屋への感謝も挟み込みながら、ライブ終了。



戻る inserted by FC2 system