3月3日 高円寺ASOKO
「aso講クロージングイベント in 川染喜弘!」という、「in」の位置が間違っているような叫びからライブ開始(しかし、ライブが始まってみれば、川染自身が宣言したように、川染喜弘の身体の中にどんどん乗り込んで潜り込んで運ばれていくような、確かに「in 川染喜弘」なライブであった)
サンプラー、カオスパッド、カオシレーターなどを使った電子音による即興演奏が中心(ライブの半分以上を占める)のライブ。電子音即興の合間合間に、リリックが挟み込まれる。機材に関するリリック。「この機材をここまで持ってきた、というだけで評価してほしい。開発した人、本当にすごいと思う。完全にメディアアートでしょ。あと、もうキャリアも15年目に突入して、もう、欲しかった機材を手に入れたいのよ、そして、手に入れて、持ってきているのだから、それを評価してほしい。これは、もう、インスタレーションでしょう。自分でもそろえすぎた!」機材を愛するあまりに、機材にキスしたり、舌で舐めるなどして、その愛情表現によって演奏する。
「書き下ろしてきた新曲やります、曲名は、、『パ!』」といって「バイトバイトバイトバイト、パソコン用語でいうところの、バイト、バイトバイト、バイトして、ライブ、、バイトバイトバイト、パソコン用語でいうところのバイト」という反復をボイスパフォーマンス。
「じゃあ、大声コンテストやりまーす。(奇声をあげる川染、客にマイクを向けて)はい、何ヘルツ〜?何ヘクトパスカルー?」
サンプラーに入っている四つ打ちだとか、わかりやすく「踊れる」ビートが入っているトラックを流しながら「これは、わかりやすすぎる、ダメだ、大衆すぎる、大衆、大衆、、なんなんじゃ大衆!」とすぐとめて、「asokoというこんな先鋭的なカルチャースペースにきて、四つ打ち聴きたいということはないでしょう、一つ打ちでいいわ、(サンプラーに入っているアブストラクトなビートを流して)これでいいわ、、でも、わかりにくすぎるんかなあ、俺は、美しいと思ってやってますよ!大衆なんなんじゃコラ!わかりやすさ求めすぎなんじゃ!大体、エンターテイナーが多すぎる。俺はな、表現が見たいんだよ、わー!(と叫びながら、倒れ、頭を抱え、再び戻り)、俺は、いっそ、あなた方に嫌われたい!そんな、剥き出しの表現をお届けしている!大衆なんなんじゃ、コラ、(四つ打ちを流して)ダメだ、わかりやすすぎる、(アブストラクトなビートを流し)これはいい、最高、これでいいじゃないか……レインボー2000とか、、、行くなよ!」「このビートは70点くらいかなー」と言ったあと、自分の頬を激しく打ちすえ、「あほか!150点じゃ!100点満点で150点じゃ!自分で70点かなー?なんて思ってるものを、お客様に聞かせられるか、150点のビートじゃ!」
印象的なリリック。「バイト敬語使ってくのやめようぜ!『マジっスか?』とか、、敬ってんのかそうじゃないのかわからんのじゃ!『本当ですか?』ってちゃんと言っていこうぜ!」「実家の犬は、パトカーが通ると、そのサイレンの音にあわせて鳴いていた、、かわいかった!」「皆の衆!いいか、お前がインディアンだとしたら、俺は海賊だ!ガハハハハ、俺は海賊だー!」「喫茶プログレってあると思うんだけど、プログレのレコード屋の店長とか、聞いてる音楽はプログレなのに、普通のやつが多いぜ!見た目も中身もプログレになっていこうぜ!」「前衛的なヒップホップやってるんだけれど、それで、ヒップホップ系の告知掲示板なんかにも書き込みをしてるんだけれど、メッセージが三件きたよね、、そのうちの一つ、、『これ、ヒップホップじゃないですよね』…三件きたうちの一つがこれじゃ!『ヒップホップじゃないですよね』」「ジブラが張飛タイプだとしたら、俺は諸葛亮、酒を飲んで墓穴を掘るジブラの万年筆を、策略で落とし穴に落とす」
「15年活動してきて、もし生きられたらあと40年、いつまで活動続けられるかわからんけれど、この活動をあと十年くらい続けて、、それでなー、インターネットでなー、川染喜弘で検索してもなー、検索結果0件なんじゃ!タイムマシンで十年後のインターネット見たら、きっとそうだろう、検索結果0件じゃ!(未来をにらみつけながら)その野郎〜!でも、いいか、その0件の0をミステリーサークルだと思ってほしい、そのミステリーサークルの中心には、俺がいる、ゼロの中心に俺がいる、ミステリーサークルの中心で、川染喜弘が、光を求めて立っている!」
ミキサーのゲインを下げ、サンプラーなどの機材が出す具体音を聞かせる演奏。スイッチがカチッカチッと切り替わる音や、サンプラーを操作する回転盤の微音などで演奏する。「むしろな、この具体音が聴きたくて機材買ったようなもんじゃ!」
「たとえば、この、サンプラーのボタンが光っている、ということ、これだけで評価してほしい。川染喜弘ではなく、光らせおじさんとしてオファーしてほしいくらいだ。(サンプラーのボタンを光らせながら喜悦の表情で)うわあ〜!光ってる!(サンプラーの操作をあやまり、ボタンが光らなくなる、ボタンを連打しながら)光らせおじさんがんばって!光らせおじさんがんばって!(光って)うわーッ!!もう、クリスマスのイルミネーションでしょう、これは。(ボタンを矢継ぎ早に光らせながら)来年のクリスマス、ここにいるみんな、この光らせおじさんのイルミネーション見に来てくれよなー!」
「ASO講」という言葉をサンプリングしようとするも、なかなか上手くいかず、上手くいかないところをきっかけにして様々な演奏が飛び出す。絡み合うシールドの奥から、発生源不明のサウンドが飛び出したり、サンプラーからシールドを抜くときに発生するグリッジサウンドに着目して、その音をしばらくパンニングして演奏したりして、音は出続けるが一向にサンプリングが成功しない、という演奏に。サンプラーなどの電源が蛸足配線で刺さったアダプターの集合体を見て「もう、これ、見てよ、これだけで評価してほしいよね、すべてが、このコンセントに、力が、集中している!すごく良いよねー」というところから、「アダプターマンVSペンマンVSプラグマン」という即興演劇へと展開していく。アダプターを、必殺技の名前を叫びながらプラグで抜く。「YA、、YAMAHAー!」「zoom。。。」「大丈夫か!」「へ、気にスンナって」「だが、、お前の命の証である、お前のサンプラーから、命の光が、、消えた、、」「ああ、そうだな」「おれ、お前と一緒のコンセントで電力を供給できたこと、一生忘れないよ、、」「ZOOM。。」「お前らの友情に、俺も混ぜてくれよ!」「「川染!!」」といって、アダプターたちと友情を確かめ合うようにあつい抱擁をする川染。しかし、サンプリングは一向に成功する気配がない。接触不良のノイズを出すシールドを演奏しながら「これだけで15年やってる奴もいるだろう、すべては見せ方次第なんだ」といって、年季の入った演奏家のような卓越した動きでシールドを振り回し、音に変化を与えていく川染。
「この機材トラブル、テクニカルな方面からではなく、もう、スピリチュアル方面で解決していこう!」といって、サンプラーのまわりで呪術的な動きと声をあげる川染。asokoの玉田氏にも協力を仰いで、スピリチュアル指数をあげていこうとする。「一緒に、祈りま、しょうよ、飲みま、しょうよ〜!」と絡み酒の形態模写で玉田氏を巻き込もうとする川染。恥ずかくてできないという様子の玉田氏に向かった「羞恥心〜!」といって腕をまわす。「これは、、さすがに、俺もやりたくなかった、、これが『恥ずかしさ』のMAXだろう!でも、俺ももうここまでやったんだから、いこう!やろう!羞恥心〜!ダメか、羞恥心はさすがに、できないか、じゃあ、祈りま、しょうよ〜!飲みましょうよ〜!おまえ、書けやー!機材トラブルをスピリチュアルな『祈り』で解決しようとしたパフォーマンスした男がいるって、書けや!でもな、十年後には、、検索0件じゃ!だけど忘れんな、その0はミステリーサークルで、その中心には、俺が光を求めて立っている!祈りま、しょうよー、飲みま、しょうよ〜」
なんとか、別のサンプラーを使って、「aso講」のサンプリングに成功し、そのサンプリングした音にピッチシフターをかけて、「aso講」の十二音階のようなものを作り出していく。「aso講」のループを流しながら、客全員に、手を繋いで円になってもらい、グルグル回る、その中心で、川染喜弘が「らせん状に上昇していく、みなさんは、ターンテーブルのように回り続けてくれ!」といって、「asokoコール」、ライブ終了。

3月13日 南池袋ミュージックオルグ
サンプラー、カオスパッド、CDJなどを使った演奏が中心。「蕎麦屋あると思うんだけど!蕎麦屋!」と何度も叫びながら、CDJをスクラッチして電子音の渦を作り出していく。「蕎麦屋にはうどんがメニューにあると思うんだけど、うどん屋には蕎麦屋(蕎麦、ではなく、実際に蕎麦屋といいました)がメニューに入ってないでしょう!あれどういうことなのよ!蕎麦屋でカレーを食べるのは邪道だと思うんだけれど、じゃあ、どうすればいいのよ!」
「サルビアの蜜をちゅうちゅう吸い、ザクロの実にかぶりつく、そうやって生き延びようとしたことがあっただろう。栗!栗!栗をくれ!栗!」
「(酔っ払った動きで)アメリカンドリーム、追いかけ、ま、しょうよ〜!飲みま、しょうよ〜!」
「ガハハハハー!山男だぞー!」といって両手を広げて顔面筋肉のみでつくられた仮面ともいえる過剰な表情を何度も披露する川染。
「タコとイカが18本の足を絡ませて吸盤を吸い合わせている」
「推古天皇!天皇!天皇!天皇!天皇!天皇!天皇!」
「蕎麦屋の自販機に700円くらい一気にいれると、そのうちの200円くらいが戻ってきちゃうことあると思うんだけど、あれ!どうなっとんのじゃ!このインターネットメディア社会でなー、お前、アナログ機械がなー、何をやってくれちゃっとんのじゃ!(ふくれっつらになってしばし沈黙)」
「俺はもう35になるのだが、今日まで一度も国民年金払ってないぜ!カルチャー好きな、お金持ってる権力者、いるだろうが!俺の年金払ってくれや!(CDRをスクラッチして音を出して)もう、これだけで充分でしょう、これでお金をもらいたい。年金を払ってもらいたい。いまから、口座番号いうからどんどんお金振り込んでくれー!」といって、口座番号をディレイマイク読み上げようとするが、ディレイマイクのゲインがあがっておらずうまくいかない。
「『太陽にほえる』って昔やったことがあるけど、またほえてやろうかー!こらー!太陽ー!おまえ暑いんじゃ!ボケー!太陽ー!」
CDJを昇竜拳の動きでスクラッチ。歌舞伎の動きでスクラッチ。椅子の上にのっかって「よっ、日本一〜!」と見得を切る。「これはなー、やるつもりなかったわ!完全に自分の美学からはずれとるけどなー!そういう『美学』みたいなもんをなー、もう超えていかないといかんのじゃ!」
主催者の松本もえさんにささげるリリックでライブが終わる。「松本もえ、もえ、もやし食べ続けて、そう、もえが燃やしたプロミネンス、赤いキツネと白いキツネが仲良く並んでるぜ、その尾っぽを引っ張って引っこ抜けば、その穴から出てくるのは、冷麺、ソーメン、そして、ラーメン、零れ落ちていく麺類、プロミネンス」というようなリリック。

3月14日 高円寺円盤
序盤は、サンプラー、カオスパッドなどを用いた演奏が中心。30分ほど経過したころ、奇声をあげながら機材を乱雑に片付けていく川染。コードを引っこ抜いたサンプラー類をテーブルの上で折り重ね、奇声をあげ、かばんの中に投げ込むようにしまったりする。カオスパッドをテーブルの上にのせる→奇声→しまう→のせる→奇声→しまう、のミニマルも展開。靴や靴下も脱ぎ捨て、投げ飛ばされた靴下がシールドに引っかかって宙ぶらりんになるなどする。
横たわって開脚し、股間に手をあて、自慰するような動きをしながら嬌声をあげる、という川染喜弘らしからぬパフォーマンス。「これはなー、完全に自分の『美学』から外れとるんじゃ!やりたくないんじゃ!でもなー、もう、そういう『美学』みたいなもんからも、はずれていくぞ、おれは。良い悪いなんて判断して二の足を踏んでいる場合ではない、これは、完全に『悪い』だ、自分の『美学』に照らし合わせるならな、だが、これもだんだん『良い』になっていくだろう、やってしまったからな、『美学』の範疇、こえとんぞ!もはやこれは既存の方法論、メソッドではなく、ソメッドなのだから、ソメッドとして判断しなければいけない、そう、アウト・オブ・川染喜弘」
「このカオスパッドもなー、バイトして買っとるんじゃ!そこだけでもう評価してほしいよね」といって、カオスパッドの裏面に張られているシールに書かれている英単語で歌を歌い、カオスパッドを股間に擦り付けて嬌声をあげる。「こうやって使うためになー、買ったんじゃ!」
突如、イベント出演者のまめっこ氏に襲い掛かり、格闘状態になる。まめっこ氏を投げ飛ばし、馬乗りになり、顔面をわしづかみにし「これがキャメルクラッチじゃー!!」
春の恒例、花粉症を利用したパフォーマンス。ディレイマイクをむけて何度もくしゃみをする。

3月31日 渋谷WOMB
最初の20分ほどは、四つ打ちのビートを流しながら、サンプラーの即興演奏で、かすかにノイズをのせていく、というクラブ仕様の演奏。「第一部終わりまして、第二部」といって、ビートがアブストラクトになり、ラップと身体表現が加わる。身体を横たえて、手足をパコパコと動かしながら奇声を発したあと、エコーマイクに「ポウ!」という演奏と、「テクノロジーで財布にマイクロチップをいれるべきだ」という主張を中心にしたリリックでライブを展開する。
この日は、DJとしても出演。渋谷wombということで、こちらも四つ打ちのミニマルな音のみでのプレイだった。


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